H27第2回-データ通信-問3

(1)次の文章は、レイヤ2VPN技術を用いた広域イーサネットについて述べたものである。

広域イーサネットを実現するために用いられているレイヤ2VPN技術には、IEEE802.1Qで規定されているVLAN方式を拡張した仕様のものがあり、一般に、その方式は拡張VLAN方式といわれる。


拡張VLAN方式は、IEEE802.1adとして標準化されており、ユーザを収容するPE(Provider Edge)スイッチにおいて、それぞれのユーザを識別するためにユーザから送られてくるユーザフレームに拡張VLANタグといわれる4〔byte〕の識別情報を付加するものである。


通信事業者のレイヤ2網内では、拡張VLANタグのVLAN-ID及びユーザフレームの【MACアドレス】に基づいてレイヤ2中継を行う。


しかしながら、IEEE802.1adでは、拡張VLANタグに含まれるVLAN識別子の長さが【12】〔bit〕であるため、一つの広域イーサネット網で識別できるユーザ数は【4094】以下に限られ、また、網内のスイッチはユーザが接続する全ての機器の【MACアドレス】を扱う必要があることから、接続される機器が増加するに伴い網内のスイッチの処理負荷が増大するという欠点がある。


そこで、IEEE802.1ahでは、ユーザの収容限界を拡張するため、24〔bit〕のサービスインスタンスタグと【12】〔bit〕のバックボーンVLANタグを用いて、各バックボーン当たり1600万以上のユーザを識別できるようにしており、また、網内のスイッチの処理負荷を軽減させるために、PEスイッチの【MACアドレス】を用いて【MAC-in-MAC】といわれるカプセル化を行っている。

(2)ITU-TのG.993.1及びG.993.2として標準化されているVDSLの規格などについて述べた次の文章のうち、誤っているものは【②】である。

①VDSL1は、12〔MHz〕までの周波数帯域を利用し、一般的な仕様では、上り方向と下り方向で伝送速度の異なる非対称型のデジタル伝送を行う。


②VDSL2は、【30】〔MHz〕までの周波数帯域を利用し、一般的な仕様では、伝送距離200〔m〕において、上り・下り合計で【200】〔Mbit/s〕まで伝送可能となっている。


③VDSL1とVDSL2では、ADSLで用いられている変調方式と同様に、データ信号の変調に複数の搬送波を使用するDMT方式が用いられている。

④VDSL2はメタリックケーブルを用いるため、隣接回線からの漏話雑音、インパルス性雑音などの様々な雑音の影響を受けることから、これらの雑音による影響を回避しつつ、伝送速度を維持させる緊急レート低減やSRA(Seamless Rate adaptation)などの機能が追加されている。

(3)アクセスネットワークで用いられる多重化技術などについて述べた次の文章のうち、正しいものは【④】である。

①光アクセスネットワークで用いられる【DDM】方式は、光方向性結合器を用いて、光ファイバ内を伝送する光の方向により上り信号と下り信号を識別し、1心の光ファイバで双方向通信を実現する方式である。
メモ:

http://denkitsushin.com/blog-entry-40.html

②PONに用いられている【CDM】方式では、チャネルごとに異なる特有の符号で演算処理した信号を送信し、受信側で逆演算を行い、割り当てられたチャネルの信号を取り出している。
メモ:http://www.ntt.co.jp/journal/0710/files/jn200710014.pdfhttp://seesaawiki.jp/w/denkitsuushin/d/%CA%BF%C0%AE%A3%B2%A3%B1%C7%AF%C5%D9%C2%E8%A3%B2%B2%F3_%C5%C1%C1%F7%B8%F2%B4%B9_%C0%EC%CC%E7%C5%AA%C7%BD%CE%CF_%A5%C7%A1%BC%A5%BF%C4%CC%BF%AE
CODE=符号TIME=時分割SPACE=空間TCM=ピンポン伝送 ISDN

③CATVのHFCシステムに用いられているSCM方式では、【FDM化されたケーブルテレビ信号で強度変調された光信号を用いて】、光ファイバによる多チャンネル映像伝送を行っている。
メモ:類似問題 H26第2回-データ通信-問3

④FTTHの光映像配信システムに用いられているFM一括変換方式では、映像信号などを一括して広帯域FM電気信号に変換し、この信号でLDの出力光を変調した光信号を用いて、光ファイバにより多チャンネル映像伝送を行っている。

(4)WDMの特徴について述べた次の文章のうち、正しいものは、【④】である。

①1.3μm帯と1.5μm帯の波長を用いるなど、波長帯の異なる光信号を多重する方式は、一般に、【CWDM】といわれ、相互の波長間隔が非常に広いためFP-LDが利用できる。
メモ:http://www.manifold.co.jp/course/10shunin-gijutsusha/kakomon/20160709wdm.html
FP-LD(ファブリペロー形レーダダイオード):1対の向かい合わせた鏡を使った共振器を使用するLD

②WDM伝送における光信号の劣化要因として、光ファイバの非線形な屈折率変化により発生する自己位相変調、相互位相変調及び四光波混合の影響がある。このうち、【四光波混合】は、ゼロ分散波長付近における位相整合の影響を特に受けやすく、WDM伝送におけるチャネル間クロストークの主な原因となる。

③WDM伝送における伝送波長数を増加する手段として、【1.55】μm帯に利得帯域を持つEDFAに加えて、利得帯域を更に長波長側にシフトさせたGS-EDFAを用いる方法がある。

④WDM伝送には、光波長を100〔GHz〕間隔の周波数グリッドで配置する方法のほか、25〔GHz〕間隔や12.5〔GHz〕間隔で配置する方法により、より高密度で多重化する方法がある。

(5)CATVにおけるアクセス技術などについて述べた次の文章のうち、正しいものは、【③】である。

①HFC方式は、一般に、CATV事業者のアクセスネットワークにおけるセンタ側設備のヘッドエンド装置から途中の分岐点まで【光ファイバ】を用いて接続し、分岐点から先の各ユーザ宅まで【同軸ケーブル】で接続する構成を採ることにより、下り伝送周波数を770〔MHz〕程度まで拡大することができる。

②CATVでのデジタル放送信号の伝送には、同一周波数パススルー、周波数変数パススルー及びトランスモジュレーションの3方式がある。トランスモジュレーションでは、センタ側で受信したデジタル放送信号【(OFDM)を64QAM】で再変調して伝送する。

③CATVは、地上波放送と比較して雑音妨害などの影響を受けにくいため、6〔MHz〕帯域当たりの変調方式に64QAMを用いた場合、下り方向(センタからユーザ方向)で30〔Mbit/s〕以上の高い伝送速度を得ることができる。

④ケーブルモデムは広帯域のテレビチャンネルを使用して高速データ伝送が可能であり、各ユーザにサブチャンネルを割り当てて、同じチャンネルを多数のユーザが共有するため、複数のユーザが同時に利用した場合でも、1ユーザ当たりの実効伝送速度は低下【する場合がある】。

コメント