H28第1回-通信線路-問4 電気通信主任技術者(線路)

(1)次の文章は、光通信で用いられるテープ形光ファイバ心線(テープ心線)などについて述べたものである。
幹線系や配線系で用いられる光ファイバケーブルには、限られた管路空間内や架空構造物に効率良く布設・収容するため、光ファイバ心線の高密度収容、ケーブルの細径化などが求められる。
光ファイバ心線の収容密度を高めるために使用されるテープ心線は、一般に、一次被覆された直径【250】μmの単心の光ファイバ素線を複数本並列に並べ、【UV硬化型樹脂】を用いてテープ状に連結したものであり、光ファイバリボンなどともいわれる。
テープ心線の構造には、並列に並べられた複数の光ファイバ素線の周囲を全て二次被覆で覆い一体化した【カプセル】型、複数の光ファイバ素線のうち隣接する光ファイバ素線相互間を接着したエッジボンド型などがある。
テープ心線構造は、光ファイバ心線1本当たりに必要な断面積を、単心構造と比較して、約20%小さくできるため、高密度収容及び細径化に有利である。また、テープ心線は、4心や8心のまま一括で融着接続できるため、単心単位での融着接続より接続作業に要する時間を大幅に短縮することが可能である。
テープ心線を収容する地下光ファイバケーブルの外被の内側には、一般に、防水テープが配され、水が浸入すると、防水テープが吸水・膨張してケーブル内の空隙を埋めることによって【水走りを防止】する構造になっている。
(2)次の文章は、光ファイバの接続技術などについて述べたものである。
(ⅰ)光ファイバの融着接続技術について述べた次の文章のうち、誤っているものは、【④】である。
①融着接続機で用いられる高周波トリガ方式は、高周波でアーク放電を行う際、放電開始時のみ必要な高電圧を断続的に加えることにより、少ない消費電力で光ファイバ端面を加熱溶融し、融着接続することができる。
②融着接続における予加熱処理は、アーク放電により、光ファイバ端面のゴミを除去するとともに整形し、端面の不完全さによって生ずる接続不良を防ぐための工程であるが、予加熱機能が付いた融着接続機を使用しても、接続する光ファイバ端面に傾斜、欠け、突起などがあると良好な接続が得られない場合がある。
③融着接続では、一般に、接続する光ファイバ端面をV溝上に整列させた状態で軸合わせ及び予加熱処理を行った後、アーク放電の開始と同時に、一方の光ファイバを移動させて端面を接触させてから、さらに押し込み、自己調心作用を利用して接続する方法が採られている。
④融着接続部は、光ファイバの被覆が完全に除去されており、機械的強度が低下しているため、一般に、融着接続後に熱収縮スリーブなどで補強【一定の荷重を一定時間加えて著しく弱い接続部を除去するスクリーニング】した後、一定の荷重を一定時間加えて著しく弱い接続部を除去するスクリーニング【融着接続後に熱収縮スリーブなどで補強】が行われる。
(ⅱ)光ファイバのメカニカルスプライス接続技術について述べた次のA~Cの文章は、【ACが正しい】。
Aメカニカルスプライス接続法は、一般に、V溝などを用いて光ファイバ端面を突き合わせるとともに、押さえ部材により光ファイバを押し付けて固定することにより軸合せを行う永久接続法の一つである。
Bメカニカルスプライス接続で用いられるメカニカルスプライス素子は、小型・軽量で構造が簡単、多数のV溝を設けることにより多心接続が可能【だが温度変化による膨張・収縮、雨水などによる屈折率整合剤が流れ出る】などの特徴があり、マンホール内での幹線系光ファイバケーブルの接続に広く用いられている【いない】。
Cメカニカルスプライス接続などで用いられる屈折率整合剤は、コアと同等の屈折率を持ち、接続する光ファイバ端面間の空気層を排除して接続部において屈折率が不連続になることを抑制する効果がある。
(ⅲ)光コネクタ接続技術について述べた次の文章のうち、正しいものは、【①】である。
①光コネクタ接続では、光ファイバの光軸を高精度に一致させること、接続端面間の間隙をなくすこと、さらに、これらを再現性良く実現することが要求されるため、一般に、光ファイバ端面間を直接接触させるPC(PhysicalContact)接続が採用されている。
②光コネクタ接続において、光ファイバは、光軸を一致させるため強化ガラス【ジルコニア】やプラスチック製のフェルールといわれる部材の内部に精密に位置決めされ固定されている。強化ガラス【ジルコニア】は、耐久性に優れ、精密加工ができる硬さと現場での研磨が可能な柔らかさを兼ね備えた部材である。
③光コネクタ接続においては、接続するフェルールどうしを正確に軸合わせし、所定の方法以外では外れないようにするために、アダプタが用いられる。光コネクタ用のアダプタは、接続するフェルールどうしを、V溝基板及びファイバクランプ【アダプタ内の割りスリーブ】により位置ずれなく結合し固定する構造となっている。
④光コネクタでは、光ファイバは接着剤によりフェルールの内部に固定されている【いない】ため、温度や湿度が変動しても、光ファイバの端面がフェルールの端面より引っ込む又は突き出す現象が発生することはない【ある】。
(ⅳ)光コネクタの端面研磨技術について述べた次のA~Cの文章は、【ABが正しい】。
Aフェルールの端面を平面に研磨するフラット研磨では、一般に、光ファイバの端面がフェルールの端面よりも内側になるため、光ファイバ接続点の隙間においてフレネル反射が生じ、接続損失及び反射量が増加する場合がある。
Bフェルールの端面を凸球面状に研磨するPC研磨では、一般に、光ファイバの先端が理想球面より削られてくぼんだ状態になるが、コネクタ接続時にフェルールが押されることで先端部が弾性変形し、光ファイバの端面どうしが直接接触するため、フラット研磨と比較して、反射を抑えた安定した接続が可能である。
Cフェルールの端面を斜め8度で凸球面状に研磨する斜めPC研磨では、一般に、接続点で発生する反射光を光ファイバのコア方向に反射させ【ない】ことから、PC研磨と比較して、反射による影響を小さくすることができる。

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