H28第1回-データ通信-問1

(1)次の文章は、仮想記憶方式について述べたものである。

仮想記憶方式は、コンピュータのアーキテクチャが提供する論理的なアドレスにある命令を実行する際、主記憶上の物理的なアドレスに変換する方式であり、アドレス変換を行う機構は、【DAT】といわれる。論理アドレス空間の大きさは、一般に、主記憶装置のアドレス空間よりもはるかに大きい。


仮想記憶を実現する方式には、大別してページング方式と【セグメント】方式がある。
ページング方式では、論理的なアドレス空間及び主記憶は、ページといわれる固定長の領域に分割され、ページテーブルによってページごとに対応付けられている。
主記憶に存在しないページがアクセスされると、ページフォールトが発生しページインが行われる。

主記憶に空き領域があるときは、その空き領域にページを読み込むが、空き領域がないときは、主記憶内の使用頻度の少ないページを2次記憶に追い出した後に、ページフォールトの発生したページを主記憶に読み込む処理を行う。


ページの入替えアルゴリズムには、【LRU】方式、FIFO方式などがある。
【LRU】方式は、参照されていない時間が最も長いページを追い出す方式であり、FIFO方式は、最も古くから存在するページを追い出す方式である。
もし、何らかの原因でページインやページアウトが頻発するとOSが仮想記憶への入出力にCPUの処理能力のほとんどを割いてしまい、プログラムが進まなくなってしまう【スラッシング】が起こる。
【セグメント】方式では、プログラムを、メインルーチン、サブルーチン、データなど意味のある固まりで分割して作成し、必要な領域を主記憶に読み込む。

(2)パーソナルコンピュータの構造や機能などについて述べた次の文章のうち、正しいものは、【①】である。

①BIOSは、電源入力時にBIOS ROMから読み出されて起動し、ハードウェアの基本的な設定などを行い、OSが起動した段階で制御権をOSに引き渡す。


②マザーボード上のアドレスパスは、メモリのどの位置に対して読み書きを行うかという情報を伝送するとともに、書込みや読出しなどの指示【は行わない】。


③マザーボードでは、基盤を多層化することによって複雑な回路を実現しており、多層化された各基盤の回路間の接続は、【スルーホール】によって行われている。


④CPUがCPUの外部に存在するメモリとデータをやり取りするためのバスは、内部バスといわれ、外部ハードディスクや光学式ドライブなどとの接続に用いられる拡張インタフェースとやり取りするためのバスは、【拡張バス】といわれる。

(3)デバイスドライバなどについて述べた次の文章のうち、誤っているものは、【④】である。

①デバイスドライバには、ハードウェアを直接制御する処理をアプリケーションから分離する役割がある。このためハードウェアが変更された場合でも、アプリケーションプログラムの変更を最小限にとどめることができる。


②アプリケーションプログラムとタスク型デバイスドライバは、メールボックスなどリアルタイムOSが提供するタスク間通信のサービスを利用してデータをやり取りすることができる。

③一つのデバイスを複数のタスクが共有する場合、タスクの実行順序を制御するために、シリアライズが必要となる。

④デバイスドライバの処理終了時にアプリケーションに制御を戻す方式としては、【非同期型I/O】と同期型I/Oがあり、【非同期型I/O】の場合は、デバイスドライバの処理実行中もアプリケーションのタスクは並行して処理を実行することができる。

(4)コンピュータのプロセス制御について述べた次のA~Cの文章は、【BCが正しい】。

A システムの過負荷状態などにより休止としたプロセスに割り当てていた主記憶領域を取り上げて、そのプロセスを2次記憶へ追い出す動作は、【スワップアウト】といわれる。

B 実行状態のプロセスが実行待ち状態に遷移する要因として、入出力動作などCPUを必要としない事象の発生が挙げられる。

C スレッドは、プロセスより小さい実行単位のことであり、マルチスレッドに対応したプロセスをマルチプロセッサシステムで処理する場合、スレッドごとにCPUの割当てを行うことにより複数の処理を並行して行うことができる。

(5)DRAM又はSRAMについて述べた次の文章のうち、誤っているものは、【④】である。

①DRAMは、読み書きが自由に行えるRAMの一種で、電荷を蓄えるためにコンデンサ、トランジスタなどから構成される回路を記憶素子に用いる。


②DRAMは、情報を読み出す際、コンデンサに蓄えられた電荷を放電する。このため、読出しにより情報が破壊されることから、このような読出し方法は、一般に、破壊読出しといわれる。


③DRAMの高速化技術であるDDRは、クロック信号の立ち上がり時と立ち下がり時の両方で動作させることにより、実効的に2倍のクロックで動作させることができる。


④キャッシュメモリなどに利用されるSRAMには【フリップフロップ回路】といわれる論理回路が用いられている。SRAMは、DRAMと比較して、一般に、高速に動作するという利点がある。

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