H28第1回-データ通信-問3

(1)10ギガビットイーサネットの物理層について

通信速度が10ギガビット/秒クラスのイーサネット(10GbE)の物理層は、ギガビットイーサネットと同様に、PCS、PMA及びPMDといわれる副層を持ち、PCSはMACフレームを符号化し、PMAは【パラレル/シリアル変換】を行い、PMDは物理媒体と接続するインタフェースを提供する。
10GbEのWAN PHYにおいては、さらにPCSとPMAの間にWISといわれる副層があり、SDH/SONETと整合させる役割を持つ。
PMDと物理媒体とのインタフェースはMDIといわれ、PCSからMAC副層へ接続する共通インタフェースは【XGMI I】といわれる。
【XGMI I】は、【32】〔bit〕幅の信号を156.25〔MHz〕のクロックのリーディングエッジとトレーリングエッジの両方で送受信することにより10〔Gbit/s〕の通信速度を実現する仕様となっている。
10GBASE-R等においてPCSが行う64B/66B符号化は、64〔bit〕の送信データを66〔bit〕の符号に変換して送信するため、変換効率は約【97】〔%〕となる。
これは、1000BASE-XにおいてPCSが行う8B/10B符号化よりも高い変換効率となっている。

(2)ADSLについて述べた次の文章のうち、正しいものは、【②】である。

①ADSLでは、ユーザ宅内のATU-Rと通信事業者の設備センタ内のATU-CがN:1対向して通信を行っており、ATU-Cは1台で複数ユーザを収容することが可能である。


②ADSLサービスと既存の電話サービスを同一のメタリック回線で利用する場合、ユーザ宅内に設置されるスプリッタと、通信事業者の設備センタに設置されるスプリッタによってADSLのデータ信号と電話の音声信号が多重又は分離される。


③通信事業者の設備センタに設置されるDSLAMは、ADSL信号を復調した後のデータがPPPoAやPPPoEであることを識別するとともにPPPを終端し、ISPなどの接続先に振り分ける機能を有している。


④ユーザ宅内に設置されるADSL送受信機にはルータ型とブリッジ型があり、一般に、WAN回線を経由して接続される二つのLANを、ルータ型で接続しているときには同一LANのセグメントとして扱い、ブリッジ型で接続しているときには互いに異なるLANのセグメントとして扱う。

(3)コアネットワーク伝送技術について述べた次の文章のうち、誤っているものは、【②】である。

①OTN(Optical Transport Network)は、波長レベルでスイッチングを行う波長ルーティング技術と波長分割多重技術を用いており、OSS(Operation Support System)が波長の論理パスを管理する。


②多様なクライアント信号を、SDHやOTNのペイロードにマッピングする技術としてGFPが標準化されている。GFPフレームは、コアヘッダと【可変長】のペイロード領域により構成され、クライアント信号は【可変長】のペイロード領域に収容される。


③他の通信事業者のSDH/SONET信号をWDM装置に収容する際、STMフレームをトランスペアレントに転送することが求められる場合には、SOHで行っている故障点評定や切替機能を、WDMレイヤなどにおいて実現する必要がある。


④OTNにおいて、波長単位でノード間に割り当てられた論理的な信号の通路はOCh(Optical Channel)といわれる。OChのフレーム構造は、クライアント信号が収容されるペイロード、OChの保守・運用情報を扱うオーバヘッドなどで構成される。

(4)IEEE802.11で標準化されているLANの伝送方式について述べた次のA~Cの文章は、【ABが正しい】。

A 無線LANのアクセス制御には、PCF(Point Coordination Function)とDCF(Distributed Coordination Function)といわれる二つの方式がある。PCFはアクセスポイント(AP)がAP配下の各端末に送信要求の有無を問い合わせ、送信要求のあった端末へ順番に送信権を与える方式であり、DCFは各端末がチャネルの使用状況を検知して自律的に送信データの送信タイミングを決める方式である。


B 送信側及び受信側とも複数のアンテナを使い、それぞれのアンテナから同じ周波数で異なるデータストリームを送信し、それを複数のアンテナで受信する技術は、一般に、MIMOといわれ、一対のアンテナで送受信する場合と比較して、理論上はアンテナの数だけ空間多重により高速化できる。


C 無線LANでは、同一の無線チャネルを複数の端末で共有するため、【CSMA/CA】といわれる衝突回避のためのアクセス制御方式が使用されているが、伝搬環境などの条件によっては無線セル内で送受信フレーム同士が衝突する恐れがある。

(5)CATVシステムなどにおける変調方式について述べた次の文章のうち、誤っているものは、【④】である。

①CATVシステムで使用されているQAMは、搬送波の位相と振幅を変化させて情報を送る変調方式であり、CATVシステムは、無線システムと比較して伝送路としての条件が良いことから、64QAMや256QAMを用いてより多くの情報を送ることが可能である。


②衛星デジタル放送などで使用されているPSKは、搬送波の位相を変化させて情報を送る変調方式であり、ASKと比較して、伝送途中の雑音に対する誤り特性が優れており、衛星経由の微弱信号などを伝送する場合に適している。

③地上デジタル放送で使用されているOFDMは、複数の搬送波を用いるマルチキャリア変調方式の一つであり、複数のサブキャリアに分割して伝送することにより、サブキャリア1波当たりのシンボルレートを低くすることができ、地上での電波伝搬の際に生ずる反射波による干渉の影響を受けにくい。


④デジタル放送の多チャンネル信号などを一括して広帯域なFM信号に変換し、その信号で光を振幅変調する方式はSCMといわれ、FTTH型【光映像配信】システムで使用されている。

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