- A-1 マクスウェル方程式
- A-2 利得の異なるアンテナによる電界強度比
- A-3 送信電力が与えられた時の受信電力の値
- A-4 絶対利得がG(真数)のアンテナの実効面積を表す式を求める過程
- A-5 アンテナの比帯域幅(使用可能な周波数帯域幅を中心周波数で割った値)について
- A-6 同軸線路の特性インピーダンス
- A-7 帯域フィルタ(BPF)を用いた送信アンテナ共用装置について
- A-8 平面波が有限な導電率の導体中へ浸透する深さを表す表皮厚さ(深さ)について
- A-9 平行2線式給電線の1/4波長整合給電線
- A-10 対数周期ダイポールアレーアンテナについて
- A-11 方形のマイクロストリップアンテナについて
- A-12 オフセットパラボラアンテナの特性について
- A-13 反射板付き水平偏波用双ループアンテナについて
- A-14 海抜高h〔m〕にある超短波(VHF)アンテナからの見通し距離について
- A-15 平面大地における電波の反射について
- A-16 衛星通信の伝搬変動について
- A-17 F層1回反射伝搬で受ける第一種減衰値、電界強度
- A-18 マイクロはアンテナの利得の測定法について
- A-19 ハイトパターンの測定について
- A-20 実効長が既知のアンテナを接続した受信機において、所要の信号対雑音比(S/N)を確保して受信することができる最小受信電界強度を受信機の雑音指数から求める過程について
- B-1 パラボナアンテナの開口面から放射される電波が平面波となる理由について
- B-2 TEM波について
- B-3 角錐ホーンアンテナについて
- B-4 マイクル波(SHF)帯の電波の対流圏伝搬について
- B-5 アンテナ利得などの測定において、送信又は受信アンテナの一方の開口の大きさが波長に比べて大きいときの測定距離について
A-1 マクスウェル方程式
解答:1
A-2 利得の異なるアンテナによる電界強度比
自由空間において、放射電力が等しい半波長ダイポールアンテナと微小ダイポールによって最大放射方向の同じ距離の点に生ずるそれぞれの電界強度E1及びE2〔V/m〕の比E1/E2の値として、最も近いものは【1.04】。ただし、√5=2.24とする。
メモ:
ダイポールアンテナは波長の1/2λの長さのアンテナです。このようなアンテナは半波長ダイポールアンテナと呼びます。ホイップアンテナに比べ、GND部もアンテナがあるため設置状況に依存しないメリットがあります。
等しい放射電力をP〔W〕、最大放射方向の同じ距離をd〔m〕とすると、半波長ダイポールの最大放射方向の電界強度E1は
E1=7√P/d〔V/m〕
また、最大放射方向の同じ距離d〔m〕における微小ダイポールアンテナの電界強度E2は
E2=√45P/d〔V/m〕
したがって
E1/E2=7√P/d / √45P/d =7/√45=7/√5×√9=7/2.24×3≒1.04
A-3 送信電力が与えられた時の受信電力の値
送信アンテナから距離40〔km〕の地点に設置した受信アンテナによって取り出すことのできる最大電力の値として、最も近い値は【4×10】ただし、送信アンテナの送信電力を4〔W〕、絶対利得を40〔dB〕、受信アンテナの実行面積を2〔㎡〕。
A-4 絶対利得がG(真数)のアンテナの実効面積を表す式を求める過程
(1)微小ダイポールの実効面積Ssは、波長をλ〔m〕とすると
Ss=3λ2/(8π)
(2)一方、実効面積S〔m2〕のアンテナの絶対利得G(真数)は、等方性アンテナの実効面積をSi〔㎡〕とすると
G=S/Si
(3)また、微小ダイポールの絶対利得Gs(真数)は
Gs=3/2
(4)したがって、絶対利得がG(真数)のアンテナの実効面積Sは
S=Gλ2/(4π)
A-5 アンテナの比帯域幅(使用可能な周波数帯域幅を中心周波数で割った値)について
1 アンテナの入力インピーダンスが、周波数に対して一定である範囲が広いほど比帯域幅は大きくなる。
2 半波長ダイポールアンテナでは、太い素子より細い素子の方が比帯域幅は小さい。
3 ディスコーンアンテナの比帯域幅は、スリーブアンテナの比帯域幅より大きい。
4 板状逆F型アンテナの比帯域幅は、逆F形アンテナの比帯域幅より【大きい】。
5 対数周期ダイポールアレーアンテナの比帯域幅は、八木・宇田アンテナ(八木アンテナ)の比帯域幅より大きい。
A-6 同軸線路の特性インピーダンス
内部導体の外径が2〔㎜〕、外部導体の内径が8〔㎜〕の同軸線路の特性インピーダンスが50〔Ω〕であった。この同軸線路の外部導体の内径を2倍にした時の特性インピーダンスの値として、最も近いものは【75〔Ω〕】。
特性インピーダンスZ0〔Ω〕は、内部導体の外径をDi〔㎜〕、外部導体の内径をD0〔㎜〕、誘導体の比誘導率をεsとすると
Z0=138/√εs log10(Do/Di)〔Ω〕
定数をKとすると
Z0=Klog10(Do/Di)〔Ω〕
この同軸ケーブルの外部導体の内径だけを2倍にした時の特性インピーダンスをZx〔Ω〕とすると
Zx=Klog10(2Do/Di)〔Ω〕
Z0をKについて解き、それをZxに代入し題意の寸法を代入すると
Zx=3/2 Z0
したがって、Z0=50〔Ω〕のため、Zxは75〔Ω〕
A-7 帯域フィルタ(BPF)を用いた送信アンテナ共用装置について
(1)移動通信などの1つの基地局に多数の無線チャネルが用いられ多数の送信アンテナが設置される場合、送信電波の【相互】変調を防止するため、送信アンテナ相互間で所要の【結合減衰量】を得る必要がある。
この【結合減衰量】は、アンテナを垂直または水平に、一定の間隔を置いて配置することにより得られるが、送信アンテナの数が多くなると広い場所が必要になるため、送信アンテナ共用装置が用いられることが多い。
(2)1つの送信機出力は、サーキュレータとその送信周波数の帯域フィルタを通ってアンテナに向かう。他の送信機に対しては、分岐結合回路の分岐点から各帯域フィルタまでの線路の長さを送信波長の1/4の【奇数倍】とし、先端を短絡した1/4波長の【奇数倍】の長さの給電線と同じ働きになるようにして、分岐点から見たインピーダンスが無限大になるようにしている。
(3)しかし、一般に分岐点から見たインピーダンスが無限大になることはないので、ほかの三つの送信周波数のそれぞれの帯域フィルタのみでは十分な【結合減衰量】が得られない。このため、更にサーキュレータの吸収抵抗で消費させ、他の送信機への回り込みによる再放射を防いでいる。
A-8 平面波が有限な導電率の導体中へ浸透する深さを表す表皮厚さ(深さ)について
(1)表皮厚さは、導体表面の電磁界強度が【1/e】に減衰するときの導体表面からの距離をいう。
(2)表皮厚さは、導体の導電率が大きくなるほど【薄く】なる。
(3)表皮厚さが厚くなるほど、減衰定数は【小さく】なる。
A-9 平行2線式給電線の1/4波長整合給電線
図に示すように、特性インピーダンスがZi〔Ω〕の平行に線式給電線と負荷抵抗R〔Ω〕との間に特性インピーダンスがZ0〔Ω〕で、長さがl〔m〕の給電線を挿入して整合させた場合のZ0とlの組み合わせとして正しいのは【5】。
A-10 対数周期ダイポールアレーアンテナについて
1 隣り合う素子の長さの比ln+1/lnと隣り合う素子の頂点Oからの距離の比Xn+1/Xnは等しい。
2 主放射の方向は矢印【ア】の方向である。
3 使用可能な周波数範囲は、最も長い素子と最も短い素子によって決まる。
4 素子にはダイポールアンテナが用いられ、隣接するダイポールアンテナごとに逆位相で給電する。
5 航空機の航空援助用施設であるILS(計器着陸装置)のローカライザのアンテナとして用いられる。
A-11 方形のマイクロストリップアンテナについて
(1)図1に示すように、地板上に波長に比べて十分に薄い誘電体を置き、その上に放射板を平行に密着して置いた構造であり、放射板の中央から少しずらした位置で放射板と【地板】の間に給電する。
(2)放射板と地板間にある誘電体に生ずる電界は、電波の放射には寄与しないが、放射板の周縁部に生ずる漏れ電界は電波の放射に寄与する。放射板の長さl〔m〕を誘電体での電波の波長λ0〔m〕の1/2にすると共振する。
図2に示すように磁流M1~M6〔V〕で表すと、磁流【M3、M4】は相加されて放射に寄与するが、他は互いに相殺されて放射には寄与しない。
(3)アンテナの入力インピーダンスは、放射板上の給電点の位置により変化する。また、その周波数特性は、厚さh〔m〕が厚いほど、幅w〔m〕が広いほど【広帯域】となる。
(4)アンテナの指向性は、放射板に垂直なZ軸方向に最大放射方向がある単一指向性である。
A-12 オフセットパラボラアンテナの特性について
1 オフセットパラボラアンテナは、回転放物面反射鏡の一部分だけを反射鏡に使うように構成したものであり、一次放射器は、回転放物面の焦点に置かれ、反射鏡に向けられている。
2 反射鏡の前面に一次放射器や給電線路がないため、これらにより電波の通路がブロッキングを受けず、円形パラボラアンテナに比べると、サイドローブが少ない。
3 一次放射器が開口面の正面にないため、反射鏡面からの反射波は、ほとんど一次放射器に戻らないので、放射器の指向性を浴すれば、開口効率はほとんど低下しない。
4 鏡面が軸対称な構造でないため、直線偏波では原理的に交差偏波が【発生しやすい】。
5 アンテナ特性の向上のため、複反射鏡形式が用いられることがある。
A-13 反射板付き水平偏波用双ループアンテナについて
二つのループアンテナの間隔は約0.5波長で、反射板とアンテナ素子の間隔は約0.25波長とする。
(1)二つのループアンテナの円周の長さは、それぞれ約【1】波長である。
(2)指向性は、【反射板付き4ダイポールアンテナ】と等価であり、垂直面内で【単一指向性】となる。
A-14 海抜高h〔m〕にある超短波(VHF)アンテナからの見通し距離について
等価地球半径係数をkとし、等価地球の半径をkR〔m〕と表す。
図に示すように、等価地球の中心をO、アンテナの位置Pから引いた等価地球への接線と等価地球との接点をQ、∠POQをθ〔rad〕及び弧QSの長さをd〔m〕とする。
(1)直角三角形POQにおいて、次式が成り立つ
kR=(kR+h)×cosθ ・・・①
式①をkRについて整理すると次式が成り立つ。
h×cosθ=kR(1-cosθ)
=2kR×sin2θ/2 ・・・②
θ=d/kR〔rad〕であり、d《kRとすると、次式が成り立つ。
cosθ≒1、sinθ/2≒θ/2 ・・・③
(2)θ及び式③を式②に代入すると、dは次式で与えられる。
d≒√2kRh
A-15 平面大地における電波の反射について
(1)平面大地の反射係数は、0度又は90度以外の入射角において、水平偏波と垂直偏波とではその値が異なり、【水平偏波】の方が値が大きいが、入射角が90度に近いときには、いずれも1に近い値となる。
(2)垂直偏波では、反射係数が最小となる入射角があり、この角度を【ブルースター角】と呼ぶ。
(3)垂直偏波では、【ブルースター角】以下の入射角の時、反射波の位相が【水平偏波】に対して逆位相であるため、円偏波を入射すると反射波は、逆回りの円偏波となる。
A-16 衛星通信の伝搬変動について
1 固定衛星通信の対流圏におけるシンチレーションは、低仰角の場合は変動幅が【大きく】、また、その周期は電離圏シンチレーションに比べると【長い】。
2 4GHz帯及び6GHz帯の固定衛星通信において、直線偏波で直行偏波共用通信を行う場合、電離圏でのファラデー回転による偏波の回転が原因で、両偏波間に許容限度以上の干渉を生じさせる恐れがある。
3 海事衛星通信において、船舶に搭載する小型アンテナでは、ビーム幅が広くなり、直接波の他に海面反射波をメインビームで受信することがあるため、フェージングの影響が大きい。
4 航空衛星通信において、航空機の飛行高度が高くなるにつれて海面反射波が球面拡散で小さくなり、フェージングの深さも小さくなる。
5 陸上移動体衛星通信における伝搬変動の原因には、ビルディングやトンネルなどによる遮蔽、樹木による減衰及びビルディングの反射などによるフェージングなどがある。
A-17 F層1回反射伝搬で受ける第一種減衰値、電界強度
送受信転換の距離が800〔km〕のF層1回反射伝搬において、半波長ダイポールアンテナから放射電力100〔W〕で送信したとき、受信点での電界強度の大きさの値は【30〔㏈μV/m〕】。ただし、F層の高さは300〔km〕であり、第一種減衰はなく、第二種減衰は7〔㏈〕とし、電離層及び大地は水平な平面で、半波長ダイポールアンテナは大地などの影響を受けないものとする。また、電界強度は1〔μV/m〕を0〔㏈μV/m〕、log107=0.85とする。
送信点T、受信点R、反射点Pとし、電波の通路長をdとすると
d=2TP=2√4002+3002 =1000〔km〕
放射電力をP〔W〕とすれば、半波長ダイポールアンテナから距離d〔m〕の電界強度Eは、近似的に次式で与えられる
E≒7√P / d〔V/m〕
7√100 / 1000×103 = 70×10-6〔V/m〕=70〔μV/m〕
E=20log10(7×10)= 20×(0.85+1)= 37〔㏈μV/m〕
したがって、受信点での電界強度は、37〔㏈μV/m〕より第二種減衰の7〔㏈〕少なく、30〔㏈μV/m〕
A-18 マイクロはアンテナの利得の測定法について
(1)利得がそれぞれG1(真数)及びG2(真数)の二つのアンテナを距離d〔m〕離して偏波面を揃えて対向させ、一方のアンテナから電力Pt〔W〕を放射し、他方のアンテナで受信した電力をPr〔W〕とすれば、Pr/Ptは、次式で表される。
Pr/Pt=(λ/4πd)2 G1G2 ・・・①
上式において、一方のアンテナの利得が既知であれば、他方のアンテナの利得を求めることができる。
(2)二つのアンテナの利得が同じとき、式①からそれぞれのアンテナの利得は、次式により求められる。
G1=G2=4πd/λ √Pr/Pt
(3)アンテナが一つの時は、【反射板】を利用すれば、この方法は適用することができる。
A-19 ハイトパターンの測定について
ただし、波長をλ〔m〕とし、大地は完全導体平面でその反射係数をー1とする。
(1)超短波(VHF)の電波伝搬において、送信アンテナの地上高、送信周波数、送信電力及び送受信点間距離を一定にしておいて、受信アンテナの高さを上下に移動させて電界強度を測定すると、直線波と大地反射波との干渉により、図に示すようなハイトパターンが得られる。
(2)直線波と大地反射波との通路差Δlは、送信及び受信アンテナの高さをそれぞれh1〔m〕、h2〔m〕及び送受信点間の距離をd〔m〕とし、d≫(h1+h2)とすると、次式で表される。
Δl≒4h1h2/d〔m〕
受信電界強度E〔V/m〕は、自由空間電界強度をE0〔V/m〕とすると、次式で表される。
E≒2E0×|sin(2πh1h2/λd)|
(3)ハイトパターンの受信電界強度E0〔V/m〕が極大になる受信アンテナの高さhm2とhm1との差Δhは、【λd/2πh1】〔m〕である。
ハイトパターンとは?
受信アンテナは直接波と大地反射波を受信するため、位相差によりその合成波の受信電力が変化します。これをハイトパターンといい、下図のような山から山(谷から谷)の一定の間隔をハイトパターンピッチといいます。このピッチは周波数が高い(波長が短い)ほど間隔は狭くなり、距離により異なります。
一概にアンテナを高くすればよいわけではありません。アンテナを設置するときはハイトパターンピッチ分上下移動させ、受信電力の高い場所を選ぶとよいです。
https://www.circuitdesign.jp/technical/height-pattern/#:~:text=%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%88%E3%83%91%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%9F,%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%80%81%E8%B7%9D%E9%9B%A2%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8A%E7%95%B0%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
A-20 実効長が既知のアンテナを接続した受信機において、所要の信号対雑音比(S/N)を確保して受信することができる最小受信電界強度を受信機の雑音指数から求める過程について
ただし、受信機の等価雑音帯域幅をB〔㎐〕とし、アンテナの放射抵抗をRr〔Ω〕、実効長をle〔m〕、最小受信電界強度をEmin〔V/m〕及び受信機の入力インピーダンスをRi〔Ω〕とすれば、等価回路は図のように示されるものとする。
(1)受信機の入力端の有能雑音電力Niは、ポルツマン定数をk〔J/K〕、絶対温度をT〔K〕とすれば、次式で表される。
Ni=kTB〔W〕 ・・・①
アンテナからの有能信号電力Siは、次式で表される。
Si=(Eminle)2 1/4Rr〔W〕 ・・・②
(2)受信機の出力端におけるS/Nは、受信機の雑音指数Fと式①を用いて表すことができるので、Siは、次式のようになる。
Si=FkTB(S/N)〔W〕 ・・・③
(3)式②と③から、Eminは次式で表されるので、Fを測定することにより、受信可能な最小受信電界強度が求められる。
Emin=1/le√4FkTBRr(S/N)
B-1 パラボナアンテナの開口面から放射される電波が平面波となる理由について
(1)図に示すように、回転放物面の焦点をF、中心をO、回転放物面上の任意の点をPとすれば、FからPまでの距離FPとPから準線gに下ろした垂線の足Qとの距離PQとの間には、次式の関係がある。
PQ=FP ・・・①
(2)Fを通りgに平行な直線をh線とし、Pからhに下ろした垂線の足をSとすれば、FからPを通ってSに至る距離FP+PSは、式①の関係から、次式で表される。
FP+PS=QS
(3)焦点Fに置かれた等方性波源より放射され、回転放物面で反射されたすべての電波は、アンテナの中心軸に垂直でgを含む平面Gを見掛け上の【波源】として、アンテナの中心軸に平行に、Gに平行でhを含む平面Hへ【同位相】の平面波として到達する。
(4)Fから放射され回転放物面で反射されてHに至る電波通路の長さはすべて等しいから、放射角度θ=0のときの電波通路の長さとθ≠0の時の電波通路の長さも等しく、FP+PS=2×l
B-2 TEM波について
ア 電磁波の伝搬方向に電界及び磁界成分が存在しない横波である。
イ 電磁波の伝搬方向に直角な平面内では、電界と磁界が常に同相で振動する。
ウ 導波管中を伝搬【できない】。
エ 平行二線式給電線を伝搬【できる】。
オ 真空の固有インピーダンスは、約376.7〔Ω〕
B-3 角錐ホーンアンテナについて
(1)方形導波管の終端を角錐状に広げて、導波管と自由空間の固有インピーダンスの整合をとり、【反射】を少なくして、導波管で伝送されてきた電磁波を自由空間に効率よく放射する。
(2)導波管の電磁界分布がそのまま拡大されて開口面上に現れるためには、ホーンの長さが十分長く開口面上で電磁界の【位相】が一様であることが必要である。この条件がほぼ満たされた時の正面方向の利得G(真数)は、波長をλ〔m〕、開口面積をA〔㎡〕とすると、次式で与えられる。
G=32A/πλ2
(3)ホーンの【開き角】を大きくし過ぎると利得が上がらない理由は、開口面の中心部の位相が、周辺部より【進む】ためである。位相を揃えて利得を上げるために、パラボラ形反射鏡と組み合わせて用いる。
B-4 マイクル波(SHF)帯の電波の対流圏伝搬について
(1)標準大気において、大気の屈折率nは地表からの高さとともに減少するから、標準大気中の電波通路は、送受信点間を結ぶ直線に対して【上方に凸に】わん曲する。
(2)実際の大地は球面であるが、これを平面大地上の伝搬として等価的に取り扱うために、m=n+(h/R)で与えられる修正屈折率mが定義されている。ここで、h〔m〕は地表からの高さ、R〔m〕は地球の【半径】である。mは1に極めて近い値で不便なので、修正屈折示数Mを用いる。Mは、M=【(m-1)】×106で与えられ、標準大気では地表からの高さとともに増加する。
(3)標準大気のM曲線は、図1に示すように匂配が一定の直線となる。このM曲線の形を【標準形】という。
(4)大気中に温度などの【逆転層】が生ずるとラジオダクトが発生し、電波がラジオダクトの中に閉じ込められて見通し距離より遠方まで伝搬することがある。このときのM曲線は、図2に示すように、高さのある範囲で【標準形】とは逆の勾配を持つ部分を生ずる。
B-5 アンテナ利得などの測定において、送信又は受信アンテナの一方の開口の大きさが波長に比べて大きいときの測定距離について
(1)図1に示すように、アンテナ間の測定距離をL〔m〕、寸法が大きい方の円形開口面アンテナ1の直径をD〔m〕、その縁Pから小さい方のアンテナ2までの距離をL’〔m〕とすれば、LとL’の距離の差ΔLは、次式で表される。
ΔL=L’-L=√L2+(D/2)2ーL
≒L{1+1/2(D/2L)2}-L=D2/8L〔m〕 ・・・①
波長をλ〔m〕とすれば、ΔLによる電波の位相差Δθは、次式となる。
Δθ=πD2/4λL〔rad〕 ・・・②
(2)アンテナ1の中心からの電波の電界強度E0〔V/m〕とその縁からの電波の電界強度E0’〔V/m〕は、アンテナ2の点において、その大きさが等しく位相のみが異なるものとし、その大きさをいずれもE0〔V/m〕とすればE0とE0’との間に位相差がないときの受信点での合成電界強度の大きさE〔V/m〕は、【2E0】〔V/m〕である。また、位相差がΔθのときの合成電界強度E’は、図2のベクトル図から、次式で表される。
E’=√2E0√1+cosΔθ=2E0×cos(Δθ/2)〔V/m〕 ・・・③
したがって、次式が得られる。
E’/E = cos(Δθ/2) ・・・④
(3)式④へΔθ=π/8〔rad〕を代入すると、E’/E≒0.98となり、誤差は2〔%〕以下となる。したがって、誤差が約2〔%〕以下となる最小の測定距離Lminは、式②から次式となる。
Lmin=2D2/λ〔m〕
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