H30第1回-通信線路-問4 電気通信主任技術者(線路)

(1)次の文章は、線路設備を構成する架空構造物である支線、電柱などについて述べたものである。
架空線路構造物の設計では、風雪や温度といった気象条件、地盤、地形などの設置条件を考慮して架渉するケーブルの種別に適した吊り線や支持線などの強度を決定する。
さらに、架渉するケーブルの種別及び条数により電柱の強度を決定し、併せて電柱に加わる【不平衡荷重】に対してバランスがとれる支線の強度を決定する。支線は、【不平衡荷重】により電柱が傾斜及び倒壊することを防止するため、支線取付け角度を【35~45度】の範囲で大きくとり、やむを得ない場合であっても支線取付け角度は25度以上とする。
また、電柱には地際部が支点となって曲げモーメントが作用するため、最も強度が要求される箇所は地際部であるが、電柱の製造工程において、地際部の強度を電柱全体に求めることは不経済となるため、末口を元口より細くしてテーパを付けることにより電柱全体としての強度を確保している。電柱の平均テーパαは、末口直径をD、元口直径をD’、長さをLとすれば、α=【D’ーD/L】で求められ、一般に、コンクリート柱と鋼管柱の平均テーパの値は【1/75で同じである】。

(2)次の文章は、架空線路設備に作用する荷重の分担、ダンシングなどについて述べたものである。

(ⅰ)電柱と支線の荷重分担割合、地盤耐力などについて述べた次のA~Cの文章は、【BCが正しい】。
ただし、電柱は電気通信事業者が設置する単独柱とする。

A支線が取り付けられた電柱に加わる水平荷重は電柱と支線によって分担され、電柱が【10%】、支線が【90%】の割合で負担し、支線の代わりに支柱を用いた電柱の場合であっても、負担の割合は同じである。
B電柱に作用する水平荷重による曲げモーメントについては、地盤の抵抗モーメントに対して安全率を考慮した設計が必要であり、地盤の抵抗モーメントは土質によって違いがあることから、現場の土質種別を考慮した設計を行っている。
C支線取付け角度は、支線の必要強度を満足し支線素材使用量を最も少なく済むように設計するが、積雪地帯では、積雪に埋もれた部分に沈降力が加わり、支線に働く張力が増加して電柱が傾いたり下部支線が浮き上がる現象が生ずることがあるため、支線取付け角度を小さくして沈降力の影響を低減している。

(ⅱ)ダンシングの原因とその対策などについて述べた次の文章のうち、正しいものは、【①】である。
①SSケーブルのダンシング防止策として、ケーブルに捻回を入れる方法がある。
捻回を入れると、上昇力が働く場所と下降力が働く場所ができ、1スパン全体として上昇力と下降力が平衡し、ダンシングの発生を抑えることができ、また、ケーブルにかかる水平風圧荷重も減少させることができる。
②SSケーブルは丸形ケーブルと比較して、受風面積が大きいため、強風にさらされるところではダンシングが起きやすい。また、ケーブル重量が【軽く】弛度が【大きい】ほどダンシングが起きやすい。
メモ:https://masassiah.web.fc2.com/contents/17cte/ss2015fs.html

③SSケーブルを架渉する際に自然捻回が入ると、各スパンの捻回数を均等にすることが困難になるため、ケーブルの架渉時には、一般に、先端に【撚り返し金物・捻回防止器】を取り付けることにより自然捻回が入ることを防止している。
④SSケーブルには、支持線とケーブル本体を同一のシースで成形した【SSD】型、支持線とケーブル本体をつなぐ首部に窓を開けた【SSW】型などがある。【SSW】型は、首部の窓から風を逃がす構造で揚力を低減できるため、【SSD】型と比較して、ダンシングが起きにくいとされている。
メモ:覚え方 SSD→ドッキング(支持線とケーブル合体)、SSW→ウィンドウ(窓、風を逃がす)

(3)次の文章は、光コネクタの接続技術、光ファイバの心線対照などについて述べたものである。
(ⅰ)光コネクタ接続技術について述べた次の文章のうち、正しいものは、【③】である。

①光コネクタ接続においては、接続するフェルールどうしを正確に軸合わせし、所定の方法以外では外れないようにするために、アダプタが用いられる。光コネクタ用のアダプタは、接続するフェルールどうしを、V溝基板及びファイバクランプにより位置ずれなく結合し固定する構造となっている。メモ:後半から融着接続の説明になっている。ファイバコネクタ(FC)はプッシュプル方式で着脱可能が特徴https://www.fiberlabs.co.jp/tech-explan/about-optical-connector/

②光コネクタ接続において、光ファイバは、光軸を一致させるため【ジルコニア】やプラスチック製のフェルールの内部で精密に位置決めされ固定されている。【ジルコニア】は、耐久性に優れ、精密加工ができる硬さと現場での研磨が可能な柔らかさを兼ね備えた部材である。メモ:https://masassiah.web.fc2.com/contents/17cte/ss2016fs.html

③光コネクタ接続では、光ファイバの接続端面間の間隙をなくし、これを再現性良く実現することが要求されるため、一般に、光ファイバ端面間を直接接触させるPC接続が採用されている。
④光コネクタでは、光ファイバは接着剤によりフェルールの内部に固定されているため、温度や湿度が変動しても、光ファイバの端面がフェルールの端面より引っ込む又は突き出す現象が発生することはない。メモ:接着剤は使用されておらず、着脱可能


(ⅱ)光ファイバの心線対照技術について述べた次の文章のうち、正しいものは、【③】である。
①光ファイバIDテスタは、光ファイバを湾曲させ、漏洩した【270】Hz変調の対照光を受光素子で検知し、該当心線を対照することができる。
②光ファイバIDテスタの送信部から送出される対照光としては、現用回線の通信光で使用されている波長と【異なる】若しくは、湾曲させた光ファイバから漏れやすい【長】波長の光を使用する。
③光ファイバIDテスタは、光ファイバの損失測定、簡易な光レベル測定及び心線対照に使用できる測定器であり、Lバンドの長波長帯の通信光に対しても心線対照が可能である。
④光ファイバコードの被覆が厚く光が漏れにくいため、光ファイバIDテスタは、受光素子に【Ge-PD】に代わり【InGaAs-PD】を用いることで、受光感度を向上させている。
メモ:http://www.ansl.ntt.co.jp/history/media/me0705.html

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