H26第2回-伝送交換設備及び設備管理-問2

イーサネットによるLAN、移動通信に用いられる変調技術、多元接続技術、通信用電源設備について

(1)イーサネットによるLANについて

LANの物理トポロジには、バス型、リング型、スター型などがあり、イーサネットによるLANは、一般に、リピータハブ、スイッチングハブなどを用いたスター型で構成されている。

リピータハブを用いて伝送媒体を共有するスター型のイーサネットでは、一般に、複数の端末が同時にデータの送出を開始すると、伝送媒体上において、データの衝突が発生する。

この形態においては、データの衝突を回避するため、【CDMA/CD】方式と言われるアクセス制御が採用されている。

【CDMA/CD】方式によるデータの衝突検出制御においては、データの伝送遅延によって生ずるタイムラグによりデータの衝突の検出に一定の時間を必要とすることから、端末相互間の伝送距離が制限されている。

このような問題点を解決する方法の一つに、リピータハブの代わりにスイッチングハブを用いて、端末相互間での通信時に伝送媒体を専有することにより、データの衝突が生じない【全二重】通信による方法がある。

【全二重】通信によるギガビットイーサネットには、IEEE802.3zで標準化された規格として【1000BASE-LX】があり、この規格では、伝送媒体にシングルモード光ファイバを用いた場合、最大伝送距離【5】〔km〕と規定されている。

(2)移動通信に用いられる変調技術などについて

(ⅰ)デジタル変調方式の種類、特徴などについて述べた次のA~Cの文章は、【Aのみ正しい】。

A PSKは、搬送波の位相を入力信号に応じて偏移させる変調方式であり、位相偏移の数によりBPSK、QPSKなどの方式がある。

B 16QAMは、入力信号に応じて搬送波の振幅と位相の双方を偏移させる変調方式の一つであり、1シンボルで【4】〔bit〕の情報伝送が行える。

C スペクトル拡散変調方式には、DS方式とFH方式とがある。【FH】方式では、情報データに一次変調を施した後、一定周期のホッピングパターンに従って二次変調を行っている。

メモ:
PSK(Phase Shift Key:位相偏移変調)とは
搬送波の位相を入力信号に応じて偏移させるデジタル変調の一つで、位相偏移の数によりBPSK(バイPSK)、QPSK(クアッドPSK)、8値PSKなどの方式がある。

QAM(Quadrature Amplitude Modulation:直角位相振幅変調)とは
位相と振幅を利用し、一度に4通りの値を送ることができる。16QAMの場合は、4〔bit〕×4(クアッド)で一度に16値通りの信号を送ることが可能。
16QAMは2で4〔bit〕、64QAMは2で6〔bit〕、256QAMは2で8〔bit〕

相及びPSK、QAMの違いについて
http://minbasi.wp.xdomain.jp/2020/06/29/%e4%bd%8d%e7%9b%b8%e5%8f%8a%e3%81%b3%ef%bd%90%ef%bd%93%ef%bd%8b%e3%81%a8%ef%bd%91%ef%bd%81%ef%bd%8d%e3%81%ae%e9%81%95%e3%81%84%e3%81%ab%e3%81%a4%e3%81%84%e3%81%a6/

スペクトル拡散変調方式は、16QAMよりも雑音に強く、同じ周波数帯域で多くの情報を送れる特徴を持つ。DS方式とFH方式がある。

DS方式とは
直接拡散変調方式とも呼ばれ、信号の帯域幅よりも広帯域なPN符号(疑似雑音符号)で搬送波を変調する方式。

FH方式とは
情報データに一次変調を施した後、一定周期のホッピングパターンに従って二次変調を行う方式。

(ⅱ)多元接続技術について述べた次のA~Cの文章は、【Aのみ正しい】。

A 使用周波数帯域を一定の周波数帯域幅で分割して複数の無線チャネルを構成し、複数のユーザがそれぞれ異なる無線チャネルで通信を行う方式は、FDMAと言われる。

B 一定の時間周期を多数の時間間隔に分割して、それぞれを無線チャネルとして構成し、複数のユーザがそれぞれ異なる無線チャネルで通信を行う方式は、【TDMA】と言われる。

C 一次変調した後にスペクトル拡散技術を用いて二次変調することにより信号の独立性を確保した複数の無線チャネルを構成し、浮く数のユーザがそれぞれ異なる無線チャネルで通信を行う方式は、【CDMA】と言われる。

(3)自家用発電設備の概要と通信用電源設備の防災対策について

(ⅰ)自家用発電設備の概要について述べた次の文章のうち、誤っているものは、【②】である。

①自家用発電設備は、自ら消費する電力を賄うために、工場やビルなどに設置される発電設備のことで、設置目的別に分類すると、非常用と常用に分けられ、非常用はさらに保安用と防災用に分けられる。

②建築基準法に定める排煙設備や非常用エレベータなどに対する予備電源及び消防法に定める屋内消火栓などに対する非常電源として、商用電源からの給電が停止した時のために、一般に、【防災用】の自家発電設備が用いられる。

③電力会社からの電力供給が困難な場所での電力確保や契約電力の削減を目的としたピークカット運転用の電源として、一般に、常用の自家用発電設備が用いられる。

④電気通信事業法に基づく強制基準としての技術基準では、事業用電気通信設備における停電対策として自家用発電機の設置などが求められている。

(ⅱ)通信用電源設備の防災対策について述べた次の文章のうち、誤っているものは、【②】である。

①自然災害による被災時には、電力会社の送電線や配電設備などが被害を受け、商用電源の瞬時電圧低下や長時間の停電が発生する危険性がある。このため、通信用電源設備では予備エネルギー源として、一般に、発電装置、蓄電池などが用いられる。

②蓄電池は、一般に、短時間予備エネルギー源として用いられるが、負荷の電源容量が大きい大規模な通信ビルの場合や予備のエンジン発電装置の燃料補給が困難な場合には、一般に、【停止処理、予備電源切替えなど】のために、用いられる。

③長時間にわたる停電の継続、エンジン発電装置の故障や燃料切れなどに対しては、一般に、可搬型発電機や移動電源車を配備する対策が用いられる。

④エンジン発電装置では、地震に伴う装置の逸脱を防止できる防振装置や耐震ストッパの設置、燃料などの配管へのフレキシブルパイプ利用などが耐震対策として用いられる。

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