H27第2回-伝送交換設備-問1 電気通信主任技術者(伝送)

(1)次の文章は、デジタル伝送方式における伝送技術について述べたものである。
デジタル伝送方式において、1心の光ファイバを用いた伝送技術には、1心双方向伝送技術、多重伝送技術などがある。
1心双方向伝送技術としては、デジタル信号の送信パルス列を時間圧縮後、2倍以上の速度にしたバースト上のパルス列で送信し、この時間圧縮により空いた時間に反対方向からのバースト上のパルス列を受信する【TCM】方式があり、これはピンポン伝送方式ともいわれる。また、上りと下りに同じ波長の光を用い、光ファイバ内を伝搬する上りと下りの光信号を【光方向性結合器】を利用して分離し識別するDDM方式などがある。
多重伝送技術としては、1心の光ファイバを用いて複数のデジタル信号を伝送するために複数のデジタル信号を時間的に少しずつずらして規則的に配列し多重化する【TDM】方式、波長の異なる複数の光を利用して1心の光ファイバに複数の波長を多重・分離することにより複数の光信号や上りと下りの光信号を同時に送受信可能とするWDM方式などがある。
WDMは、多重する光の波長数を増やすことで伝送可能な情報容量を増やす光通信技術があるが、多重可能な波長数を10数波程度と限定したWDM方式としては、光アクセスシステムに適用される【CWDM】がある。
(2)次の文章は、光ファイバ伝送システムにおける光の変調方式、光変調器の特徴などについて述べたものである。
(ⅰ)光の変調方式などについて述べた次の文章のうち、正しいものは、【③】である。
①光の変調方式には、大別すると直接変調と外部変調があり、超高速長距離伝送システムには、【外部変調方式】が用いられている。
②直接変調方式では、一般に、光源として用いられる半導体レーザ【を直接オンオフ】させることで、半導体レーザの出力光の【光強度】を変調している。
③外部変調方式では、一般に、光源として用いられる半導体レーザの出力光を、LN変調器、EA変調器などの外部変調器により変調している。
④外部変調方式には、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)を材料とし、加えた電界によって屈折率が変化する【電気光学効果】であるポッケルス効果を用いたものがある。
(ⅱ)光変調器の特徴などについて述べた次の文章のうち、誤っているものは、【①】である。
①【電界吸収効果】を利用した光変調器は、【電気光学効果】を利用した光変調器と比較して、一般に、駆動電圧は高いが、小型にできるという特徴がある。
②電気光学効果による屈折率の変化を用いる光変調器には、光の位相の変化を光の強度の変化に変えて光強度変調とするために、マッハツェンダ干渉計を用いたものがある。
③マッハツェンダ干渉計を用いた光変調器は、直接変調方式を用いた光変調器と比較して、波長チャーピングを抑えることができる。
④電界吸収効果を利用した光変調器は、半導体素子などで構成されているため、通信用の光源として用いられる半導体レーザと同一の半導体基板上への集積化に適している。
(3)次の文章は、TCP/IP及びIPv6の特徴について述べたものである。
(ⅰ)TCP/IPのプロトコル階層モデルの特徴について述べた次の文章のうち、誤っているものは、【①】である。
①TCP/IPのプロトコル階層モデルはインターネットプロトコルスタックとして4層で構成されており、一般に、この4層のうちの最下位の層は【ネットワークインタフェース層】といわれ、物理的にデータを転送するための機能を担っている。
②インターネット層では、IPパケットを転送するプロトコルが用いられており、インターネット層は、一般に、OSI参照モデルにおけるネットワーク層の役割に相当している。
③トランスポート層における代表的なプロトコルとしてTCPとUDPがある。UDPは、コネクションレス型であり、TCPと比較して、信頼性の低いプロトコルとされている。
④TCP/IPのプロトコル階層モデルにおけるアプリケーション層は、一般に、OSI参照モデルにおけるセッション層、プレゼンテーション層及びアプリケーション層の三つの役割に相当している。
(ⅱ)IPv6の特徴について述べた次の文章のうち、正しいものは、【③】である。
①IPv6アドレスのビット長は、IPv4の32〔bit〕に対して【4】倍の【128】〔bit〕となっており、IPアドレスの不足を解決することが可能とされている。
②IPv6の【グローバルユニキャストアドレス空間】は、インターネットレジストリ(IR)といわれるアドレス管理組織により、上位ビットから階層的に分配、管理されている。
③IPv6には基本仕様としてセキュリティ機能が含まれており、IPv6拡張ヘッダとして、パケットデータの暗号化に利用する暗号化ペイロードヘッダやパケットデータの完全性を保証するための認証ヘッダを組み込むことができる。
④IPv6ヘッダは【固定長】となっており、動画伝送などのリアルタイム性が要求されるトラヒックやRSVPによるQoSに対応することができる。

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