H24第1回-伝送交換設備-問2 電気通信主任技術者(伝送)

(1)次の文章は、通信衛星の搭載機器の概要について述べたものである。
通信衛星は、通信用の【ミッション機器】と、それをサポートする共通機器によって構成される。
【ミッション機器】は、一般に、アンテナ機器と中継器から構成される。通信衛星の中継器は、地球局から通信衛星に向けて送信されたアップリンク周波数帯の電波を、通信衛星から地球局向けに送信されるダウンリンク周波数帯の電波に変換するとともに、信号を増幅して送信する。周波数の変換には、受信周波数に直接変換する方式と、いったん中間周波数に変換した後、送信周波数に変換する【ヘテロダイン方式】がある。
共通機器は、一般に、通信衛星の姿勢制御機器、構体、電源機器などから構成される。通信衛星で使用される姿勢安定方式にはスピン安定方式及び三軸安定方式がある。
三軸安定方式の一つである【バイアスモーメンタム方式】では、一般に、高速で回転するホイールの軸の方向が慣性空間で一定に保持される性質を利用して一軸を安定させ、他の軸はスラスタや磁気トルクにより安定させることで通信衛星の姿勢を制御している。
また、ダウンリンク用のアンテナビーム制御については、通信衛星本体の姿勢制御との連動が必要であり、特にトラヒックの集中するエリアに対する【スポットビーム】を用いたサービスには、高精度なアンテナビーム制御が要求される。
(2)次の文章は、IPv6について述べたものである。
(ⅰ)IPv6のヘッダなどについて述べた次の文章のうち、正しいものは、【②】である。
①IPv6のヘッダ内には、送信元IPアドレス及び宛先IPアドレスを合わせて【32】〔Byte〕のフィールドが割り当てられている。
②IPv6のヘッダは、40〔Byte〕の固定長である基本ヘッダ及び必要により付加される拡張ヘッダにより構成される。
③基本ヘッダには、トラヒッククラス、フローラベル、ペイロード長、ホップ制限などのフィールドがある。【認証ヘッダ、暗号ヘッダは含まれない】
④IPアドレス空間として128〔bit〕が割り当てられており、この128〔bit〕を16〔bit〕ずつに区分し、区分された一つ一つを【16進数】で表記したものがカンマでつながれ、IPv6のアドレスとして表記される。
(ⅱ)IPv6の特徴などについて述べた次の文章のうち、誤っているものは、【③】である。
①IPv6のアドレスは、一般に、ユニキャスト、エニーキャスト、及びマルチキャストの3種類に分類される。
②IPv6におけるアドレス自動設定機能の一つに、IPv6ホスト自身が持つ情報及び同一リンク上のルータから得られる情報を使用したステートレスアドレス自動生成がある。
③IPv6ホストは、一般に、リンクローカルアドレスの設定を終えた時点で、ルータを超えたほかのリンク上のIPv6ノードと通信することが【できない】。
JPNIC:IPv6アドレス技術解説
https://www.nic.ad.jp/ja/newsletter/No32/090.html
④IPv6におけるpingコマンドは、IP層の管理と制御の機能を提供するプロトコルであるICMPv6のエコー要求メッセージなどを利用している。
(3)次の文章は、通信用電源設備に用いられる受電装置の概要などについて述べたものである。
(ⅰ)受電装置の概要について述べた次の文章のうち、誤っているのは、【①】である。
①受電装置に具備される機能には、一般に、変電、整流、分配及び保安があり、保安機能には、ヒューズ、遮断器などが用いられている。
受電装置に整流は含まれない
受電装置→変換装置(整流器やコンバータ、インバータ等)
②受電装置の遮断器は、平常時には電路の開閉により負荷設備の運転と停止に使用されるが、異常時や事故時には過電流を迅速、確実に遮断して、ほかの負荷設備などへの波及を防止する役割を持っている。
③受電装置には、使用した電力量の計量を行うために電力量計が設置されており、一般に、電力会社から支給された電力量計が、受電した電力の取引用として用いられている。
④受電装置に接続される負荷側の装置は、一般に、誘導性のものが多いことから無効電力が発生する。このため、受電装置には、一般に、無効電力を減らすことにより力率を改善する目的で、推相コンデンサが接続されている。
(ⅱ)電気事故の原因及び検出機器について述べた次の文章のうち、正しいものは、【③】である。
①過電流の原因としては、高圧ヒューズの劣化による溶断や遮断器の劣化による遮断があり、過電流継電器などで検出している。
②短絡の原因としては、三相配線における一相の対地間の絶縁劣化があり、過電流継電器などで検出している。
③地絡の原因としては、猫、蛇、ネズミなどによる電路の導体への接触があり、地絡継電器などで検出している。
④欠相の原因としては、配線の絶縁劣化や接続部の接触不良があり、欠相検出装置などで検出している。

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