H28第1回-伝送交換設備-問1 電気通信主任技術者(伝送)

(1)次の文章は、固定電話における電話サービス及び相互接続の概要について述べたものである。
国民生活に不可欠な電話サービスにおいて、加入電話または加入電話に接続する光IP電話、緊急通報などを、電気通信事業者によって、日本全国度の世帯でも公平に、かつ安定して利用できるように提供されるサービスは、【ユニバーサル】サービスといわれる。このサービスの提供を確保するために必要な費用は電気通信事業者全体で負担するという制度であることから、原資は、一般に、利用者からの料金徴収により賄われる。
電気通信事業は、上記したように高い公共性を有する事業であるが、電気通信事業者間で相互にネットワークなどを接続して利用者に対しサービス提供を行うネットワーク産業でもある。
電気通信事業者のネットワークの相互接続において、異なる電気通信事業者間を結ぶ相互接続点は、一般に、【POI】といわれる。また、相互接続する電気通信事業者が【POI】で接続する際、電気通信設備を保有する電気通信事業者の設備・機能のうち、必要なもののみを細分化して使用できるようにすることは、一般に、【アンバンドル】といわれる。
固定電話のネットワークでは、GC接続機能、IC接続機能など固定電話に係る主要な接続機能が【アンバンドル】されている。また、ブロードバンドサービスを提供するアクセス回線においても接続ルールの整備が行われており、シェアドアクセス方式を利用した加入者光ファイバでは、光信号主端末回線の設備センタ側に設置されている【FTM】において【POI】が設定されている。
(2)次の文章は、GE-PONの概要について述べたものである。
(ⅰ)GE-PONの伝送技術について述べた次のA~Cの文章は、【Cのみ正しい】。
A GE-PONでは、WDM技術を用いることにより、1心の光ファイバで上り信号と下り信号を異なる波長を使用して伝送する双方向通信を行っている。1台の通信事業者側装置と複数のユーザ側装置は、【受動素子】を用いた光スプリッタと光ファイバを介して接続されたツリー構造を有する。
B 【B-PON】は上り信号と下り信号の伝送速度を独立に設立することができ、【上り信号の伝送速度としては155M〔bit/s〕及び622M〔bit/s〕、下り信号の速度としては155M〔bit/s〕、622M〔bit/s〕及び1.24G〔bit/s〕】が使用されている。
C OLTからの送信信号は、放送形式でOLT配下の複数のONUに到達するため、信号を受信したONUは、イーサネットフレームのブリアンブル内に配置されたLLIDといわれる識別子を用いて、受信したフレームが自分宛であるかどうかを判断している。
(ⅱ)GE-PONで使用されるOLTについて述べた次の文章のうち、誤っているものは、【②】である。
①OLTが複数のONUから受信する信号は光信号強度の異なったバースト状となることから、OLTは、バースト信号を受信処理するための信号レベル検出回路、利得切替回路などを有している。
②OLTからONUへの下り信号は、多重化技術として【TDM】を使用することにより、各ONU宛の信号が時間的に重ならないように多重化されている。
③OLTは、各ONUに対して送信許可を通知することにより、各ONUからOLTへの上り信号を時間的に分離し、衝突しないように制御を行っている。
④OLTが、ONUからOLTへの上り信号の帯域を各ONUのトラヒック量に応じて動的に割り当てる機能は、一般に、DBAといわれる。
(3)次の文章は、IP網におけるルーティング技術について述べたものである。
(ⅰ)ルーティングテーブルなどについて述べた次の文章のうち、正しいものは、【④】である。
①【ダイナミックルーティング】では、管理者が事前にルーティングテーブルに設定しておくことにより、ルータどうしがルーティング情報を交換し合い、自動的にルーティングテーブルが更新される。
②IPv4において、ルーティングテーブルからパケットの宛先を選択する場合、ルーティングテーブル上に一致するエントリがなく、0.0.0.0/0で表されるデフォルトルートが設定されているときは、そのパケット【をデフォルトルートが示す先に送る】。
③ルーティングテーブルからパケットの宛先を選択する場合、条件に合う宛先ネットワークアドレスが複数存在するときには、最短一致といわれるルールが適用され、宛先IPアドレスとルーティングテーブルの宛先ネットワークアドレスを比較して、【経路(ホップ)数】が最も短いエントリを選択する。
④ルーティングテーブルは、一般に、宛先ネットワークアドレス、ネクストホップアドレス、メトリックなどで構成される。
(ⅱ)ルーティングプロトコルについて述べた次の文章のうち、誤っているものは、【③】である。
①ルーティングプロトコルには、ルーティングアルゴリズムの違いによりディスタンスベクタ型、リンクステート型などがあり、ディスタンスベクタ型の代表的なプロトコルには、RIPがある。
②ネットワーク構成に変更があった場合、自律システム(AS)内のルータがコンバージェンス(収束)状態に至るまでの時間は、一般に、リンクステート型と比較してディスタンスベクタ型の方が長い。
③クラスレスルーティングプロトコルでは、ルータどうしが交換するルーティング情報の中にサブネットマスクを【含むため】、可変長サブネットマスクをサポート【することができる】。
④ルーティングプロトコルにはインテリアゲートウェイプロトコルとエクステリアゲートウェイプロトコルがあり、AS間で使用されるルーティングプロトコルであるエクステリアゲートウェイプロトコルにはBGPがある。

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