H28第1回-通信線路-問2 電気通信主任技術者(線路)

(1)次の文章は、MM光ファイバの分散及び伝送帯域について述べたものである。
光ファイバ中を光パルスが伝搬するとき、光ファイバの出射端における光パルスの幅が、入射した光パルスと比較して、時間的に広がる現象は分散といわれる。
モード分散は、MM光ファイバ中を伝搬する光パルスが、【伝搬速度】の異なった幾つかのモードに分けられて伝搬するために発生する分散であり、隣接するパルスの間隔を狭くできない要因となっている。
MM光ファイバの分散には、モード分散のほかにもSM光ファイバと同様に、導波路の構造に起因して伝搬する光の速度が波長依存性を有するために生ずる構造分散、材料の屈折率が波長依存性を有するために生ずる材料分散があり、これらの分散の大きさには、一般に、【モード分散>>材料分散>構造分散】の関係がある。
MM光ファイバのベースバンド周波数特性は、送信側の変調周波数を高めていくと、受信側の復調信号の振幅は徐々に小さくなり、しかも伝搬距離にも依存する。
MM光ファイバに入射した光信号が1km伝搬した後において、復調された電気信号の振幅が入力時の電気信号の振幅に対し一般に、【1/2】となる周波数までの範囲は6dB帯域幅といわれ、その単位としては、【MHz・km】が用いられる。
(2)次の文章は、光ファイバへの光の入射、光中継器又は光増幅器の特徴、光源と光ファイバとの結合などについて述べたものである。
(ⅰ)光ファイバへの光の入射について述べた次の文章のうち、正しいものは、【③】である。
①屈折率の異なる二つの媒質Ⅰ及びⅡ(ただし、屈折率は、媒質Ⅰが媒質Ⅱより大きいものとする。)が接した状態で、媒質Ⅰから媒質Ⅱへ光が入射する場合、光が媒質Ⅱに入り込むことなく全反射が生ずるときの入射角は、ブリュースター角【臨界角】といわれる。
②光ファイバへの光の入射点では、空気、コア及びクラッドの三つの屈折率の異なる媒質が接しており、空気とコア及びコアとクラッドのそれぞれの境界面での光の屈折及び反射においてファラデー【スネル】の法則が成り立つ。
メモ:類似 H29第二回 http://tccu.blog.fc2.com/blog-entry-258.html
③光ファイバへの光の入射条件を示す開口数(NA)は、光源と光ファイバの結合効率に影響を与える基本的なパラメータであり、一般に、コア径が同じであればNAの大きな光ファイバほど、また、NAが同じであればコア径の大きな光ファイバほど、結合効率が高い。
④NAは、光ファイバの材料【構造】分散を変化させることにより制御可能であり、一般に、NAが大きい光ファイバほど受光可能な入射角は大きくなる。レンズを用いて効率良く光源からの光を光ファイバに入射させるには、光ファイバ【レンズ】のNAがレンズ【光ファイバ】のNAを超えないようにしなければならない。
(ⅱ)光通信システムで用いられる中継器又は増幅器の特徴などについて述べた次の文章のうち、正しいものは、(カ)である。
①再生中継器を用いた光通信システムでは、3Rといわれる機能を用いて信号を中継するため、一般に、各中継区間で発生する符号誤り、信号波形のひずみ及び雑音が累積することはない。
メモ:符号誤りは累積する
②波長多重された光信号の中継には、一般に、波長多重された光信号をそのまま増幅する線形中継器が用いられる。線形中継器は、光信号を電気信号に変換しないで、光のまま識別再生【増幅機能】のみを行うことから、1R中継器ともいわれる。
③EDFAは、コア部分にエルビウムを添加したSM光ファイバを増幅媒体に用いた増幅器であり、励起光として、一般に、1.3【0.98】μm又は1.55【1.48】μmの波長が用いられ、高利得、広帯域、偏波無依存などの特徴がある。
④光ファイバラマン増幅器は、光ファイバの非線形現象である誘導ラマン散乱を利用した増幅器であり、励起光の波長を変えることにより任意の波長の光を増幅できるなどの特徴を有している。
(ⅲ)光源と光ファイバとの結合方法などについて述べた次のA~Cの文章は、【BCが正しい】。
A光源からの光は、レイリー散乱【屈折や回折】により広がって放射されることから、光ファイバと効率良く結合させるために、光源に光ファイバの先端を単に近づける直接結合方式、レンズを用いるレンズ結合方式、光ファイバの先端をレンズ状にした先端レンズ方式などが用いられる。
B光源と光ファイバとの結合部は、光源、レンズ、光ファイバなどの光学部品が振動、温度・湿度の変化などによる影響を受けないようにするため、一般に、モジュール化されている。光源モジュールには、伝送用光ファイバと接続するためのピグテール光ファイバが取り付けられたものがある。
Cレーザ光源は、レンズなどの光学部品から反射された光が注入されると、レーザの発振が不安定になることから、LDモジュールには、一般に、反射光の帰還を阻止するための光アイソレータが組み込まれている。
(ⅳ)光源と光ファイバとの結合損失について述べた次のA~Cの文章は、【BCが正しい】。
A 光源と光ファイバとの結合損失αdBは、光源の出力光パワーをPomW、光ファイバ内に取り入れられた光パワーをPrmWとすると、次式で表される。
【α=10log10Po/Pr】
B LDから出射される光ビームの放射角度はLEDの放射角度と比較して小さいため、同じ結合方式の場合、LDはLEDより光ファイバとの結合損失が小さい。
C 光源と光ファイバとの結合損失は、同じ結合方式の場合、光ファイバのコア径によって異なり、一般に、コア径が大きいほど結合損失は小さい。

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