【2016年7月期】 一陸技無線工学B

無線工学B
  1. A-1 マクスウェル方程式について
  2. A-2 周波数が100〔㎒〕の電波を、素子の太さが等しい二線式折返し半波長ダイポールアンテナで受信した場合の最大受信機入力電圧が3〔mV〕であった。この時の受信電界強度の値として最も近いものは【3.1〔mV/m〕】
  3. A-3 開口面アンテナによる放射電磁界の空間的分布とその性質について
  4. A-4 アンテナの比帯域幅(使用可能な周波数帯域幅を中心周波数で割った値)について
  5. A-5 開口径が5〔m〕の円形パラボラアンテナを周波数6〔㎓〕で使用するときの絶対利得の値として、最も近いものは【48〔㏈〕】。
  6. A-6 特性インピーダンスが50〔Ω〕、電波の伝搬速度が自由空間内の伝搬速度の0.7倍である無損失の平行二線式線路の単位長当たりのインダクタンスLの値として、最も近いものは【0.24〔μH/m〕】。
  7. A-7 給電線とアンテナが整合していないときの伝送効率について
  8. A-8 マジックTの基本的な動作について
  9. A-9 1/4波長整合回路の整合条件について
  10. A-10 各種のアンテナの特徴について
  11. A-11 図に示す円形パラボラアンテナの断面図の開口角2θ〔rad〕と開口面の直径2r〔m〕及び終点距離f〔m〕との関係を表す式として、正しいものは【】
  12. A-12 マイクロ波中継回線などに利用される無給電アンテナについて
  13. A-13 携帯電話等の携帯機に用いられる逆L形アンテナ、逆F形アンテナ及び板状逆F形アンテナの原理的構成例について
  14. A-14 地上高が30〔m〕のアンテナから周波数150〔㎒〕の電波を送信したとき、送信点から15〔㎞〕離れた地上高10〔m〕の受信点における電界強度として、最も近いものは【38〔μV/m〕】
  15. A-15 等価地球半径係数kに起因するk形フェージングについて
  16. A-16 球面大地における伝搬において、見通し距離が30〔㎞〕であるとき、送信アンテナの高さの値として、最も近いものは【53〔m〕】
  17. A-17 電離層における電波の反射機構について
  18. A-18 自由空間において開口面の直径が波長に比べて十分大きなアンテナの利得を測定する場合に考慮しなければならない送受信アンテナ間の最小距離について
  19. A-19 長さl〔m〕の無損失給電線の終端を開放及び短絡して入射端から見たインピーダンスを測定したところ、それぞれ-j128〔Ω〕及び+j50〔Ω〕であった。この給電線の特性インピーダンスの値として、正しいものは【80〔Ω〕】
  20. A-20 ハイトパターンの測定について
  21. B-1 散乱断面積について
  22. B-2 TEM波について
  23. B-3 角錐ホーンアンテナについて
  24. B-4 マイクロ波(SHF)帯の電波の対流圏伝搬について
  25. B-5 無損失給電線上の定在波の測定により、アンテナの給電点インピーダンスを求める過程について

A-1 マクスウェル方程式について

解答:1

A-2 周波数が100〔㎒〕の電波を、素子の太さが等しい二線式折返し半波長ダイポールアンテナで受信した場合の最大受信機入力電圧が3〔mV〕であった。この時の受信電界強度の値として最も近いものは【3.1〔mV/m〕】

A-3 開口面アンテナによる放射電磁界の空間的分布とその性質について

(1)アンテナからの放射角度に対する電界分布のパターンは、フレネル領域では距離によって【変化し】、フラウンホーファ領域では距離によって【ほとんど変化しない】。

(2)アンテナからフレネル領域とフラウンホーファ領域の境界までの距離は、開口面の実効的な最大寸法をD〔m〕及び波長をλ〔m〕とすると、ほぼ【2D2/λ】〔m〕で与えられる。

メモ:

https://www.rikou.ryukoku.ac.jp/journal/journal73/RJ73-02.pdf

A-4 アンテナの比帯域幅(使用可能な周波数帯域幅を中心周波数で割った値)について

1 アンテナの入力インピーダンスが、周波数に対して一定である範囲が広いほど比帯域幅は大きくなる。

2 折り返し半波長ダイポールアンテナは、一般に半波長ダイポールアンテナの比帯域幅より大きい。

3 比帯域幅は、パーセントで表示した場合、200〔%〕を超えること【はない】。

4 ディスコーンアンテナの比帯域幅は、スリープアンテナの比帯域幅より大きい。

5 対数周期ダイポールアレーアンテナの比帯域幅は、八木・宇田アンテナ(八木アンテナ)の比帯域幅より大きい。

A-5 開口径が5〔m〕の円形パラボラアンテナを周波数6〔㎓〕で使用するときの絶対利得の値として、最も近いものは【48〔㏈〕】。

A-6 特性インピーダンスが50〔Ω〕、電波の伝搬速度が自由空間内の伝搬速度の0.7倍である無損失の平行二線式線路の単位長当たりのインダクタンスLの値として、最も近いものは【0.24〔μH/m〕】。

A-7 給電線とアンテナが整合していないときの伝送効率について

回答:4

(1)給電線とアンテナが整合しているとき、給電線への入射電力をPt〔W〕、アンテナの入力端の電力をPr〔W〕、線路の全長をl〔m〕、線路の減衰定数をa〔m-1〕とすると、最大伝送効率η0は、次式で表される。

η0=Pr/Pt=exp(-2al)

(2)給電線とアンテナが整合していないとき、伝送効率ηは、次式で表される。ただし、アンテナ入力端の入射電力及び反射電力をそれぞれPra〔W〕、Prb〔W〕とし、給電線への入射電力をPta〔W〕とし、アンテナ入力端からの反射電力が給電線を経て給電線入力端へ戻ってくる電力をPtb〔W〕とする。

η=Pra-Prb / Pta-Ptb ・・・①

Pra及びPtbは、次式となる。

Pra=Ptaη0〔W〕 ・・・②

Ptb=Prbη0〔W〕 ・・・③

アンテナ入力端の反射係数をΓとすれば、Prbは、次式となる。

Prb=Pra|Γ|2〔W〕 ・・・④

式②、③、④を式①に代入すれば、ηは、次式で表される。

η=η0 1-|Γ|2 / 1-|Γ|2η02

メモ:http://take103.blog.fc2.com/blog-category-26.html

A-8 マジックTの基本的な動作について

1 マジックTは、E分岐とH分岐を組み合わせた構造になっている。

2 開口1からの入力は、開口3と4へ出力され、この時の開口3と4の出力は【同相】である。

3 開口1からの入力は、開口2には出力されない。

4 開口2からの入力は、開口3と4へ出力され、この時の開口3と4の出力は逆相である。

5 開口2からの入力は、開口1には出力されない。

A-9 1/4波長整合回路の整合条件について

回答:5

A-10 各種のアンテナの特徴について

1 半波長ダイポールアンテナの絶対利得は、約2.15〔㏈〕である。

2 スリープアンテナの利得は、半波長ダイポールアンテナとほぼ同じである。

3 素子の太さの等しい二線式折り返し半波長ダイポールアンテナの入力インピーダンスは、半波長ダイポールアンテナの約4倍である。

4 カセグレンアンテナは、副反射鏡の二つの焦点の一方と種反射鏡の焦点を一致させ、他方の焦点と一次放射器の励振点とを一致させてある。

5 グレゴリンアンテナの副反射鏡は、【回転楕円面】である。

メモ:

図44  パラボラアンテナの原理
https://www.den-gyo.com/labo/kouza/kouza11.html

A-11 図に示す円形パラボラアンテナの断面図の開口角2θ〔rad〕と開口面の直径2r〔m〕及び終点距離f〔m〕との関係を表す式として、正しいものは【】

回答:4

A-12 マイクロ波中継回線などに利用される無給電アンテナについて

(1)無給電アンテナに用いられる平面反射板は、入射波の波源となる励振アンテナからの距離によって遠隔形平面反射板と近接形平面反射板に分けられる。このうち【遠隔】形平面反射板は、励振アンテナのフラウンホーファ領域にあるものをいう。

(2)平面反射板の有効投影面積Seは、平面反射板の実際の面積をS〔㎡〕、入射角をθ〔rad〕、平面反射板の面精度などによって決まる開口効率をαとすれば、次式で表される。

Se=αScosθ〔㎡〕

(3)2θが【鈍角】になる場合には、2枚の平面反射板の組み合わせが有効であり、その配置形式には、交差型と平行型といわれるものがある。

A-13 携帯電話等の携帯機に用いられる逆L形アンテナ、逆F形アンテナ及び板状逆F形アンテナの原理的構成例について

(1)逆L形アンテナは、図1に示すように1/4波長モノポールアンテナの途中を直角に折り曲げたアンテナであり、そのインピーダンスの抵抗分の値は、1/4波長モノポールアンテナに比べて【小さく】、また、リアクタンス分の値は、【容量性】で大きいため、通常の同軸線路などとのインピーダンス整合がとりにくい。

(2)逆F形アンテナは、図2に示すように逆L形アンテナの給電点近くのアンテナ素子と地板(グランドプレーン)の間に短絡部を設け、アンテナの入力インピーダンスを調整しやすくし、逆L形アンテナに比べてインピーダンス整合がとりやすくしたものである。

(3)板状逆F形アンテナは、図3に示すように逆F形アンテナのアンテナ素子を板状にし、短絡版と給電点を設けたものであり、逆F形アンテナに比べて周波数帯域幅が【広い】。

A-14 地上高が30〔m〕のアンテナから周波数150〔㎒〕の電波を送信したとき、送信点から15〔㎞〕離れた地上高10〔m〕の受信点における電界強度として、最も近いものは【38〔μV/m〕】

A-15 等価地球半径係数kに起因するk形フェージングについて

1 k形フェージングは、kが時間的に変化し、伝搬波に対する大地(海面)の影響が変化することによって生ずる。

2 回折k形フェージングは、電波通路と大地(海面)のクリアランスが不十分で、かつ、kが小さくなった時、大地(海面)の回折損を受けて生ずる。

3 回折k形フェージングの周期は、干渉k形フェージングの周期に比べて【長い】。

4 干渉k形フェージングは、kの変動により直接波と大地(海面)反射波の干渉状態が変化することによって生ずる。

5 干渉k形フェージングによる電界強度の変化は、反射点が大地であるときの方が海面であるときより小さい。

A-16 球面大地における伝搬において、見通し距離が30〔㎞〕であるとき、送信アンテナの高さの値として、最も近いものは【53〔m〕】

A-17 電離層における電波の反射機構について

(1)電離層の電子密度Nの分布は、高さと共に徐々に増加し、ある高さで最大となり、それ以上の高さでは徐々に減少している。Nが零のとき、電波の屈折率nはほぼ1であり、Nが最大の時、nは【最小】となる。

(2)Nが高さと共に徐々に増加している電離層内のNが異なる隣接した二つの水平な層を考え、地上からの電波が層の境界へ入射するとき、下の層の屈折率をni、上の層の屈折率をnr、入射角をi、屈折角をrとすれば、nrは、nr=ni×【sini/sinr】で表される。

(3)このときのrはiより【大きい】ので、Nが十分大きいとき、電離層に入射した電波は、高さと共に徐々に下に向かって曲げられ、やがて地上に戻ってくることになる。

A-18 自由空間において開口面の直径が波長に比べて十分大きなアンテナの利得を測定する場合に考慮しなければならない送受信アンテナ間の最小距離について

回答:2

A-19 長さl〔m〕の無損失給電線の終端を開放及び短絡して入射端から見たインピーダンスを測定したところ、それぞれ-j128〔Ω〕及び+j50〔Ω〕であった。この給電線の特性インピーダンスの値として、正しいものは【80〔Ω〕】

A-20 ハイトパターンの測定について

回答:4

B-1 散乱断面積について

(1)均質な媒質中に置かれた媒質定数の異なる物体に平面波が入射すると、その物体が導体の場合には導電電流が生じ、また、誘電体の場合には【分極】が生じ、これらが二次的な波源になり、電磁波が再放射される。

(2)図に示すように、自由空間中の物体へ入射する平面波の電力束密度がPi〔W/㎡〕で、物体から距離d〔m〕の受信点Rにおける散乱波の電力束密度がPs〔W/㎡〕であったとき、物体の散乱断面積σは、次式で表される。

σ=lim{4πd2(ps/pi)}〔㎡〕

上式は、受信点における散乱電力が、入射平面波の到来方向に垂直な断面積ρ内に含まれる入射電力を【全方向に無指向性】で散乱する仮想的な等方性散乱体の散乱電力に等しいことを意味している。

(3)散乱方向が入射波の方向と一致するときのρをレーダー断面積又は【後方】散乱断面積という。金属級のレーダー断面積ρは、球の半径rが波長に比べて十分大きい場合、【πr2】にほぼ等しい。

B-2 TEM波について

ア 電磁波の伝搬方向に電界及び磁界成分が【存在しない横波】である。

イ 電磁波の伝搬方向に直角な平面内では、電界と磁界が常に【同相】で振動する。

ウ 導波管中を伝搬できない。

エ 平行二線式給電線を伝搬できる。

オ 真空の固有インピーダンスは、約376.7〔Ω〕である。

B-3 角錐ホーンアンテナについて

(1)方形導波管の終端を角錐状に広げて、導波管と自由空間の固有インピーダンスの整合を取り、【反射】を少なくして、導波管で伝送されてきた電磁波を自由空間に効率よく放射する。

(2)導波管の電磁界分布がそのまま拡大されて開口面上に現れるためには、ホーンの長さが十分長く開口面上で電磁界の【位相】が一様であることが必要である。この条件がほぼ満たされた時の正面方向の利得G(真数)は、波長をλ〔m〕、開口面積をA〔㎡〕とすると、次式で表される。

G=32A/πλ2

(3)ホーンの【開き角】を大きくし過ぎると利得が上がらない理由は、開口面の中心部の位相が、周辺部より【進む】ためである。位相を揃えて利得を上げるために、パラボラ形反射鏡と組み合わせて用いる。

B-4 マイクロ波(SHF)帯の電波の対流圏伝搬について

(1)標準大気において、大気の屈折率nは地表からの高さと共に減少するから、標準大気中の電波通路は、送受信点間を結ぶ直線に対して【上方に凸に】わん曲する。

(2)実際の大地は球面であるが、これを平面大地上の伝搬として等価的に取り扱うために、m=n+(h/R)で与えられる修正屈折率mが定義されている。ここで、h〔m〕は地表からの高さ、R〔m〕は地球の【半径】である。mは1に極めて近い値で不便なので、修正屈折示数Mを用いる。Mは、M=(m-1)×10で与えられ、標準大気では地表からの高さと共に増加する。

(3)標準大気のM曲線は、図1に示すように勾配が一定の直線となる。このM曲線の形を【標準形】という。

(4)大気中に温度などの【逆転】層が生ずるとラジオダクトが発生し、電波がラジオダクトの中に閉じ込められて見通し距離より遠方まで伝搬することがある。このときのM曲線は、図2に示すように、高さの範囲で【標準形】とは逆の勾配を持つ部分を生ずる。

B-5 無損失給電線上の定在波の測定により、アンテナの給電点インピーダンスを求める過程について

回答:6 7 3 4 10

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