H29第2回-通信線路-問5 電気通信主任技術者(線路)

(1)次の文章は、光ファイバケーブルのピース長算出などについて述べたものである。
光ファイバケーブルによる線路設備の設計は、需要動向や設備現況などを十分に精査して行わなければならない。また伝送品質を考慮して、適用するケーブル種類、最適なルート、中継区間数及びケーブルのピース割りなどを決定する必要がある。
光ファイバケーブルのピース割りの設計は、ケーブル布設作業、接続作業及び伝送品質に関わる重要な設計項目であり、ケーブル布設区間の直線部、屈曲部、曲線部、傾斜部などの各区間ごとの張力予測計算を行い、接続点となる【マンホール】などの位置、ルート上の作業性、安全性などを考慮して実施する。
張力予測計算の一例として、地下管路区間の傾斜や曲がりのない直線部分の張力T〔N〕は、ケーブル繰出し点における張力をゼロ、直線部の長さをL〔m〕、単位長さ当たりのケーブル質量をW〔kg/m〕、摩擦係数をμ、重力加速度をg〔m/s^2〕とすると、T=【gμLW】〔N〕で求められる。
また、ケーブルピース長は、線路【亘長】に【マンホール】内などでのケーブル必要長を加えた線路の実際の長さ、接続必要長、成端必要長、マージンなどの布設必要長を考慮して算出する。
光ファイバケーブルのピース割り案を決めた後、伝送路に許容されるかどうか【損失】値に収まる【損失】値の計算を実施して、接続点数が適切かどうかの確認を行い、ピース割りを最終的に決定する。
(2)次の文章は、管路内又は架空光ファイバケーブルの布設設計などについて述べたものである。
(ⅰ)管路内への光ファイバケーブルの布設設計などについて述べた次のA~Cの文章は、【BCが正しい】。
A凍結するおそれのある地域の引上げ分線管路、橋梁添架管路及びその他凍結による影響が予想される区間は、管路内の溜水の凍結から光ケーブルを保護するために、【PE】ダクトが使用される。
B光ファイバケーブルに過大な側圧が加わると、光ファイバ心線に残留ひずみが生ずることがあるため、屈曲区間などでは、ケーブルの許容曲げ半径及び許容側圧を考慮して設計する必要がある。
C同一管路内へ複数の光ファイバケーブルを収容して管路の有効利用を図る多条布設技術には、インナーパイプといわれる管をあらかじめ布設しておき、追加する光ファイバケーブルをインナーパイプ内へ布設する方法がある。インナーパイプを用いた多条布設技術を用いると、一般に、呼び径75mm管へ光ファイバケーブルを3条まで布設できる。
架空光ファイバケーブルの布設設計などについて述べた次の文章のうち、誤っているものは、【②】である。
①様々な場所に布設される架空線路設備の設計を効率的に行うため、設備の強度設計に用いる風圧荷重は、立地条件により甲種、乙種及び丙種の3種類に分類されている。
②丙種風圧荷重は、【市街地】に適用される。ただし、海岸地帯などの強風地域では甲種風圧荷重が適用され、氷雪の多い地域では乙種風圧荷重が適用される場合がある。
③架空線路における弛度は、弛度が最も大きくなる最高温度時に必要な地上高を確保でき、最低温度時に甲種風圧荷重又は集中荷重が加わったとしても吊り線強度の安全率が2.0より小さくならないように吊り線種別、ケーブル重量、電柱スパン、施工時の温度及び適用風圧荷重の別に定められている。
④複数のケーブルが同一の電柱に架設され、電柱にケーブルを固定する架設ポイントが不足したり美観を損ねたりする場合がある。一束化架設工法は、これらの問題に対応するため複数のケーブルを一つに束ねる工法であり、巻付け方式やスパイラルハンガー方式などがある。
(ⅲ)雷害及び誘導妨害の対策などについて述べた次の文章のうち、誤っているものは、【①】である。
①雷サージには、大きく分けて誘導雷サージと直撃雷サージがある。誘導雷サージは、落雷電流で発生した電磁波に起因する【電磁】誘導現象により、通信線や電力線に誘導される電圧や電流である。
②雷害対策には、通信線と電源線へ避雷素子を設置し、雷サージが通信装置へ侵入しないように避雷素子間の接地線を連結して雷サージのバイパスルートを作成する方法がある。
③誘導妨害の対策が必要な場合、抗張力体がFRPでPEシース構造としたノンメタリックの光ファイバケーブルを用いる方法が有効である。
④光ファイバケーブルの抗張力体などに金属材料を使用した光ファイバケーブルの誘導雷サージ対策には、接続点において抗張力体をクロージャの金具へ連結し、テンションメンバ把持金具を電気的に連結したうえで、接地を行う方法がある。
(ⅳ)図に示すような曲線ルートとなっている地下管路区間モデルにおいて、以下に示す条件でX点からY点へ光ファイバケーブルを布設する場合、Y点での張力は、【1690】〔N〕である。
H29-2問5
メモ:
(1000+10×0.5×0.3×200)×1.3=1690

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