H26第1回-伝送交換設備及び設備管理-問1

(1)光アクセスシステムの概要について

光アクセスシステムのネットワークトポロジには、SS型、ADS型及びPDS型がある。

PDS型の構成を用いたものにPONシステムがあり、一般に、OLT、【光スプリッタ】、ONU及びこれらをそれぞれ接続する光ファイバで構成される。

PONシステムにおいては、一般に、WDM技術が用いられ、上り信号と下り信号には異なる波長が割り当てられている。

OLTからONU方向の下り信号の伝送には、複数のユーザの信号を多重化するため【TDM】技術を採用している。

この多重化された下り信号はOLT配下のすべてのONUに対して伝送されるが、ONUは、ONU個々に割り当てられたタイムスロットの信号のみを抽出して端末側へ送信する。

一方、ONUからOLT方向の上り信号の伝送には、OLTを共有するほかのONUから送信される信号と衝突しないように、それぞれの信号送出のタイミングをずらして送信する【TDMA】技術が用いられている。

なお、IEEE802.3ahで標準化されたGE-PONでは、OLTからONU方向の下り信号の最大伝送速度が、【1.25】〔Gbit/s〕と規定されている。

メモ:
http://www.ntt.co.jp/journal/0508/files/jn200508071.pdf
NTT技術ジャーナル

(2)デジタル伝送における伝送路符号、波形パターンなどについて

(i)図は、代表的な伝送路符号の波形パターンを示したものである。図の(A)~(C)の波形パターンに該当する伝送路符号の組合せのうち、正しいものは(オ)である。

問1(2)

【(A)両極性NRZ符号、(B)CMI符号、(C)AMI符号】

メモ:
http://www.manifold.co.jp/course/10shunin-gijutsusha/kakomon/20160328transmission-code.html
電気通信主任技術者試験 過去問解説 第8回 伝送路符号

http://www.lineeye.co.jp/html/term_denso.html
通信基本用語 伝送路符号

デジタル伝送における代表的な伝送路符号の波形パターン

(ⅱ)デジタル化された信号を伝送路へ送出する場合の符号に対する必要条件などについて述べた次の文章のうち、誤っているものは(カ)である。

<(カ)の解答群>

①デジタル伝送路においては、一般に、2進符号をパルスの有無で表現する2値符号が用いられる。また、2値符号と同一のパルス送出間隔のままで多値符号を用いることにより、一般に、情報伝送量の増大を図ることが可能とされている。

②メタリック平衡対ケーブルでは、一般に、低周波成分ほどケーブルでの減衰量が【少ない】ため、符号列の電力スペクトラムに直流を含む低周波成分の【多い】符号化方式が用いられる。

メモ:
一般に、高周波30MHz以上は放射しやすくなる特性をもつ。

③再生中継器に適用される自己タイミング方式では、受信パルス列内のタイミング情報が失われないように、ゼロ符号の連続を抑圧するなどの方式が用いられる。

④再生中継器においてデジタル信号の伝送品質劣化の要因の一つであるジッタを減少させるためには、タイミング抽出回路でのタイミング信号の短期的位相変動を少なくすることが有効とされている。

(3)IP電話で用いられるVoIP技術などについて

(ⅰ)IP電話などで用いられるITU-Tで標準化された音声信号の符号化方式について述べた次の文章のうち、正しいものは(キ)である。

<(キ)の解答群>

①PCM符号化方式は、ビットレートが64〔kbit/s〕であり、符号化則としては、日本などで採用されている【μ-law】及び欧州などで採用されている【A-law】がある。

メモ:
PCM(Pulse Code Modulation):音声などのアナログ信号をデジタルデータに変換する方式。信号を一定時間毎に標本化(サンプリング)し、定められたビット数の整数値に量子化して記録する。

②PCM符号化方式は、従来のアナログ加入者線インタフェースを有する【固定電話機には採用されていないが、ISDN標準端末やIP電話機】には利用されている。

③ADPCMと言われる適応差分パルス符号変調方式は、ビットレートが【32】〔kbit/s〕のハイブリット符号化方式であり、デジタルコードレス電話機、PHS端末などに採用されている。

メモ:
ADPCM(Adaptive Differential Pulse Code Mode):
自然信号に対する圧縮方式の一つで、主に音声信号に用いられる。
過去に複合された信号標本と現在の信号標本との差分信号を符号化する差分パルス符号変調(DPCM、差分PCM)を改良し、量子化幅を適応的に変化させるもの。
圧縮率ではMP3やAACに劣るが、高速な圧縮展開が可能であることと、処理遅延が非常に小さいため、規則音声合成回路等、データ量の削減とデータ展開の高速性と言った相反する要求を一度に満たす必要がある装置に用いられる。

差分PCM(Differential Pulse Code Mode):
信号間の差分をPCM符号化する方式。単純な処理で情報の圧縮ができるため、ADPCMと共に音声符号化や画像符号化の分野で古くから使われている。

差分PCMとADPCMは1950年にベル研究所のカトラーが発明し、特許を取得。ITU-T G.721や726で使用される。

④CS-ACELPを用いた音声符号化方式は、ビットレートが【8】〔kbit/s〕であり、IP電話機、インターネット電話などに採用されている。

⑤CS-ACELPを用いた音声符号化方式では、実際の音声波形を伝送するのではなく、コードブックに登録された波形パターンの番号などを伝送している。

メモ:
CS-ACELP(Conjugate Structure and Algebraic Code Excited Linear Prediction):
ACELPを応用した音声暗号化アルゴリズムで、ITU-T G.729で使用される。効率が良いため、VoIPや携帯電話などの音声コーデックで広く用いられる。

(ⅱ)VoIPで使用されるシグナリングプロトコルなどについて述べた次の文章のうち、誤っているものは、(ク)である。

<(ク)の解答群>

①SIPは、クライアントがリクエストメッセージをサーバに送り、サーバがそれに応答するレスポンスメッセージをクライアントに送ることを繰り返すことによる、リクエスト/レスポンスモデルに基づいている。

②SIPサーバは、機能別に、リダイレクト、プロキシ、レジストラなどで構成される。クライアントからのリクエストに応じてサービスを提供するサーバへSIPメッセージを中継する機能は、一般に、【プロキシサーバ】と言われる。

③Megacoは、大規模ネットワークなどで用いられ、MGCが呼制御の機能を持ち、MGはその指示に従って音声などを対象としたメディア処理を行う機能を有する。

④MGCPのネットワークアーキテクチャは、一般に、マスタ/スレーブ型と言われ、CAが呼制御の権限を持ち、配下の各種GWを制御している。

コメント