H28第2回-通信線路-問5 電気通信主任技術者(線路)

(1)次の文章は、架空ケーブルの損傷とその対策について述べたものである。
SSケーブルにおいて、支持線の切裂き際でケーブルの円周方向に発生する外被の亀裂は、一般に、【リングカット】といわれる。
【リングカット】は、ケーブルダンシングの発生により振動ひずみが支持線とケーブルとの切裂き際に集中し、ケーブル外被が徐々に裂けていく現象であり、対策として、【HS】ケーブルへの張り替え、縛り紐によるひずみ分散、リング掛けによるケーブル架渉などが有効とされている。
LAPシース型のケーブルでは、【アルミシース】の合わせ目に沿ってケーブルの長手方向に亀裂が発生する場合がある。これは、ケーブル内部へ浸入した水の凍結圧によって生ずる円周方向への応力が【アルミシース】の合わせ目部分に集中し、外被の肉厚の薄い部分が裂ける現象である。
ケーブル内への水の浸入は、水が浸入するおそれがある部分、例えば、クロージャのノズルや蓋部、ケーブル外被の損傷痕などの点検、補修などによって防止することができる。
げっ歯類やコウモリガの幼虫などケーブルをかじる生物によるケーブル損傷被害に対しては、ケーブル外被の内側に【ステンレス層】を設けた【HS】ケーブルを使用するなどの対策が講じられている。
(2)次の文章は、風圧荷重、電柱の設計荷重などについて述べたものである。
(ⅰ)風圧荷重について述べた次の文章のうち、正しいものは、【③】である。
①風圧荷重は、構造物の地上高【空気の密度】に比例し、空気の密度【風圧】の2乗に比例して大きくなる。また、その値は、構造物の形状、大きさなどによって変化する。
②甲種風圧荷重は、市街地【以外】に適用され、高温期の強風を想定した場合の荷重であり、コンクリート柱の場合、その垂直投影面積1m^2当たり780Pa【80kg】の風圧を受けるものと仮定した場合の荷重である。
③乙種風圧荷重は、氷雪の多い地域に適用され、架渉線に厚さ6mmの氷雪が付着した状態で甲種風圧荷重のの風圧を受けるものと仮定した場合の荷重である。
④丙種風圧荷重は、市街地以外の地域に適用される。ただし、海岸地帯などの強風地域では甲種風圧荷重が適用され、氷雪の多い地域では乙種風圧荷重が適用される場合がある。
(ⅱ)電柱の設計荷重について述べた次の文章のうち、誤っているものは、【④】である。
①中間柱の設計荷重は、一般に、線路に対して直角方向からの風圧荷重が問題となることから、甲種、乙種又は丙種風圧荷重が適用される地域ごとに分類して、平均電柱間隔、ケーブル外径、基礎地盤支持力などを考慮して求められる。
②引留柱の設計荷重は、一般に、吊り線又は支持線の設計張力に等しい不平衡荷重が線条方向に加わるものとして、基礎地盤支持力などを考慮して求められる。
③曲柱の設計荷重は、線路に角度があるため、不平衡荷重が両側の吊り線又は支持線の合成方向に加わるものとして、基礎地盤支持力などを考慮して求められる。
④電柱の設計において、無支線又は無支柱の電柱では、電柱自体の強度及び基礎地盤支持力の両方を考慮する必要があるのに対し、適正な支線又は支柱を有する電柱では、電柱自体の強度は無視してもよく、基礎地盤支持力のみを考慮すればよい。
(ⅲ)光ファイバケーブルなどの故障とその対策について述べた次のA~Cの文章は、【全て誤り】
A光ファイバは浸水しても即時に伝送特性が劣化することはないが、長期的には、破断寿命の短縮、金属腐食に伴い発生する水素による損失増加などにつながることから、浸水のおそれがある区間には、一般に、水走り防止構造を有するFR【WB】ケーブルが用いられる。
B光ファイバケーブル布設後に光損失が増加した場合は、光ファイバテープ心線の波打ち現象が原因の一つと考えられる。波打ち現象は、光ファイバケーブルの牽引端でケーブル外被と光ファイバテープ心線とをそれぞれ別々【一緒に】に固定し、人力で牽引力及び牽引速度を変えながら牽引することにより回避することができる。
C光クロージャ内における光ファイバの断線は、メカニカルスプライス【融着】接続した箇所を熱収縮スリーブで補強・固定する際の光ファイバのねじれが原因で発生する場合があることから、熱収縮スリーブを加熱する前には、光ファイバにねじれがないことを確認する必要がある。
(ⅳ)図に示す地下管路モデルにおいて、X地点からZ地点へ、以下に示す条件で光ファイバケーブルを布設する場合、Z点での牽引張力は、【920】Nである。
(条件)
ⓐ光ファイバケーブル質量:0.5kg/m
ⓑX~Y間の布設距離:100m
ⓒY~Z間の布設距離:200m
ⓓ繰出し点Xの初期張力:100N
ⓔ摩擦係数:0.5
ⓕ交角:20度
ⓖY点での張力増加率:1.2
ⓗ重力加速度:10m/s^2
ⓘ光ファイバケーブルの布設ルートは平面とし、高低差はないものとする。
H28-2問5
メモ:
(100+10×0.5×100)×1.2+10×0.5×0.5×200=920

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