H27第1回-通信線路-問5 電気通信主任技術者(線路)

(1)次の文章は、メタリックケーブルなどへの雷害及び誘導妨害とそれらの対策などについて述べ
たものである。
落雷が発生すると、電磁誘導雷サージ、静電誘導雷サージなどにより通信ケーブルや電力線に過電圧や過電流が発生する場合がある。これらの雷サージに対しては、通信装置の設置環境、設備構成などを考慮した適切な対策をとる必要がある。
例えば、通信ケーブルに侵入した雷サージが電力線や接地線へ流出する過程において通信機器を破壊する事象に対しては、【バイパスルートをつくる】対策が有効である。通信を途絶させないためには、通信機器を雷サージから防護するほかに、落雷などによる商用電源の停電対策として、受電経路の二系統化、重要機器には【UPS】から給電することなども考慮することが望ましい。
雷害以外の誘導現象には、強電流施設の近傍に配線された通信ケーブルに静電誘導を誘起するもの、通信ケーブルがアンテナとなり放送波を受信するものなどがある。静電誘導の影響を避けるための対策として、一般に、【アルミニウム】の遮蔽層を有する通信ケーブルが使用される。
また、ラジオ放送の送信アンテナに近いエリアでは、電話機の受話器からラジオ放送が聞こえる
場合がある。この対策の一つに、高周波成分が電話機回路に入り込まないように、【コンデンサ】を挿入する方法がある。
(2)次の文章は、光ファイバケーブルのピース長算出、布設設計、布設工法などについて述べたも
のである。
(ⅰ)光ファイバケーブルのピース長算出などについて述べた次のA~Cの文章は、【ACが正しい】
A ピース長は、一般に、計画ルートを現場調査し布設ルートを確認した上で、道路使用上の制約、施工時の騒音や照明など社会的な制約、経済性などを総合的に考慮して決定される。
B 地下ケーブルのピース長は、線路亘長にマンホール、ハンドホール、共同溝などでの必要長を加算して算出される。ケーブルの接続を行うマンホールでは、接続必要長のほか、クロージャを地上へ取り出して作業するための必要長も見込む必要がある【はない】。
C 架空ケーブルのピース長は、線路実長とケーブルピース間の接続必要長、温度伸縮対策に必要なスラック必要長などを加算して算出される。
管路への光ファイバケーブル布設設計などについて述べた次の文章のうち、誤っているもの
は、【④】である。
①光ファイバケーブルの基本的な布設技術には、メタリックケーブルの布設技術とほぼ同等の考え方が適用できるが、光ファイバケーブルでは、軽量、細径などの特徴を生かした長スパン布設技術、多条布設技術などが取り入れられている。
②光ファイバケーブルに一定以上の側圧が加わると、光ファイバ心線に残留ひずみが生ずることがあるため、屈曲区間などでは、ケーブルの許容曲げ半径及び許容側圧を考慮して設計する必要がある。
③光ファイバケーブルの曲げ半径は、ケーブルの許容曲げ半径の値を超えないようにする必要があり、一般に、布設時はケーブルの外径の20倍以上、固定時はケーブルの外径の10倍以上とされている。
④多条布設技術は、管路を有効利用するために、同一管路内に複数本の光ファイバケーブルを収容する技術である。管路内に追加布設される光ファイバケーブルは、一般に、管路内の空きスペースにあらかじめ布設されたスロットロッド内に収容され、75mm管への収容数は【3】条までとされている。
(ⅲ)架空光ファイバケーブルの布設設計で考慮すべき弛度及び風圧荷重について述べた次のA~Cの文章は、【ABが正しい】
A 弛度は、最低温度時に、甲種風圧荷重又は集中荷重が加わったときでも、吊り線や支持線の安全率が確保できるように定められている。弛度が標準より小さいと、吊り線や支持線の切断、支線の破壊などが発生するおそれがある。
B 乙種風圧荷重は、通信ケーブルの周囲に比重0.9の氷雪が厚さ6mmで付着した場合において、甲種風圧荷重における風圧の1/2の風圧を受けるものとして計算した荷重であり、主に積雪地帯において適用される。
C 丙種風圧荷重は、甲種風圧荷重における風圧の【1/2】倍の風圧を受けるものとして計算した荷重であり、主に海岸などの強風地帯【市街地】において適用される。
(ⅳ)図に示す地下区間において、A地点からB地点へ以下に示す条件で光ファイバケーブルを布設する場合、牽引機は最低(ク)台必要である。
(条件)
ⓐ光ファイバケーブルの質量:0.5kg/m
ⓑA地点~B地点間の距離:1,000m
ⓒA地点(繰出し点)の初期張力:500N
ⓓ牽引機の1台当たりの最大牽引能力:2,000N
ⓔ牽引機1台当たりの初期張力:100N
ⓕ摩擦係数:0.5
ⓖ重力加速度:10m/s^2
ⓗ光ファイバケーブルの最大許容張力:1,000N
ⓘ光ファイバケーブルの布設ルートは直線で高低差はないものとし、また、牽引機を設置する場所の制約はないものとする。
H27-1-問5
牽引機の台数は次式で求められる。
牽引機台数 n > (ケーブルの総張力 + 中間牽引機の初期張力 × 中間牽引機台数) / 許容張力
牽引機台数 n > {(500 + 10 × 0.5 × 0.5 × 1,000) + 100 × (n -1)} / 1,000
牽引機台数 n > 3.2
よって,求める牽引機の台数は 4 台必要である。

コメント