H30第1回-通信線路-問5 電気通信主任技術者(線路)

(1)次の文章は、架空光ファイバケーブルの許容伸び率と弛度などについて述べたものである。
自己支持形光ファイバケーブルは、ケーブル本体である光ファイバケーブル部と支持線を一体とした構造を有している。ケーブル架渉後には常時ケーブルに張力が加わるため、光ファイバ自体も常時伸びひずみを受けることになる。さらに、温度変化、風圧、着雪などの影響が加わることにより光ファイバの【破断確率が高く】なるおそれがある。
光ファイバケーブルは、一般に、信頼性の観点から張力に対する伸び率を【0.2】%以下となるように設計される。この条件を満足させるため、支持線は、温度変化、風圧荷重条件などによる光ファイバケーブルの伸びひずみを考慮して設計される。
光ファイバケーブルに風圧荷重が作用すると、ケーブルの実効重量は自重と風圧荷重のベクトル和となる。ここで弛度d[m]は、実効重量をW[N/m]、スパン長をS[m]、張力をT[N]とすると、d=【WS^2/8T】で表される。
また、ケーブルの伸び率Σは、支持線の断面積をA[mm^2]、支持線の弾性係数をE[N/mm^2]とすると、Σ=T/AEで表され、ケーブルの伸び率Σは許容伸び率より小さくすることが求められる。支持線は温度変化により伸縮するため、一般に、【最低温度】における張力で設計される。
メモ:張力は最低気温 温度が低くなって縮むと切れる恐れあるから弛度は最高気温 温度が高くなって伸びると弛む恐れあるから


(2)次の文章は、地下線路設備における金属の腐食防止方法、光ファイバの接続部の保護などにつ
いて述べたものである。
(ⅰ)地下線路設備における金属の腐食防止方法について述べた次のA~Cの文章は、【ACが正しい】。
A排流方式の一つである選択排流方式は、埋設金属体と電気鉄道のレールなどの迷走電流発生源の帰線との間に電流逆流防止装置を取り付けて双方を電気的に接続し、埋設金属体に流入した迷走電流を大地に流出させずレール又は変電所に直接帰還させる方式である。
B外部電源方式は、直流電源を用いて、プラス側を埋設金属体に、マイナス側を不溶性の接地電極に接続し防食電流を流す方式であり、電食と自然腐食のいずれにも有効である。
メモ:電気化学反応を利用した電気防食法は2種類・外部電源方式・流動陽極方式
直流電気鉄道やその他の電気設備からの漏れ電流(迷走電流)により地下埋設配管等が腐食することを防止するのは、排流法
金属内ではアソード(陽極)がカソード(陰極)へ電子が移動し、腐食電流がカソードからアソードへ移動するさらに、水中ではアソードからカソードへ腐食電流が移動するつまり、金属の腐食は、酸化反応と還元反応が同時に起こる腐食電池反応となっている。
http://www.khk-syoubou.or.jp/pdf/guide/magazine/glossary/28.pdf

電食のはなし | 音声付き電気技術解説講座 | 公益社団法人 日本電気技術者協会
公益社団法人 電気技術者協会 本部が運営している、音声付き電気技術解説講座です。電気技術者の技術力と資質の向上をサポートします。

C流電陽極方式は、イオン化傾向の大きい金属(流電陽極)を埋設金属体に接続し、異種金属間の電位差により防食電流を得る方式であり、流電陽極には亜鉛、アルミニウム、マグネシウムなどが用いられる。

(ⅱ)光ファイバの接続部の保護、収容技術について述べた次の文章のうち、誤っているものは、(①)である。
①光ファイバ用クロージャは、光ファイバケーブルの心線接続点に設置され、光ファイバの接続部と心線余長を収納するものであり、架空用クロージャは【紫外線】による劣化を受けにくい材質で構成され、地下用クロージャは簡単かつ機械的な組立機構により気密性能が得られる構造となっている。
②光ファイバ用クロージャ内のプラスチック又は金属製のトレイの中に接続部を固定し、余長心線を収納する方法がある。中継用伝送路では、一般に、光ファイバ心線を直径60mm以上に巻いてトレイ内のガイドに沿って整然と収容する。
③光ファイバ用クロージャ内の薄いプラスチックシートを折り曲げて光ファイバ心線を収納する方法がある。収納したシートを重ねて軽く圧縮すれば体積を小さくすることができ多数の心線を収納できるが、薄いシートを使用しているため心線を収納する際に乱暴に扱うと他の心線に影響を及ぼすおそれがある。
④光ファイバ用中間後分岐型クロージャは、既に布設されている光ファイバケーブルの途中から、分岐したい光ファイバ心線のみを取り出してドロップケーブルなどと接続するために用いられる。

(ⅲ)光通信システムにおける損失などについて述べた次のA~Cの文章は、【Aのみ正しい】。
A EDFAなどを用いた線形中継方式の光通信システムでは、一般に、中継区間で発生する損失は補償されて信号光レベルは回復するが、SN比は劣化する。SN比の劣化は、主に、光増幅器で発生する自然放出光と信号光によるビート雑音に起因して生ずるものである。
B 光通信システムにおいて、送出光レベルが2〔dBm〕、最低受光レベルがー30〔dBm〕、光ファイバケーブル損失が0.2〔dB/km〕、最大伝送距離が150〔km〕であるとき、その他の光損失を考慮しないとすると、損失マージンは3〔dB〕見込まれている。
メモ:光ファイバケーブル損失0.2〔dB/km〕×最大伝送距離150〔km〕=伝送路損失30〔dBm〕
最低受光レベルー30〔dBm〕+伝送路損失=0〔dBm〕送出光レベル2〔dBm〕+0〔dBm〕=損失マージン2〔dB〕https://www.apresia.jp/technical/transmission/distance.html
計算方法合っているかな?
C 光通信システムの中継間隔は、送信側の出力光パワーと受信側の受光感度が定まれば、主に、光ファイバの損失と伝送帯域によって決まる。光ファイバの損失は伝搬モードの種類に関係なく開口数により、また、伝送帯域はコアとクラッドの屈折率差により決まる。

(ⅳ)図に示すような平面線形が直線の管路区間モデルにおいて、以下に示す条件でX点からY点へ光ファイバケーブルを布設する場合、Y点での張力は、【1950】Nである。ただし、重力加速度gは10m/sとする。(条件)ⓐX点直前の張力T0:1,500〔N〕ⓑ区間長L:150〔m〕ⓒケーブル質量W:0.6〔kg/m〕ⓓ摩擦係数μ:0.5ⓔ光ファイバケーブルの布設ルートに高低差はないものとする。

H30-1問5

メモ:1500+10×0.5×0.6×150=1950

コメント