H29第2回-通信線路-問4 電気通信主任技術者(線路)

(1)次の文章は、光コネクタ接続技術及び接続時の損失要因などについて述べたものである。
SM光ファイバどうしを接続する場合、低損失で接続するために光ファイバの軸直角断面内における光パワー分布の【モードフィールド】を整合させることが重要であるため、SM光ファイバの接続に用いられる光コネクタは、直径10〔μm〕のコアどうしを再現性よく突き合わせる高い寸法精度が求められる。
そのため、光ファイバどうしを直接突き合わせることができるバッドジョイントといわれる方式が用いられる。バッドジョイント方式は、一般に、フェルールどうしを弾性スリーブを用いて整列し、突合せ接続する機構が採用されている。
単心光ファイバ用コネクタでは、弾性スリーブとして、一般に、【割りスリーブ】が用いられ、光ファイバを中心に接着固定したフェルールどうしを弾性スリーブで整列し、突き当てることにより接続する。多心光ファイバ用コネクタでは、フェルールは、一般に、【ガイドピン】用の穴とともに一体成形され、【ガイドピン】によって整列する機構が用いられている。
光コネクタ接続は、接続する双方の光ファイバ端面間に空隙が存在すると、屈折率の不連続性が接続損失を発生させる要因となるため、【屈折率整合剤】やPC接続が用いられている。
(2)次の文章は、光ファイバケーブルの伝送帯域の測定、波長分散の測定などについて述べたものである。
MM光ファイバの伝送帯域の測定方法、特徴などについて述べた次の文章のうち、誤っているものは、【③】である。
①周波数領域での測定法は、正弦波状に強度変調された光を被測定MM光ファイバに入射し、被測定MM光ファイバから出射する光の変調周波数に対する減衰量から伝送帯域を測定する方法である。
②周波数領域での測定法の一つである周波数掃引法は、測定精度、測定の再現性などの点で優れていることから、伝送帯域測定方法の主流となっている。
③時間領域での測定法は、短パルスレーザ光を被測定MM光ファイバに入射し、被測定光ファイバの入出射端における光パルスを【フーリエ変換】し、光ファイバの構造パラメータから伝送帯域を測定する方法である。
④時間領域での測定法の一つであるパルス法は、一般に、周波数掃引法と比較して測定のダイナミックレンジが狭く、また、短尺光ファイバケーブルに対してはSN比が低下するため測定精度が悪い。
(ⅱ)SM光ファイバの波長分散の測定方法、特徴などについて述べた次の文章のうち、正しいものは、(④)である。
①SM光ファイバにおける波長分散の測定においては、波長分散の値を直接測定することは困難であるため、個別の測定によって得られる材料分散値と構造分散値の【和】から波長分散の値が求められる。
メモ:
波長分散=材料分散+構造分散
材料分散>構造分散
②パルス法の一つであるツインパルス法は、【波長】の異なる二つの光パルスを被測定光ファイバに同時に入射し、測定される【到着時間差】を定義式に当てはめて、波長分散を求める方法である。
③位相シフト法は、【強度変調】された二つの波長の光が、光ファイバ中を伝搬したときに生ずる非線形光学効果と変調度の関係から波長分散を求める方法であり、変調周波数は測定する光ファイバの長さと分散量によらず一定に保つ必要がある。
メモ:
④OTDR法は、入射された光パルスが遠端にて反射され、戻ってくるまでの時間差を利用することにより波長分散を測定する方法であり、位相シフト法と異なり、片端測定が可能である。
(3)次の文章は、電柱の耐力、コンクリート柱の劣化などについて述べたものである。
(ⅰ)電柱の耐力、根入れ長、地盤支持力などについて述べた次の文章のうち、正しいものは、【④】である。
①コンクリート柱に用いられるプレストレストコンクリート(PC)は、あらかじめ【圧縮応力】を与えておき、外力による【引張応力】を打ち消すことでひび割れの発生を防いでいる。
②電柱が倒壊しないためには、水平荷重による曲げモーメントに対して地盤が十分な抵抗モーメントを有し、傾斜角が過大にならないことが必要であることから、電柱の根入れ長は、一般に、通常地盤においては、電柱の長さの【1/6】としている。
③JISにおいて、PC柱(1種)の曲げ強度は、ひび割れ試験荷重を加えたとき幅【0.25】mmを超えるひび割れが発生してはならない、このひび割れ試験荷重を除荷したとき幅【0.05】mmを超えるひび割れが残留してはならないと規定されている。
メモ:
④電柱の折損は、一般に、地盤が堅固で、水平荷重による曲げモーメントよりも電柱の許容曲げ応力が小さい場合に発生する。また、電柱の傾斜又は転倒は、一般に、地盤が軟弱で、電柱の支点反力としての曲げモーメントを地盤が受けきれない場合に発生する。
(ⅱ)コンクリート柱の劣化、非破壊検査法などについて述べた次の文章のうち、誤っているものは、【②】である。
①コンクリート柱の凍害は、コンクリート中の含水率が限界値以上に高まった状態で、水分が凍結と融解とを繰り返すことにより、コンクリートが表層部から劣化する現象で、一般に、初期にはちりめん状や亀甲状のひび割れが発生し、より進行すると崩壊に至る場合がある。
②コンクリート柱に【横ひび】割れが発生する原因の一つに、必要な支線を省略するなどして過大な不平衡荷重を与えた場合がある。また、【縦ひび】割れは、主に、コンクリート柱内の長手方向に配された鉄筋が腐食した場合に発生する。
③海岸近くのコンクリート柱では、海塩粒子が付着しコンクリート柱の表面から内部に浸透して鉄筋を腐食させることがある。腐食した鉄筋は膨張するため、コンクリートにひびが入り、塩分の浸透が容易になり更に鉄筋の腐食が進行する。

< div>④コンクリート柱の劣化を判断するための非破壊検査の方法として、打音法、超音波法、電磁波法などがある。このうち、超音波法では、測定物に対して超音波を入射し、内部からの反射波を測定することによりひび割れ、異常箇所の有無などを検出する。

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