H24第2回-伝送交換設備-問2 電気通信主任技術者(伝送)

(1)次の文章は、地上マイクロ波通信におけるフェージングの概要と対策について述べたものである。
地上マイクロ波通信において、空気の密度分布の変化、反射帯の状態変化、降雨、降雪などの影響を受け、電波伝搬状態が変化し、受信レベルが変動する広い意味でのフェージングといわれる現象が発生する。
フェージングには、伝搬路上における電波の反射又は屈折などに起因し、経路長の異なる2波以上の電波が受信点に到来することにより発生する【干渉性】フェージング、伝搬路上における雨や雪による電波の減衰などにより発生する【吸収性】フェージングなどがある。
フェージング対策には、ダイバーシチによる方法、自動等化器を使用する方法などがある。ダイバーシチには、空間的に離して設置した二つ以上の受信アンテナからの出力を選択又は合成する【スペース】ダイバーシチ方式、周波数の異なる現用チャネルと予備チャネルを設け、現用チャネルの品質が劣化した場合に予備チャネルに切り替える周波数ダイバーシチ方式などがある。
また、自動等化器を使用する方法には、一般に、周波数領域自動等化器を利用したものやトランスバーサルフィルタを用いた【時間】領域自動等化器を利用したものがある。
(2)次の文章は、光ファイバ通信における多重伝送方式および光増幅器について述べたものである。
(ⅰ)多重伝送方式の概要などについて述べた次の文章のうち、誤っているものは、【②】である。
①複数のチャネルの信号を束ねて一本の伝送路で伝送する方法は、多重化、多重伝送などといわれ、波長分割多重伝送方式には、1本の光ファイバに波長の異なる複数の光信号を多重して伝送する技術が用いられている。
②波長分割多重伝送方式に用いられる光信号の波長は、Lバンド、Cバンド、Sバンド等に分類される。石英系光ファイバの場合は、一般に、前記した三つのバンドの中で波長が最も長いため伝送損失が最も小さい1.55μm帯を含む【Cバンド】が用いられている。
③波長分割多重伝送方式において大容量化を実現するための方法の一つとして、多重する波長の数を増加させる方法があり、波長の間隔を狭めて多重する技術、利用する波長の領域を拡大する技術などが用いられている。
④波長分割多重伝送技術を用いて、1本の光ファイバ伝送路で上り光信号と下り光信号にそれぞれ異なる波長を割り当てた、双方向多重伝送方式がある。
(ⅱ)光増幅器について述べた次のACの文章は、【BCが正しい】。
A 光増幅器は、光ファイバ増幅器と半導体光増幅器に大別することができる。【光ファイバ増幅器のエルビウム添加光ファイバー増幅器(EDFA)】は、【半導体光増幅器】と比較して低雑音であり、偏波依存性がないなどの利点を有する。
B 光ファイバ増幅器は、伝送路における損失や接続によって減衰した光信号を増幅するために用いられ、光信号を電気信号に変換することなく、光信号のまま直接、複数の波長の光信号を一括して増幅することができる。
C エルビウム添加光ファイバ増幅器は、励起光を発生する励起光源、信号光と励起光を合波する光合波器、増幅媒体であるエルビウム添加光ファイバ、反射光が光ファイバに戻るのを防止する光アイソレータなどから構成される。
(3)次の文章は、電力変換装置の概要について述べたものである。
(ⅰ)整流回路について述べた次の文章のうち、誤っているものは、【①】である。
①整流回路とは、交流を直流に変換する回路のことであり、直流を交流に変換する【逆変換回路】に対して、【順変換回路】ともいわれる。
②整流回路では、一般に、交流入力1サイクルの間における整流後の出力電圧波形の繰り返し数が多いほど、出力電圧波形は理想的な直流の波形に近くなり、交流入力側の電流波形は正弦波に近くなる。
③整流回路には、単相半波整流回路、単相全波整流回路、三相半波整流回路、三相全波整流回路などがある。
④整流回路の出力電圧の脈動はリプルといわれ、三相全波整流回路は、一般に、三相半波整流回路と比較して、リプルが小さい。
(ⅱ)インバータ、コンバータ及びスイッチングレギュレータについて述べた次のA~Cの文章は、【Cのみ正しい】
A 【コンバータ】は、直流入力電圧を異なる直流電圧に変換する装置である。デジタル交換機などでは、電子回路のほとんどが動作電源として多種類の低電圧の電源を必要とし、これらの電子回路に直流電圧を供給するため【コンバータ】が用いられる。
B 【インバータ】は、直流入力電力を交流電力に変換する装置である。無停電交流電源装置(UPS)は、一般に、交流電力を一旦直流電力に変換し、蓄電池に接続した後に、直流電力を【インバータ】で変換し、低電圧で低周波数の交流電力を出力する方式を採っている。
C スイッチングレギュレータは、スイッチング素子を用いて入力電圧を断続することにより電圧変換を行うとともに、スイッチング素子のオン時間とオフ時間の比を調整して、出力電圧の安定化を図る方式を採っている。

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