H28第1回-伝送交換設備-問3 電気通信主任技術者(伝送)

(1)次の文章は、設備工事などにおける安全管理の概要について述べたものである。
工事の施工段階における管理には、一般に、工程管理、品質管理、原価管理、安全管理などがある。
このうち、安全管理については基準となる法律として労働安全衛生法があり、この法律は、労働基準法と相まって、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、【責任体制の明確化】及び自主的活動の促進の措置を講ずるなどその防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的としている。
通信業において、工事現場などにおける安全に係る技術的事項を管理させるため、労働安全衛生法に基づき、常時、50人以上の労働者を使用する事業場などでは、資格を有する【安全管理者】の選任、配置が義務付けられている。
労働安全衛生法において、労働災害とは、労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、上記、粉じんなどにより、又は作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり又は死亡することと定義されている。
労働災害統計における労働災害の発生頻度や程度を表す場合は、一般に、次の指標が用いられる。
a.度数率:労働災害の発生の頻度を示す指標であり、【100】万延実労働時間当たりの労働災害による死傷者数をもって表す。
b.【強度率】:労働災害の重さの程度を示す指標であり、1000延実労働時間当たりの延労働損失日数をもって表す。
(2)次の文章は、JIS Z 8141:2001生産管理用語について述べたものである。
(ⅰ)設備管理に関する用語について述べた次の文章のうち、誤っているものは、【④】である。
①設備とは、生産活動又はサービス提供活動のためのシステムを構成する能力要素としての物的手段の総称をいう。
②故障とは、設備が、規定の機能を失う、規定の性能を満たせなくなる、設備による産出物や作用が規定の品質レベルに達しなくなるのいずれかの状態になる変化をいう。
③ライフサイクルとは、設備の計画、設計、製作、運用、保全をへて廃却又は再利用までを含めた全ての段階及び期間をいう。
④【陳腐化】とは、技術の進歩によって、所有している設備の技術レベル又は経済的価値が相対的に低下していく変化をいう。
⑤設備寿命とは、設備を導入し、使用を開始してから、廃棄又は更新するまでの期間をいう。
(ⅱ)設備管理における工事及び設備更新に関する用語について述べた次の文章のうち、正しいものは、【①】である。
①資産工事とは、流動資産、固定資産及び繰延資産に対して行う工事をいい、修理とは、故障による停止、又は有害な性能低下をきたしている設備に対し正常・良好な状態を回復させる活動全般をいう。
②【設備更改】とは、現在使用している設備の劣化又は陳腐化の進行に対処するため、他の設備と取り替える活動をいう。
③【停止損失】とは、設備故障に起因して設備が停止することによってもたらされる損失の総称をいう。
④【投資利益率】とは、設備投資の有効性又は安全性の判断に当たって、投資額に対する年間利益の比率(年間利益/投資額)で設備投資案を評価・比較する方法をいう。
(3)次の文章は、電話網における音声品質劣化要因、音声品質評価方法などについて述べたものである。
(ⅰ)IP電話における音声品質劣化要因とその特徴などについて述べた次の文章のうち、誤っているものは、【④】である。
①IP電話でのエンド・ツー・エンド伝送における遅延には、送信側において音声データを圧縮する過程で発生する圧縮遅延・パケット化する過程で発生するパケット化遅延等や、IP網において伝送する過程で発生する伝送待ち遅延、ノード内遅延などがある。
②VoIP技術を用いることにより音声データはパケット化されて一定の間隔でパケットとして送信されるが、IP網を経由すると、一般に、ジッタといわれるパケットの到着間隔の揺らぎが発生する。ジッタが大きくなると音声の途切れや音声のつまりが発生する。
③IP電話で発生する音声パケットの損失の原因は、IP網の経路上におけるパケットの破棄、受信側での揺らぎ吸収待ち時間を超えたパケットの破棄などである。
④IP電話において音声信号の反射が原因で発生するエコーには、4線式と2線式との変換過程で発生する【ハイブリッドエコー】及び受信側端末のマイクロホンとスピーカとの間で発生する【アコースティックエコー】がある。
(ⅱ)電話網における音声品質評価方法などについて述べた次の文章のうち、正しいものは、【②】である。
①電話の音声品質評価方法として、コーデックの音声品質評価のために用いられるPSQMは【客観的評価方法】に分類され、ITU-T勧告P.800として国際標準化されているオピニオン評価法は【主観的評価方法】に分類される。
②IP電話の音声通話品質評価方法には、主観評価試験を行うことなく物理測定から推定する方法があり、国際標準化されているPOLQAなどが適用可能とされている。
③IP網において品質の劣化を防ぎサービス品質を確保するための手法はQoS制御といわれ、IP電話網におけるQoS制御としては、【レイヤ3】スイッチによるToSフィールド内のCoS値利用などの手法が挙げられる。
TOSやDSCPはレイヤ3
VLANで使用される拡張MACフレームのヘッダ内のTCIフィールドの先頭3ビットを利用するのはレイヤ2
④IP電話網では、輻輳が発生すると音声パケットの遅延や破棄が発生し、音声の連続性が失われるなどの音声品質劣化が生ずる。このため、一般に、音声パケットの【優先制御】を用いることにより音声品質の向上が図られている。

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