H27第2回-通信線路-問5 電気通信主任技術者(線路)

(1)次の文章は、生物による架空光ファイバケーブルの外被損傷とその対策などについて述べたものである。
架空光ファイバケーブルの外被損傷の原因には、ケーブルダンシング、凍結圧など気象条件によるもの、施工不良など人為的なもの、生物によるものなどがある。
ケーブル外被に損傷をもたらす生物は、げっ歯類、鳥類及び昆虫類に大別される。
げっ歯類はケーブル外被をかじることにより損傷させるため、対策には、かじられても心線に影響が及ばないように、ケーブル外被の内側にステンレスの層がある【HS】ケーブルに変更する方法などがある。局所的に対策を行う場合には、防リスシート、防リステープなどでケーブルを防護することも有効である。
鳥類、特にカラスによる被害は、主にドロップ光ファイバケーブルで発生し、かつ、損傷箇所が、ドロップ光ファイバケーブルの【支持線】と光エレメント部を分離した部分に集中していることから、対策には、【支持線】と光エレメント部を分離した部分に集中してを分離したケーブル部を【PVC電線防護カバー】で防護することが有効な方法とされている。
昆虫類による被害のうちクマゼミによる被害は、ドロップ光ファイバケーブルが産卵管で刺されることにより発生する。クマゼミが産卵管を刺す箇所は、主に、ドロップ光ファイバケーブルの光エレメント部に外被切り裂き用に設けられた【ノッチ】付近に集中する傾向がある。
クマゼミによる被害に対しては、光ファイバ心線の両側に防護壁を設ける、被覆を硬くする、材質を改良するなどの対策が採られている。
ノッチ
(2)次の文章は、通信用設備の腐食とその発生原因、架空ケーブルにかかる張力などについて述べたものである。
(ⅰ)架空構造物の腐食とその発生原因などについて述べた次の文章のうち、誤っているものは、【①】である。
①吊り線のアースクランプ取付部における腐食は、吊り線とアースクランプの間が蓄積した腐食生成物や異物により短絡状態となり、表面に付着した水分を介した電流パスが形成され、陰極【陽極】となった金属(この場合は吊り線)が電解腐食により溶出することで発生し、吊り線の破断につながる場合がある。
②下部支線の腐食は、臨海地域、湿地帯、植込み周辺などの湿った土中で顕著に認められ、土中への酸素供給量が多い地際部のほか、水分が多い土中の深い部分でも発生する。
③海岸地帯における塩害は、海塩粒子が金属表面に付着することにより、表面の吸湿性が増すとともに、水膜の導電率が高くなり腐食反応が促進されることで発生する。
④大都市や工業地帯などにおける大気腐食は、主に、工場、自動車などから排出される亜硫酸ガス、二酸化窒素などの大気汚染物質が、金属表面上の水膜に溶け込んで促進される。
(ⅱ)地下線路設備の腐食とその発生原因などについて述べた次のA~Cの文章は、【全て正しい】。
A電食は、地中金属体に電流が流れることにより金属体が腐食する現象であり、一般に、電流が金属体に流入する部分では発生せず、電流が金属体から流出する部分で発生する。
Bイオンによる腐食は、土壌中あるいは溜水中に塩素イオン、硫酸イオンなどが多量に含まれている場合に、金属表面にミクロセルが形成されるなどして発生する。
C土壌の性質の差による腐食は、異なった種類の土質層にまたがって金属体が埋設されている場合に、土壌の通気性の差によって、同一の金属の間でもマクロセルが形成されることで発生する。
(ⅲ)地下線路設備又は架空構造物における金属の腐食防止方法について述べた次の文章のうち、正しいものは、【②】である。
①流電陽極方式は、地中金属体にその金属体よりイオン化傾向の大きい金属を接続し、異種金属間のゼーベック効果【電位差】を利用して防食電流を流すことにより腐食を防止するものであり、流電陽極には、一般に、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム又はそれらの合金が用いられる。
メモ:
ゼーベック効果とは物体の温度差が電圧に直接変換される現象で、熱電効果の一種。
②外部電源方式は、直流電源を用い、マイナス側を地中金属側に、プラス側を不溶性の接地電極に接続して防食電流を流すことにより腐食を防止するものであり、電食にも自然腐食にも有効である。
③絶縁被覆による腐食防止方法では、金属体を、塩化ビニルなどのプラスチック性材料やエポキシ系などの塗料で被覆し、腐食環境から隔離・絶縁することにより防食【腐食】電流を金属体から外部に流出しないようにしている。
④架空構造物を大気腐食から守る方法としては、電気的な防食方法が主体となり、メッキ、塗装などによる表面処理、使用する部材の材料選定などでは対応できない【できる】。
(ⅳ)図に示す張力計算モデルにおいて、以下に示す条件の場合、支持点a及びbの張力は、【135】Nである。
ただし、張力(T)は、線条方向に実際に加わる張力(T0)と近似した水平方向の張力とする。
(条件)
ⓐ単位長さ当たりのケーブル荷重(W):0.3N/m
ⓑスパン長(S):30m
ⓒ弛度(d):0.25m
ⓓケーブルの支持点a及びb間は、高低差がないものとする。
ⓔ着雪、風圧加重、温度などの外部要因は考慮しないものとする。
H27-2-問5
メモ:T=WSS/8d=0.3×30×30/8×0.25=135

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