H28第1回-データ通信-問4

(1)次の文章は、MPLS-VPNにおけるVPNトラヒックの転送処理について述べたものである。

VPNサイト内から他のVPNサイト宛のパケットを受信したCE(Customer Edge)ルータは、直接接続しているイングレスPE(Provider Edge)ルータへパケットを転送する。
そのパケットを受信したイングレスPEルータは、受信パケット内のレイヤ【3】情報及び受信インタフェースから目的のVPNサイトのVPN識別用ラベルを選び、それを受信したパケットに付加する。
さらに、イングレスPEルータは【ネクストホップの】LSR(Label Switch Router)を決定して、対応した転送用ラベルをVPN識別用ラベルの前に付加し、【ネクストホップの】LSRに転送する。
二つのラベルを持つパケットを受信したLSRは、ラベルスタックの先頭にある転送用ラベルに基づき、【ネクストホップの】LSRを決定し、そのLSRが利用するラベルで受信した転送用ラベルを置き換え、【ネクストホップの】LSRへ転送する。
このようなラベル切替えにより、イングレスPEルータから送出されたパケットは、【LSP上】を転送されて、目的のVPNサイトに接続されているイーグレスPEルータに到達する。
二つのラベルを持つパケットがイーグレスPEルータの一つ手前のLSRへ到達すると、転送用ラベルが取り除かれ、さらにイーグレスPEルータによりVPN識別用ラベルが取り除かれて、目的のVPNサイトへ、通常フォーマットのパケットが転送される。
イーグレスPEルータの一つ手前のLSRで転送用ラベルが取り除かれる方式は【PHP】といわれ、イーグレスPEルータが処理する負荷を軽減している。

(2)ルータにおける帯域制御及びパケットのキューイングについて述べた次の文章のうち、誤っているものは、【②】である。

①あらかじめ設定した帯域上限を超えてパケットが到来した場合、帯域上限を超えたパケットをキューに格納した後に送信することで出力レートを平準化する手法は、一般に、シェーピングといわれる。


②ルータ内にある複数のキューに対して優先度を設定し、パケットをフローごとにそれぞれのキューに割り振り、優先度の高いキューからパケットを送出し、そのキューのパケットがなくなるまで、優先度の高いキューからパケットを送出させないキューイングは、一般に、【プライオリティキューイング】といわれる。


③プロトコルなどによって区分された複数のグループに対して、それぞれ必要な使用帯域を設定し、ラウンドロビンなどの技術を使用して帯域を制御することができるキューイングは、一般に、カスタムキューイングといわれる。


④ルータ内にある複数のキューに対して重みを設定し、パケットをフローごとにそれらのキューに割り振り、キューの重みに応じてパケットの送出を公平に行うキューイングは、一般に、WFQといわれる。

(3)IPv4とIPv6の共存技術について述べた次のA~Cの文章は、【BCが正しい】。

A 端末やサーバがIPv4とIPv6の両方のプロトコルスタックを持つ技術は、一般に、【デュアルスタック】といわれる。
メモ:https://www.nic.ad.jp/ja/newsletter/No37/0800.html


B IPv6ネットワーク上でIPv4パケット全体をカプセル化して通信する技術は、一般に、IPv4 over IPv6トンネリングといわれ、MAP-EやDS-liteなどの技術がある。


C IPv4ネットワークとIPv6ネットワークとの間に双方のプロトコルを相互変換できる装置を用いて通信する技術は、一般に、トランスレーションといわれる。

(4)IP網におけるマルチキャストについて述べた次の文章のうち、正しいものは、【②】である。

①受信ホストとラストホップとなるルータとの間でやり取りされるマルチキャスト用プロトコルとして、IPv4では【IGMP(Internet Group Management Protocol)】が用いられ、IPv6では【MLD(Multicast Listener Discovery)】が用いられる。


②IGMPは、受信ホストのマルチキャストグループへの参加、ルータのクエリと受信ホストのレポート応答によるメンバ管理、受信ホストのマルチキャストグループからの離脱などの手続きを定めている。


③ルーティングドメイン内にマルチキャストリスナが多数存在し、均一に分散している場合には、【PIM-DM】を適用すると効果的である。一方、マルチキャストリスナの数が少なく、分散に偏りがある場合には、【PIM-SM】が有利である。


④レイヤ2スイッチがホストとルータの間のメッセージを覗き見て、必要なポートだけにマルチキャストパケットを転送する機能は、【IGMPスヌーピング】といわれる。

(5)NGNについて述べた次の文章のうち、正しいものは、【①】である。

①NGNのアーキテクチャは、IPパケットの基本的な転送機能などを提供するトランスポートストラタム及び付加価値サービスなどを提供するサービスストラタムの2階層モデルとなっている。


②NGNでは、種々のインタフェースを規定することによりネットワークをオープン化しており、サービスストラタムにおいてアプリケーションが接続されるインタフェースとして【ANI】が設けられている。


メモ:ITPRO 第2回 NGNの概要(後編)

NGNインタフェース

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