H24第2回-伝送交換設備-問3 電気通信主任技術者(伝送)

(1)マネジメントシステムの規格には、JIS Q 9001の「品質マネジメントシステムー要求事項」、JIS Q 20000-1の「【情報技術】ーサービスマネジメントー第1部:仕様」、JIS Q 27001の「【情報技術】ーセキュリティ技術ー情報セキュリティマネジメントシステムー要求事項」などがある。
上記の3つのマネジメントシステムは、方針を定めて継続的に管理・改善していくための仕組みという基本的なフレームが同じであり、それぞれのマネジメントシステムの派生状況や基本的な思想の適用などの包含関係は、【図3(9001の中に20000と27001が含まれる)】のような概念図で表すことができる。さらに、JIS Q 20000-1の3章マネジメントシステム要求事項の細分箇条である経営陣の責任、【文書化に関する要求事項】、力量及び教育・訓練などの要素は、他の2つのマネジメントシステムでも基本的な事項として求められている。
また、JIS Q 9001は、管理の対象とするプロセス自体は対象組織が規定する必要がある規格であるが、JIS Q 20000-1は、このJIS規格で規定される全てのプロセスをもれなく履行することが求められる規格であり、このプロセス群は、【ITSMS】として組織内に配置される。
なお、JIS Q 20000-1を認証基準とする【ITSMS】とは、サービス提供者が、提供する【情報技術】のサービスのマネジメントを効率的・効果的に行うための仕組みとされている。
(2)次の文章は、JIS Z 8101-2:1999に規定される統計的品質管理用語について述べたものである。
(ⅰ)統計的品質管理の一般用語について述べた次の文章のうち、正しいものは、【⑤】である。
①【ロット】は、等しい条件下で生産され、又は生産されたと思われる品物の集まりをいう。
②【単位体】とは、個数で数えることができるように、一つ一つが明確に分かれているものをいう。
③【合格】とは、バッチ、ロット、製品やサービスが合格基準を満足するという判定をいう。
④全数検査とは、製品又はサービスのすべてのアイテムに対して行う検査をいい、間接検査とは、購入検査で、供給者が行った検査結果を必要に応じて確認することによって、購入者の試験を省略する検査。
⑤観測値・試験値に関する用語について述べた次の文章のうち、誤っているものは、【③】である。
①測定結果とは、規定された測定方法の実施によって得られる特性の値をいう。
②誤差とは、観測値・測定結果から真の値を引いた値をいう。
③【ばらつき】とは、観測値・測定結果の大きさがそろっていないこと。又は不ぞろいの程度をいい、【ばらつき】の大きさを表すには、【標準偏差】などを用いる。
④真度とは、真の値からの偏りの程度をいい、かたよりが小さい方が、より真度が良い又は高いという。
⑤制度とは、同一資料に対し、定められた条件のもとで得られる独立な観測値・測定結果のばらつきの程度をいい、ばらつきが小さい方が、より精度が良い又は高いという。
(3)次の文章は、デジタル回線交換網のデジタル伝送路における品質劣化要因と品質の評価尺度について述べたものである。
(ⅰ)デジタル伝送路における品質劣化要因について述べた次の文章のうち、正しいものは、【③】である。
①符号誤りが散発的に発生する現象はランダム誤りといわれ、ランダム誤りは、一般に、システムや伝送ルートの切替え動作、無線回線のフェージングなどにより発生する。
ランダム誤り:送信した個々のビットに独立して発生する誤りで、主として受信機の熱雑音によって引き起こされる
バースト誤り:部分的に集中して発生する誤りで、主としてフェージングによって引き起こされる
https://www.nttdocomo.co.jp/corporate/technology/rd/tech/network/radio_transmission/05/index.html
②通信状態にある回線が一時的に信号を正しく伝送できなくなる現象は瞬断といわれ、瞬断は、一般に、光ファイバ増幅器で電気/光変換時に発生する熱雑音、伝送装置内部の接触不良などにより発生する。
③パルス列の一部が消失又は重複伝送される現象はスリップといわれ、スリップは、一般に、受信した信号の位相変動を位相同期用バッファメモリによって吸収できない場合などに発生する。
④パルス列の位相が【長期的変動する】現象で、揺らぎの周波数が10〔Hz〕【未満】である場合はワンダといわれ、再生中継を行う際にタイミングパルスを抽出する回路などで発生する。
(ⅱ)デジタル伝送路における品質の評価尺度について述べた次の文章のうち、誤っているものは、【③】である。
①%ESは、1秒ごとに符号誤りの発生の有無を観測し、1個以上の符号誤りが発生した秒の延べ時間がアベイラブル時間に占める割合を百分率で表した品質の評価尺度である。
②%SESは、1秒ごとに平均符号誤り率を観測し、平均符号誤り率が1×10(-3乗)を超える符号誤りの発生した秒の延べ時間がアベイラブル時間に占める割合を百分率で表した品質の評価尺度である。
③1ビットの符号誤りさえも許容されないサービスを提供するデジタル伝送路の品質の評価には【%ES】が適しており、符号誤りが集中して発生するデジタル伝送路の品質の評価には【%SES】が適している。
④ビット単位の符号誤りの数を長時間観測して、全ビット数に対する比で表した符号誤り率は、一般に、BERといわれ、ランダム誤りを前提としたデジタル伝送路の品質の評価に適している。

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