H27第1回-伝送交換設備-問2

(1)次の文章は、DHCPの概要について述べたものである。
LANの環境において、一般に、IPアドレスの設定を自動化したり、配布するIPアドレスの一括管理を行ったりするためのプロトコルとして、DHCPが利用される。
IPv4ネットワークでは、DHCPサーバを利用してIPアドレスを自動設定できる機能がある。この機能を用いたDHCPクライアントは、起動されるとDHCPサーバを探すためのメッセージを【ブロードキャスト】する。このメッセージを受け取った一つ以上のDHCPサーバは、このDHCPクライアントにメッセージを返信する。DHCPクライアントは、受信したメッセージの中から利用するDHCPサーバを決定し、【DHCP要求】メッセージを送信することで、割り当てられたIPアドレスなどを確定する処理をそのDHCPサーバとの間で進める。
一方、IPv6ネットワークでは、DHCPサーバがなくてもIPアドレスを自動設定できる機能がある。IPv6ホストは、一般に、自身のLANカードのMACアドレスを利用して生成した【インタフェースID】と最寄りのルータから得られる情報を組み合わせてIPv6アドレスを生成し、自身に設定することが可能である。
しかし、DNSサーバのIPアドレス情報は自身で設定ることができない。このため、IPv6ネットワークでDHCPサーバを利用した【ステートフルアドレス】自動設定の機能などを用いることにより、DHCPクライアントが、自身のIPアドレスの情報以外にDNSサーバ、SIPサーバなどのIPアドレスの情報を設定することも可能としている。また、DHCPサーバ側の管理者は、IPアドレスの割当てを制御することが可能となる。
(2)次の文章は、アンテナなどの無線設備相互間などを伝送する電波について述べたものである。
(ⅰ)電波の種類、特徴及び周波数帯ごとの主な用途について述べた次の文章のうち、正しいものは、【②】である。
①電波法では、300万〔MHz〕以下の周波数の電波と定義しており、電波は、周波数の最も低いVHFといわれる超長波から周波数の最も高いサブミリ波までに分類される。【SHFはマイクロ波でサブミリ波とは違う】
②極超短波は、短波と比較して、小型のアンテナで利用可能なことから、第3世代の携帯電話、PHS、DECT方式のコードレス電話などに利用されている。
③マイクロ波は、極超短波と比較して、波長が【短い】ことから特定の方向に向けて発射するのに適しており、衛星通信、衛星放送、気象レーダなどに利用されている。
④ミリ波は、強い直進性があることから、悪天候時でも雨や霧による影響を【強く受けてしまう】。このため、比較的【短距離】の無線アクセス通信などに利用されている。
総務省:周波数帯ごとの主な用途と電波の特徴http://www.tele.soumu.go.jp/j/adm/freq/search/myuse/summary/
(ⅱ)電波の特性などについて述べた次の文章のうち、誤っているものは、【②】である。
①人体が非常に強い電波にばく露された場合、誘導電流が神経や筋の活動に影響を与え、血流の変化などを引き起こす作用は、一般に、刺激作用といわれ、また、一部が体内に吸収されてそのエネルギーが熱となるため体温が上昇する作用は、一般に、熱作用といわれる。
②人体が【3000〔㎔〕(電波は3〔㎔〕までのため、更に細かい電磁波)】異常の周波数の強い【電磁波】にばく露されると、一般に、刺激作用及び熱作用が生じるとともに、X線やγ線などのように細胞の遺伝子に損傷を与える電離作用が生じる。
③無線設備から発射される電波の強度が基準値を超える場所であって、人が通常、集合し、通行し、その他出入りする場所に取扱者以外の一般の人々が容易に出入りできないように施設することが、電波法に基づく安全施設として規定されている。
④携帯電話端末など人体頭部に近接して使用する無線設備に対しては、比吸収率(SAR)の許容値が無線設備規則で規定されている。また、無線設備を頭部以外の部位に近接して使用する場合などにおける人体の安全性に対応するため、BODY-SAR規制が導入されている。
(3)次の文章は、電力変換装置の概要について述べたものである。
(ⅰ)整流回路について述べた次の文章のうち、誤っているものは、【①】である。
①整流回路とは、交流を直流に変換する回路のことであり、直流を交流に変換する【逆変換回路】に対して、【順変換回路】ともいわれる。
②整流回路では、一般に、交流入力1サイクルの間における整流後の出力電圧波形の繰り返し数が多いほど、出力電圧波形は理想的な直流の波形に近くなり、交流入力側の電流波形は正弦波に近くなる。
③整流回路には、単相半波整流回路、単相全波整流回路、三相半波整流回路、三相全波整流回路などがある。
④整流回路の出力電圧の脈動はリプルといわれ、三相全波整流回路は、一般に、三相半波整流回路と比較して、リプルが小さい。
(ⅱ)インバータ、コンバータ及びスイッチングレギュレータについて述べた次のA~Cの文章は、【Cが正しい】。
A 【コンバータ】は、直流入力電圧を異なる直流電圧に変換する装置である。デジタル交換機などでは、電子回路のほとんどが動作電源として多種類の低電圧の直流電源を必要としており、これらの電子回路に直流電圧を供給するために【コンバータ】が用いられる。
B 【インバータ】は、直流入力電力を交流電力に変換する装置である。交流無停電電源装置は、一般に、交流電力を直流電力に変換して蓄電池に接続した後に、直流電力を【インバータ】で変換し、低電圧で低周波数の交流電力を出力する方式を採っている。
C スイッチングレギュレータは、スイッチング素子を用いて入力電圧を断続することにより電圧変換を行うとともに、スイッチング素子のオン時間とオフ時間の長さの比を調整して、出力電圧の安定化を図る方式を採っている。

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