H26第1回-伝送交換設備及び設備管理-問4

(1)電気通信事故の防止に関する制度の概要について

設備の設置・設計、工事、維持・運用と言った設備のライフサイクルを念頭に、電気通信事業法令では、電気通信事業者に対し、事故の事前防止や事故発生時に必要な取り組みの確保、設備管理における監督責任者の選任を義務付けることなどを、事故の防止のための基本的枠組みとしている。

事故の事前防止や事故発生時に必要な取り組みにおいて、事業者共通に義務付けが必要な事項は【技術基準】に規定されている。

また、ネットワーク構成など事業者ごとの特性に応じた自主的な取り組みで確保すべき事項は【管理規定】の作成及び届出義務により確保することとし、加えて、事業者が実施すべき又は実施が望ましい取り組みは任意基準である情報通信ネットワーク安全・信頼性基準で規定されている。

また、設備管理における監督責任者については、設備の工事、維持、運用に監督責務を有する電気通信主任技術者の選任が義務付けられている。

事故後の対応には事故報告制度があり、事故報告制度は、実際に発生した事故の分析と報告などを通じ、事故の事前防止の取り組みなどにおいて不十分な点がなかったかを改めて検証し、事故の発生防止に向けた取り組みを充実・強化するために不可欠なPDCAサイクルの要となる制度の一つである。

事故報告制度の報告基準は、重大事故と四半期報告事故に分けて設定され、このうち四半期報告事故は、事故の影響利用者数3万以上又は継続時間数【2時間】以上の事故が該当するとしている。

なお、平成25年度には総務省主催による多様性・複雑化する電気通信事故の防止の在り方に関する検討会が開催され、サービスの多様化の進展を踏まえ、電気通信事業者のうち、有料、一定規模以上など社会的影響力の大きなサービスを提供する【回線非設置事業者】については、事故発生時の影響に鑑み、回線設置事業者と同様の規律を適用するなど、事故防止の基本的枠組みの見直しも行うことを含んだ報告書が取りまとめられ公表されている。

(2)JIS Z 8115:2000ディペンダビリティ(信頼性)用語について

(ⅰ)保全性に関する用語について述べた次の文章のうち、正しいものは(オ)である。

<(オ)の解答群>

①保全・保守とは、アイテムを使用及び運用可能状態に維持し、又は故障、欠点などを回復するためのすべての処置及び活動を言う。

②【予防保全】とは、アイテムの使用中の故障の発生を未然に防止するために、既定の間隔又は基準に従って遂行し、アイテムの機能劣化又は故障の確立を低減するために行う保全を言う。

③【機能点検】とは、フォールト是正後、アイテムが要求機能を遂行できるように回復したことを確認するための活動を言う。

④【修理】とは、規定の要求仕様を満足しなくなったアイテムを修理作業によって、再び使えるようにする行為を言う。

(ⅱ)試験・検査に関する用語について述べた次の文章のうち、誤っているものは(カ)である。

<(カ)の解答群>

①適合試験とは、アイテムの特性又は性質が既定の要求事項に合致するかどうかを判定するための試験を言う。

②フィールド試験とは、試験時に動作、環境、保全及び測定の条件を記録するフィールドで行う適合試験又は決定試験を言う。

③【耐久性試験】とは、規定のストレス及びそれらの持続的又は反復的印加がアイテムの性質へ及ぼす影響を調査するため、ある期間にわたって行う試験を言う。

④スクリーニング試験とは、不具合アイテム又は初期故障を起こしそうなアイテムの除去又は検出を意図する試験又は試験の組合せを言う。

(3)ある装置の信頼性について。ただし、装置は偶発故障期間中にあり、e-0.10=0.90、e-0.08=0.92、e-0.04=0.96とし、eは自然対数の底とする。また、答えは、小数点以下を切り捨てるものとする。

(ⅰ)装置Aの総動作時間、総動作不能時間及び総保全時間の合計を3300〔時間〕、総動作不能時間を200〔時間〕、総保全時間を100〔時間〕、故障回数を5回とするとき、装置AのMTBFは、(キ)〔時間〕となる。

メモ:
MTBF:総稼働時間を故障時間で割ったもの

(3300-200-100)÷5=600〔時間〕

(ⅱ)装置B1及びB2のMTBFをそれぞれ2000〔時間〕及び2500〔時間〕としたとき、装置B1及びB2をそれぞれ一つ用いた並列冗長システムの200〔時間〕における信頼度は(ク)〔%〕である。

R=e-λt Rは信頼度、λは故障率、tは時間

装置B1のλは1/2000=0.0005、
装置B2のλは1/2500=0.0004

B1=e-0.0005×200=e-0.10=0.90、
B2=e-0.0004×200=e-0.08=0.92

並列冗長システムの信頼度は、
R=1-(1-RB1)(1-RB2
 =1-(0.1)(0.08)
 =0.992 約99〔%〕

コメント