H26第2回-データ通信-問4

(1)BGP4の概要について

BGP4では、ある宛先に到達するためのパスが複数ある場合、それらのパスはBGPテーブルに保存される。このBGPテーブル内に保存された複数のパスの中から、BGPのパス属性といわれる情報を基に、宛先に対する一つのベストパスが選定され、【ルーティング】テーブルにそのベストパスが登録される。


パス属性は、周知強制(well-known mandatory)、周知任意(well-known discretionaty)、オプション通過(optional transitive)及びオプション非通過(optional non-transitive)の四つのカテゴリのいずれかに該当するように定義されている。


このうち周知強制は、全てのBGPの実装でサポートされていなければならず、かつ、全てのBGP経路情報に付加される必要がある属性である。この属性には、【ORIGIN】属性、【AS_PATH】属性及びNEXT_HOP属性が含まれる。


【ORIGIN】属性には、経路情報がどのように生成されたものかにより、IGP、EGP及びIncompleteの三つの値のいずれかが含まれている。
【AS_PATH】属性には、その経路情報が経由してきたAS番号が順番に挿入されている。NEXT_HOP属性には、BGPで受信した経路情報にある宛先への次ホップとなるボーダルータの【IPアドレス】が含まれている。

(2)IPv6のアドレスなどの特徴について述べた次の文章のうち、誤っているものは【③】である。

①IPv6基本ヘッダのヘッダ長は40〔オクテット〕に固定され、拡張ヘッダはペイロード部のフィールドに書き込まれる仕組みとなっている。

②IPv6のアドレスサイズは、IPv4の32〔bit〕から128〔bit〕に拡張されており、先頭から64〔bit〕はネットワークプレフィックスといわれる。

③IPv6では、ブロードキャストはエニーキャストの特殊なケースであると定義され、ブロードキャストアドレスは定義されていない。

④IPv6アドレスは、ノードが持つネットワークインタフェースに対して割り当てられる。各ネットワークインタフェースには、複数のIPv6アドレスを割り当てることが可能である。

メモ:ブロードキャストはエニーキャストではなくマルチキャストの一部として定義される

(3)TCPにおけるウインドウ制御と再送制御の特徴について述べた次の文章のうち、正しいものは、【③】である。

①TCPを利用した通信の最大スループットは、ウインドウの大きさと送信バッファサイズの二つによって決まる。

②即時再送といわれるアルゴリズムでは、TCPの再送タイマーがタイムアウトすると同時に到達確認が得られていないセグメントを再送信する。

③TCPによる通信の開始時には、ネットワーク輻輳制御の一つであるスロースタートといわれるアルゴリズムに従ってデータの送信量の制御が行われる。

④送信データの1セグメントごとに確認応答を行いながらデータ転送を行うと、パケットの到達時間が長くなるにつれてスループットが低下する。TCPではウインドウ制御により、受信ホストが確認応答を複数のセグメントを受信した後にまとめて送信することによりスループットの向上を図っている。

メモ:ウインドウサイズ(RWIN)とは送信データの1セグメント毎に確認応答(ACK)を行うと、転送するデータの量が多いほどスループットが低下する。予め受信可能な容量(ウインドウサイズ)をホストへ通知することで、その分まではACKを待たずにデータを送信する仕組み

(4)ルータにおけるパケットのキューイングなどについて述べた次のA~Cの文章は、【Bのみ正しい】。

A ルータ内にある複数のキューに対し優先度を設定し、パケットをフローごとにそれぞれのキューに割り振り、優先度の高いキューからパケットを送出し、そのキューのパケットがなくなるまで、優先度の低いキューからパケットを送出させないキューイングは、一般に、カスタムキューイングといわれる。


B ルータ内にある複数のキューに対し重みを設定し、パケットをフローごとにそれぞれのキューに割り振り、それぞれのキューの重みに応じてパケットの送出を公平に行うキューイングは、一般に、WFQといわれる。


C プロトコルなどにより分けられた複数のグループに対して、それぞれ必要な使用帯域を設定し、ラウンドロビンの技術などを使用して帯域を確保することができるキューイングは、一般に、FIFOといわれる。


メモ:

CQ(Custom Queuing)とは各キューを順番にサイクルして管理者が定義したバイト値のパケットを順番に転送していく方式。最大16個のキュー(1~16)を定義することが可能。http://www.infraexpert.com/study/qos4.htm
PQ(Priority Queuing)とは各パケットにプライオリティが割り当てられてそのプライオリティに基づいてキューからパケットを転送する。FIFOとは異なり複数のキューを使用する。また最も優先度の高いキューの全てのパケットが転送されてから、次のキューのパケットが転送される。http://www.infraexpert.com/study/qos3.htm
FIFO(First In,First Out)とは「先入れ先出し」つまり先着順に処理をする。イーサネットLANインタフェースでデフォルトで有効になっているハードウェア処理可能なキューイング方式。http://www.infraexpert.com/study/qos2.htm

(5)NGNの概要などについて述べた次の文章のうち、誤っているものは、【③】である。

①NGNのアーキテクチャは、基本的なIPパケットの転送機能などを提供するトランスポートストラタム及び付加価値サービスなどを提供するサービスストラタムの2階層モデルとなっている。


②NGNでは、種々のインタフェースを規定することによりネットワークをオープン化しており、アプリケーションとのサービスストラタムレベルでの接続点としてANIが設けられている。


③NGNにおけるIPマルチメディアサブシステム(IMS)は、トランスポートストラタムの一部であり、FMCを実現するためのコア技術とされている。

④NGNでは、音声、映像及びデータのマルチメディア型通信のQoSが保証されており、ユーザからのサービス要求に対し、伝送資源に基づく受付判断をリソース受付制御機能(RACF)が行っている。


メモ:ストラタムは階層
IMSとはインターネットとの連携を容易にするため、可能な限りIETFのプロトコル(SIP等)を採用し、FMCを実現するためのコア技術とされている。
FMC(Fixed Mobile Convergence)とは「固定網と移動網の収束」を意味し、有線通信・移動体通信を組み合わせた電気通信サービスを指す。

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