H26第1回-伝送交換設備及び設備管理-問2

無線アクセスネットワーク、TCP/IPのプロトコル階層モデル、受電システムに用いられる機器について

(1)無線アクセスネットワークの概要について

ワイヤレス・ブロードバンド環境には、携帯電話系の移動通信システム以外に無線LAN、広帯域無線アクセス、無線PAN(Personal Area Network)などのシステムが用いられている。

無線LANには各種の規格がある。IEEE802.11nでは、既存の規格と比較して、スループットを高速化するために、アクセスポイントとクライアント間の送受信に複数の送信アンテナと複数の受信アンテナを用いて複数の無線経路を効率的に利用する【MIMO】技術が用いられている。

さらに、IEEE802.【11ac】では、その技術を複数端末宛の同時無線通信に拡張してシステム全体のスループットを高速化するために、アクセスポイントからクライアントへ向かうダウンリンクのDLMU-【MIMO】技術が用いられている。

広域無線アクセスはBWAとも言われ、固定WiMAX、モバイルWiMAXなどがある。モバイルWiMAXでは、周波数の離れた複数のサブキャリアをまとめて一つのサブチャネルとみなし、サブチャネル単位でユーザ割り当てを行うことができる【OFDMA】と言われる多元接続方式が用いられている。

また、近距離無線を使用した無線PANには、IEEE802.15WGで検討され、標準化された規格として、2.4GHz帯を利用する【Bluetooth】、ZigBeeなどがある。

メモ:
DLMU-MIMO(DownLink Multi User Multiple Input Multiple Output)

BWA(Broadband Wireless Access)

OFDMA(Orthogonal Frequency-Division Multiple Access)

(2)TCP/IPのプロトコル階層モデルにおけるアプリケーションプロトコルの概要について

(ⅰ)アプリケーションプロトコルの特徴について述べた次の文章のうち、誤っているものは、(オ)である。

<(オ)の解答群>

①アプリケーションプロトコルは、一般に、Webブラウザ、電子メール、遠隔ログイン、ファイル転送、ネットワーク管理などで用いられている。

②TELNETは、ルータや高機能スイッチなどのネットワーク機器に遠隔ログインして、その機器の設定などができるプロトコルであり、TCPコネクションを利用している。

③FTPはサーバとクライアントとの間でのファイル転送などに用いられており、制御用としてTCPコネクション、ファイルや一覧表などのデータ転送用として【TCPコネクションを利用している。どちらもTCPのみでUDPは利用されない。】

④HTTPはWebブラウザとWebサーバとの間でのコンテンツの送受信などに用いられており、HTTP1.1では、一つのTCPコネクションで複数の要求、応答などからなるメッセージの送受信ができる。

(ⅱ)SNMP及びMIBの特徴について述べた次の文章のうち、正しいものは(カ)である。

<(カ)の解答群>

①TCP/IPネットワークにおいてネットワーク管理情報の取得などを行うために用いられるSNMPは【UDP】上で動作するプロトコルである。

②ルータ、スイッチなどの管理される側(エージェント)の管理情報ベースであるMIBは、一般に、【スター型】のデータベース構造を有しており、MIBには標準MIBと拡張MIBがある。

③SNMPにはRMONというリモートネットワーク監視の拡張機能がある。【RMON】が機器に接続されるネットワークのトラヒックを監視するパラメータ群から構成されるのに対し、【MIB】は、一般に、ネットワーク機器単体を監視するパラメータ群から構成される。

④SNMPのイベント通知であるTrapは、何らかの原因でネットワーク機器の状態が変化した際に、マネージャからエージェントに問い合わせが無くても、監視対象機器の状態変化をエージェント側から通知する場合などに利用される。

メモ:
SNMP(Simple Network Management Protocol)

MIB(Management Information Base)

RMON(Remote network MONitoring)

OSI参照モデルは7階層(アプリケーション層、プレゼンテーション層、セッション層、トランスポート層、ネットワーク層、データリンク層、物理層)あり、頭文字をとって「アプセトネデブ」と覚えると覚えやすい。

ネットワーク層にはルータが位置しており、それより下部はローカルエリア、上部がワイドエリアで利用されるプロトコルである。
ネットワーク層はIPと言うプロトコルが主流で、IPアドレス等を扱っている。
つまり、ルータはIPアドレスの管理・変換・ホストへの割当て等をする機器である。

また、インターネットやメール等のアプリケーションを使用する際にポート番号が必要となるが、これがトランスポート層に位置するTCPまたはUDPと言うプロトコルが用いられる。
IPアドレスが住所であれば、ポート番号はマンション等の部屋番号と考えるとイメージしやすい。

よくTCP/IPと言う言葉が出てくるが、上記二つの層を表しており、ネットワークの基盤と言える。

TCP/IPはインターネットの基礎であり、幅広い分野で利用されているため、きちんと理解しておいた方がいい。

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(3)受電システムに用いられる機器の概要について

(i)変圧器について述べた次の文章のうち、正しいものは、(キ)である。

<(キ)の解答群>

①外鉄系変圧器は、巻線の周囲に【複数】の磁気回路を有しており、内鉄系変圧器と比較して、一般に、銅損が【大きい】ことから低圧用の変圧器に【適していない】。

②内鉄系変圧器は、巻線の周囲に【単一】の磁気回路を有しており、外鉄系変圧器と比較して、一般に、磁路長が【長い】ため鉄損が【大きく】、巻線の半径が【小さく】なる。

③油入変圧器は、巻線の絶縁と冷却に絶縁油が使用されることから、変圧器を長時間使用した場合でも、乾式変圧器と異なり、絶縁性能が【低下する】。

④モールド変圧器は乾式変圧器の一種であり、巻線の絶縁材料としてエポキシ樹脂などが用いられているため、難燃性を有している。

⑤三相変圧器は、1台の変圧器で三相変圧を行う変圧器である三相変圧器は、単相変圧器3台を1組として使用した場合と比較して、単位容量あたりの床面積は【小さいので】、高圧側の接続工事が容易となる。

メモ:
変圧器:交流電力の電圧の高さを電磁誘導を利用して変換する電力機器・電子部品である。変成器、トランスとも呼ぶ。電圧だけでなく電流も変化する。

交流電圧の変換(変圧)・インピーダンス整合・平衡系-不平衡系の変換に利用する。

Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%89%E5%9C%A7%E5%99%A8

(ⅱ)電力開閉装置について述べた次の文章のうち、誤っているものは、(ク)である。

<(ク)の解答群>

①開閉器は、電路の分岐、切替え又は切離しを行う機能を有している。開閉器には気中負荷開閉器、ガス負荷開閉器などがある。

②遮断器は、負荷側の異常時における電路の遮断のほか、正常時においても電路を開閉する機能を有する。

③磁気遮断器、遮断時の【電流変化で生じる磁界】により、アークを直角方向に押し出し、その位置に設けられた冷却消弧板により電熱冷却して消弧する機能を有している。

メモ:
アーク(ark):円弧。二つの電極間の放電によって、発生した光の円弧、電弧。

消弧(しょうこ):不意電弧は、機器等に有害な影響を及ぼすため、その電弧を消す機能のこと。

不意電弧:スイッチのオフオン時に発生する火花のように、製品上意図せず発生する電弧のこと。単にアークとも呼ばれる。

④真空遮断器は、電路の遮断を真空中で行う機能を有している。アークが真空中に急激に拡散することから、一般に、電気的な開閉寿命は長いとされている。

⑤空気遮断器は、消弧媒体として圧縮空気を用い、この圧縮空気をアークに吹き付けて消弧する機能を有している。

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