H28第1回-通信線路-問5 電気通信主任技術者(線路)

(1)次の文章は、光ファイバケーブルの分類、特徴などについて述べたものである。
光ファイバケーブルの構造は、メタリックケーブルの構造と類似した層型及びユニット型、光ファイバケーブル独自のテープ心線スロット型などに分類できる。
層型は、【テンションメンバ】の周囲に光ファイバ心線を直接撚り合わせ、これを緩衝材で覆って外被を施した構造であり、一般に、数十心程度の光ファイバケーブルに適している。
ユニット型は、ユニット中心部材の周囲に光ファイバ心線を5心~10心程度撚り合わせ、これを緩衝材で覆ったものを1ユニットとし、複数ユニットを【テンションメンバ】の周囲に撚り合わせた構造であり、一般に、数百心程度の光ファイバケーブルに適している。
テープ心線スロット型は、一般に、【スロットロッド】といわれる棒状のポリエチレンに設けられた溝の内側に、4心、8心などのテープ形光ファイバ心線を収納する構造によって光ファイバを【側圧】から保護し、1,000心以上の高密度収容を可能としたものがある。【スロットロッド】の溝には、一定ピッチで撚り方向を反転させたSZ撚りと一方向撚り(S撚り又はZ撚り)がある。
SZ撚りは、光ファイバケーブルの【中間後分岐】において、光ファイバ心線の引き出し、接続余長の確保などが、一方向撚りと比較して、容易であり、配線系ケーブルなどに広く用いられている。
(2)次の文章は、光ファイバケーブルの張力及び伸び率、光ファイバケーブル用クロージャ、光通信システムの損失などについて述べたものである。
(ⅰ)架空光ファイバケーブルの張力及び伸び率について述べた次の文章のうち、誤っているものは、【④】である。
①架空光ファイバケーブルにおける張力とは、ケーブルを架渉した際にケーブルの線条方向に加わる力のことであり、ケーブル張力TNは、弛度をdm、単位長さ当たりのケーブル荷重をWN/m、電柱間のスパン長をSmとすると、次式で求められる。
T=WS^2/8d
②自己支持型光ファイバケーブルの伸び率Σは、支持線の水平方向の張力をTN、断面積をAmm^2、弾性係数をEN/mm^2とすると、次式で求められる。
Σ=T/AE
③光ファイバケーブルの架設設計においては、温度、風圧、着雪などの影響によりケーブルの張力が変動することを考慮して、適切な弛度を確保する必要がある。
ケーブルに加わる荷重の条件が同じであれば、一般に、温度が上昇すると張力は減少し、弛度は増加する。
④光ファイバケーブルは、布設時の最大張力が加わったときに光ファイバの伸び率が許容値以下となるように設計されており、光ファイバケーブルの最大許容伸び率は、一般に、【0.2】%とされている。
(ⅱ)光ファイバケーブル用クロージャ(クロージャ)について述べた次の文章のうち、誤っているものは、【③】である。
①クロージャは、光ファイバ心線の接続箇所に設置され、光ファイバ心線の接続部、心線の余長などを保護・収納するためのものであり、用途によって、架空用と地下用に大別される。クロージャには、その形状、防水性能などによっては、架空用及び地下用の双方に使用できるものがある。
②架空用クロージャには、一般に、JISで規定される、あらゆる方向からの水の飛まつに対しても影響がないとされる、IPコードの第2特性数字が4(IPX4と表示される。)以上の防水性能を有するスリーブ(外郭)が用いられる。
③クロージャ内における心線の接続形態には、直接接続、スロット切断中間分岐接続、スロット無切断中間分岐接続などがある。このうち、直接接続【スロット切断中間分岐接続】は、光ファイバケーブルの外被を剝ぎ、分岐に必要な光ファイバ心線のみをスロットから取り出して分岐ケーブルと接続するもので、主に、SZ型光ファイバケーブルで採用される接続形態である。
④クロージャにおいては、限られたスペース内に、光ファイバ心線を定められた許容曲率半径を確保しつつ高密度に収容するため、また、回線増設、故障修理時などにも心線の識別、取出しが容易に行えるようにするため、心線の接続部や余長は、一般に、ケースやトレイに収納されている。
(ⅲ)光通信システムにおける損失などについて述べた次のA~Cの文章は、(キ)。
A 光通信システムで伝送される信号の品質は、SN比と波形ひずみに影響される。SN比の劣化と波形ひずみの要因は、通信用光ファイバケーブルの分散と損失であり、一般に、SN比は分散【損失】により劣化し、また、波形ひずみは損失【分散】により増大する。
B 光通信システムの中継間隔は、送信側の出力光パワーと受信側の受光感度が定まれば、主に、光ファイバの損失と伝送帯域によって決まる。光ファイバの損失は伝搬モードの種類に関係なく開口数【材料分散と構造分散】により、また、伝送帯域はコアとクラッドの屈折率差【モード分散】により決まる。
C EDFAなどを用いた線形中継方式の光通信システムでは、一般に、中継区間で発生する損失は補償されて信号光レベルは回復するが、SN比は劣化する。SN比の劣化は、主に、光増幅器で発生する自然放出光と信号光によるビート雑音に起因して生ずるものである。
図に示すような平面線形が直線の管路区間モデルにおいて、以下に示す条件でX点からY点へ光ファイバケーブルを布設する場合、Y点での張力は、【850】Nである。
(条件)
ⓐX点直前の張力:500N
ⓑ区間長:100m
ⓒケーブル質量:0.7kg/m
ⓓ重力加速度:10m/s^2
ⓔ摩擦係数:0.5
ⓕ光ファイバケーブルの布設ルートに高低差はないものとする。
X点
X点直前の張力500N
Y点
布設方向100m
H28-1問5
メモ:
500+10×0.5×0.7×100=850

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