H27第2回-通信線路-問3 電気通信主任技術者(線路)

(1)次の文章は、光ファイバケーブルの基本機能などについて述べたものである。
光ファイバケーブルは、単心又はテープ形の光ファイバ心線を複数本まとめてケーブル化したものであり、屋外の地下や架空設備などで使用され、その基本機能は、光ファイバ心線を外力、環境変化などから保護することにより、伝送特性を安定的に維持させることである。
光ファイバケーブルを布設する際などに外力が加わり、光ファイバの側面に不均一な圧力が加わると、光ファイバ軸が僅かに曲がり【マイクロベンド】損失が発生する。
光ファイバを外力から保護する方法は、基本的に、2種類に分けることができ、一つは、光ファイバを動かないように固定して耐力を高める方法、もう一つは、光ファイバをフリーな状態にして外力の影響を緩和する方法であり、前者の方法を採用した構造の光ファイバケーブルは、一般に、【タイト】型といわれる。
また、光ファイバケーブルには、【浸水】から光ファイバを保護する機能も要求される。
【浸水】による光ファイバへの影響には、機械的強度の劣化による破断確率の上昇、光ファイバケーブルの金属製材料の酸化反応で発生する【OH基】による伝送損失の増加などがある。
(2)次の文章は、光ファイバの種類と構造、融着接続機などについて述べたものである。
(ⅰ)分散制御光ファイバについて述べた次のA~Cの文章は、【ABが正しい】。
A分散シフト光ファイバは、光ファイバの屈折率分布を制御して導波路分散の波長依存性を変化させることにより、ゼロ分散波長を1.3μm帯から1.55μm帯にシフトさせた光ファイバである。
B分散フラット光ファイバは、光ファイバの屈折率分布を制御して材料分散とは符号の反転した導波路分散を形成することにより、広い帯域にわたり分散スロープをゼロに近づけた光ファイバである。
C分散マネジメント光ファイバは、光ファイバの長手方向に非線形光学特性【分散特性】の異なる区間を設けることにより、局所的な波長分散は非ゼロとしながらも伝送路全体で累積波長分散を低減した光ファイバである。
(ⅱ)光ファイバ心線、光ファイバケーブル又は光ファイバコードの構造と特徴などについて述べた次の文章のうち、正しいものは、(カ)である。
<(カ)の解答群>
①光ファイバ心線には、温度特性や機械特性を確保する目的で、多層被覆が施されており、内層にはマイクロベンドを防止するために硬い【柔らかい】被覆が、また、外層には側圧などから光ファイバを保護するために柔らかい【硬い】被覆が用いられている。
②テープスロット型光ケーブルは、光ファイバ素線を複数本並べてUV硬化型樹脂で一体化した光ファイバテープ心線を、4テープごとに撚り合わせて一束に集合し【重ね合わせ】、溝形のスロット内に収容した構造のケーブルであり、数百心に及ぶ高密度実装が可能である。
③自己支持型光ファイバケーブルは、光ケーブル部と吊り線部が一体となっていることから、光ケーブル部は架渉後も常時伸びひずみを受け続けるため、光ファイバの破断確率が高くなる。このため、吊り線は、架渉張力、温度変化、風圧、積雪などによるケーブルの伸びひずみを考慮して設計する必要があり、一般に、光ファイバケーブルの伸びひずみは【0.2】%以下となるように設計される。
④光ファイバコードは、一般に、光ファイバ心線の周囲に抗張力体としてポリアミド系繊維などを密着して配置し、さらに抗張力体上にビニルなどを被覆してシースとした構造であり、光伝送機器内配線、屋内、短距離の機器間の接続などに使用される。
(ⅲ)光ファイバ融着接続機について述べた次の文章のうち、誤っているものは、(キ)である。
①多心光ファイバ融着接続機では、一般に、融着接続する全ての光ファイバ心線を、放電電極の中心から僅かにずれた温度分布がほぼ均一な位置にセットし、一括接続する。
②多心光ファイバ融着接続機の調心方法には、一般に、固定V溝上に整列させた光ファイバを加熱・溶融し、光ファイバの表面張力による自己調心作用を利用して軸合わせを行うコア調心方式【固定 V 溝調心方式(外径調心方式)】が採用されている。
③融着接続機の熱源には、ガスバーナー方式などと比較して、装置が小型であること、加熱する温度及び時間制御が容易であること、高温となる領域が局所的であることなどの理由から、アーク放電方式が広く用いられている。
④融着接続機は、一般に、接続する光ファイバの先端部に付着した微少なダストを除去するとともに光ファイバ端面を整形して接続の成功率を高めるために、融着接続前に光ファイバの先端部のみを加熱する、予加熱機能を備えている。
(ⅳ)光ファイバの融着接続部の不良とその発生原因及び対策について述べた次のA~Cの文章は、【全て誤り】。
A接続部に筋ができた場合は、放電パワーの不足が原因と考えられるため、接続機のバッテリーや電極棒を点検、交換などして、筋が消えるまで再加熱【放電条件が適切でないため、前放電パワー、前放電時間、押し込み量の設定を見直し、再接続】を行う必要がある。
B接続部の軸ずれは、融着接続時の放電時間が短かったことが原因と考えられるため、規定の時間に達するまで、再放電を【光ファイバのずれや切断面が原因と考えられるため、光ファイバカッタを点検し、再接続を】行う必要がある。
C接続部に気泡ができた場合は、放電パワーが強すぎた【弱すぎた】ことが原因と考えられるため、電極棒と融着接続部との距離を数mm離して【放電パワーと放電時間の設定を再調整し】、接続をやり直す必要がある。
メモ:
融着接続接続損失の要因原因と対処方法

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