- A-1 マクスウェル方程式から波動方程式を導出する過程について
- A-2 アンテナの利得と指向性及び受信電力について
- A-3 線状アンテナの指向性について
- A-4 絶対利得がG(真数)のアンテナの実効面積を表す式を求める過程
- A-5 パラボラアンテナを用いてマイクロハム給電中継を行う場合の送受信点間の伝搬損失について
- A-6 平行二線式給電線のインピーダンスとインダクタンスの求め方
- A-7 同軸給電線の特徴について
- A-8 図に示す整合回路を用いて、特性インピーダンスZ0が365〔Ω〕の無損失の平行二線式給電線と入力インピーダンスZが73〔Ω〕の半波長ダイポールアンテナとを整合させるために必要な静電容量Cの値として最も近いものは【91〔pF〕】
- A-9 図に示す環状導波管を用いたラットレース回路について
- A-10 図に示すコーナレフレクタアンテナについて
- A-11 図に示す三線式折返し半波長ダイポールアンテナを用いて800〔MHz〕の電波を受信したときの実効長の値として、最も近いものは【36〔㎝〕】
- A-12 図に示すパラボラアンテナの特性について
- A-13 図に示す位相走査のフェーズドアレーアンテナについて
- A-14 フレネルゾーンについて
- A-15 図に示すように、周波数100〔㎒〕、送信アンテナの絶対利得10〔㏈〕、水平偏波で放射電力100〔W〕、送信アンテナの高さ100〔m〕、受信アンテナの高さ5〔m〕、送受信点間の距離50〔Km〕で、送信点から30〔Km〕離れた地点に高さ150〔m〕のナイフエッジがあるときの受信点における電界強度の値として、最も近いものは【94〔μV/m〕】。
- A-16 衛星ー地上間通信における電離層の影響について
- A-17 無線LANや携帯電話などで用いられるMIMOについて
- A-18 利得の基準として用いられるマイクロ波標準アンテナの利得の校正法について
- A-19 アンテナ利得が30(真数)のアンテナを無損失の給電線に接続して測定した電圧定在波比(VSWR)の値が3であった。このアンテナの動作利得(真数)の値として、最も近いものは【22.5】
- A-20 模型を用いて行う室内でのアンテナの測定について
- B-1 パラボナアンテナの開口面から放射される電波が平面波となる理由について
- B-2 図に示す方形導波管について
- B-3 SHF帯及びEHF帯の電波の伝搬について
- B-4 図に示すスロットアレーアンテナから放射される電波の偏波について
- B-5 図に示すwheeler cap(ウィーラー・キャップ)法による小形アンテナの放射効率の測定について
A-1 マクスウェル方程式から波動方程式を導出する過程について
解答:4
A-2 アンテナの利得と指向性及び受信電力について
1 受信アンテナの利得や指向性は、可逆の定理により、送信アンテナとして用いた場合と同じである。
2 自由空間中で送信アンテナに受信アンテナを対向させて電波を受信するときの受信電力は、府リスの伝達公式により求めることができる。
3 半波長ダイポールアンテナの絶対利得は、等方性アンテナの約【1.65】倍であり、約【2.15】〔㏈〕である。
4 微小ダイポールの絶対利得は、等方性アンテナの約1.5倍であり、約1.76〔㏈〕である。
5 同じアンテナを複数個並べたアンテナの指向性は、アンテナ単体の指向性に配列指向係数を掛けたものに等しい。
A-3 線状アンテナの指向性について
(1)十分遠方における電界強度の指向性は、D(θ)に比例し、距離に【関係しない】。
(2)微小ダイポールのD(θ)は、【sinθ】と表され、また、半波長ダイポールアンテナのD(θ)は、近似的に【cos(π/2 cosθ)/sinθ】と表される。
A-4 絶対利得がG(真数)のアンテナの実効面積を表す式を求める過程
電界面内の電力半値幅が4.0度、磁界面内の電力半値幅が2.5度のビームを持つアンテナの指向性利得Gd〔㏈〕の値として、最も近いものは【36〔㏈〕】
Gg(真数)の式を、電力半値幅θE〔rad〕及びθH〔rad〕をθED〔度〕、θHD〔度〕に変換・変形すると
Gg≒4π/θEθH=4π/θEDθHD(π/180)2 ≒ 4×32400/πθEDθHD ≒ 40000/θEDθHD
メモ:ラジアンから度を求める式 度=ラジアン×(π/180)
題意の数値を代入すると
Gg〔㏈〕≒ 40000/4.0×2.5 = 4000
GgをDB値に変換すると
Gg〔㏈〕= 10log10Gg = 10log104000 = 20log102 + 30 =36〔㏈〕
A-5 パラボラアンテナを用いてマイクロハム給電中継を行う場合の送受信点間の伝搬損失について
(1)送信アンテナの絶対利得をG1(真数)、送信電力をPt〔W〕、無給電中継点におけるパラボラアンテナ1の絶対利得をG1(真数)、送信点と無給電中継点間の自由空間伝搬損失をΓ1とすれば、パラボラアンテナ1の最大受信有能電力P1〔W〕は、次式となる。
P1=【GtG1/Γ1】×Pt〔W〕
したがって、送信点と無給電中継点間の区間損失Γ1は、【GtG1/Γ1】の逆数で表される。
同様にして、絶対利得G2(真数)のパラボナアンテナ2から再放射された電力をPr〔W〕及び無給電中継点と受信点間の区間損失L2を求めることができる。
(2)無給電中継の送受信点間の区間損失Ltrは、Pt/Prであり、P2=【P1】〔W〕であるから、Ltrは、次式で表される。
Ltr=【L1L2】
(3)(1)及び(2)より、Gt及びGrを含めないときの送受信点間の伝搬損失Γは、【Γ1Γ2/G1G2】となる。
A-6 平行二線式給電線のインピーダンスとインダクタンスの求め方
直径4〔㎜〕、線間隔20〔㎝〕の終端を短絡した無損失の平行二線式給電線において、終端から長さ1.25〔m〕のところから終端を見たインピーダンスと等価となるコイルのインダクタンスの値として最も近いものは【2.9〔μH〕】。
給電線の特性インピーダンスZ0は、直径をd〔m〕、線間隔をD〔m〕とすれば、
Z0=276log102D/d〔Ω〕
題意の数値を代入すると
Z0=276log102×0.2 / 0.04 = 276log10102 = 552〔Ω〕
終端から長さl〔m〕のところから終端を見たインピーダンスZiは、波長をλ〔m〕とすれば、
Zi=jZ0tan(2πl/λ)〔Ω〕
であり、波長λ〔m〕は、10〔m〕であるので、
Zi=j552tan(2π/10×2.5/2)=j552tan(π/4)=j552〔Ω〕
コイルのインダクタンスをL〔H〕とすれば、ωL=522であるので、
L=552/2π×30×106 〔H〕≒2.9×10-6〔H〕=2.9〔μH〕
A-7 同軸給電線の特徴について
(1)同軸給電線の伝送損は、抵抗損によるものと誘電損によるものがあり、抵抗損によるものは、周波数の平方根に比例し、誘電損によるものは、周波数に【比例】する。
(2)同軸給電線内の位相定数と自由空間の位相定数との比で表される波長短縮率は、同軸給電線に充填されている誘電体の比誘電率をεsとすれば、【1/√εs】で与えられる。
(3)同軸給電線は、通常用いるモードでの遮断周波数は存在しないが、周波数が高くなり、ある周波数fcを超えると、【TE又はTM】モードが発生して伝送損の増加や位相ひずみなどを生ずる。この周波数fcは、【TE又はTM】モードの遮断周波数である。
A-8 図に示す整合回路を用いて、特性インピーダンスZ0が365〔Ω〕の無損失の平行二線式給電線と入力インピーダンスZが73〔Ω〕の半波長ダイポールアンテナとを整合させるために必要な静電容量Cの値として最も近いものは【91〔pF〕】
ただし、周波数を30/π〔MHz〕とする
A-9 図に示す環状導波管を用いたラットレース回路について
ただし、全長を6λg/4〔m〕とし、間隔をλg/4〔m〕及び3λg/4〔m〕として四本のE分岐を設けた構造であり、管内波長をλg〔m〕とする。
1 分岐①からの入力は、分岐②と④には出力され、このときの分岐②と④の出力は同相である。
2 分岐①からの入力は、分岐③には出力されない。
3 分岐③からの入力は、分岐②と④には出力され、このときの分岐②と④の出力は【逆相】である。
4 分岐③からの入力は、分岐①には出力されない。
5 この回路を用いることにより、送信出力が受信機に入力されずに受信機を保護することができ、一つのアンテナで送受共用することができる。
A-10 図に示すコーナレフレクタアンテナについて
ただし、波長をλ〔m〕とし、平面反射板又は金属すだれは、電波を理想的に反射する大きさであるものとする。
(1)半波長ダイポールアンテナに平面反射板又は金属すだれを組み合わせた構造であり、金属すだれは半波長ダイポールアンテナ素子に平行に導体棒を並べたもので、導体棒の間隔は平面反射板と等価な反射特性を得るために約【λ/10】以下にする必要がある。
(2)開き角は、90度、60度などがあり、半波長ダイポールアンテナとその影像の合計数は、90度では4個、60度では6個であり、開き角が小さくなると映像の数が増え、例えば、45度では8個、30度では【12個】となる。これらの複数のアンテナの効果により、半波長ダイポールアンテナ単体の場合よりも鋭い指向性と大きな利得が得られる。
(3)アンテナパターンは、2つ折りにした平面反射板又は金属すだれの折り目から半波長ダイポールアンテナ素子までの距離d〔m〕によって大きく変わる。理論的には、開き角が90度の時、d=【λ】では指向性が2つに割れて正面方向では零になり、d=【3λ/2】では主ビームは鋭くなるがサイドローブを生ずる。一般に、単一指向性となるようにdをλ/4~3λ/4の範囲で調整する。
A-11 図に示す三線式折返し半波長ダイポールアンテナを用いて800〔MHz〕の電波を受信したときの実効長の値として、最も近いものは【36〔㎝〕】
λ〔m〕=300/800〔MHz〕=0.375〔m〕
ダイポールの実効長 f=0.375/π= 0.12〔m〕
0.12×3=0.36〔m〕=36〔㎝〕
メモ:
A-12 図に示すパラボラアンテナの特性について
ただし、パラボラアンテナの開口直径をD〔m〕、開口角をθ〔°〕、終点距離をf〔m〕、開口効率をη(イータ)及び波長をλ〔m〕とする。
(1)θとDとfの関係は、【tanθ/4=D/4f】と表される。
(2)指向性の半値幅は、近似的に70×【λ/D】〔°〕と表される。
(3)絶対利得(真数)は、【(πD/λ)2η】と表される。
A-13 図に示す位相走査のフェーズドアレーアンテナについて
(1)半面上に複数の放射素子を並べて固定し、それぞれに移相器を設けて給電電流の位相を変化させて電波を放射し、放射された電波を合成した主ビームが空間のある範囲内の任意の方向に向くように制御されたアンテナである。デジタル移相器は、0から2πまでの位相角を2n(n=1,2,・・・)分の1に等分割しているので、最小設定可能な位相角は2π/2n 〔rad〕となり、励振位相は、最大【π/2n】〔rad〕の量子化位相誤差を生ずることになる。
(2)この量子化位相誤差がアンテナの開口分布に周期的に生ずると、比較的高いレベルの【サイドローブ】が生じ、これを低減するには、デジタル移相器のビット数をできるだけ【多く】する。
A-14 フレネルゾーンについて
(1)図において、距離d〔m〕離れた送信点Tと受信点Rを結ぶ線分TR上の点Oを含み、線分TRはS上の点Pを通る電波の通路長(TP+PR)と【d1+d2】との通路差がλ/2の整数倍となる点Pの軌跡は、S面上で複数の同心円となる。また、Sが直線TR上を移動したとき、T、Rを焦点とし、線分TRを回転軸とする回転楕円体となる。ただし、TO、ORの距離をそれぞれd1〔m〕、d2〔m〕、また、波長をλ〔m〕とする。
(2)回転楕円体に囲まれた領域をフレネルゾーンといい、最も内側の領域を第1フレネルゾーン、以下、第2、第3、第nフレネルゾーンという。第nフレネルゾーンの円の半径は、約【√nλ×d1d2/d1+d2】〔m〕となる。
(3)見通し内で無線回線を設定する場合には自由空間に近い良好な伝搬路を保つ必要があり、一般には、少なくとも障害物が第1フレネルゾーンに入らないようにクリアランスを設ける必要がある。
A-15 図に示すように、周波数100〔㎒〕、送信アンテナの絶対利得10〔㏈〕、水平偏波で放射電力100〔W〕、送信アンテナの高さ100〔m〕、受信アンテナの高さ5〔m〕、送受信点間の距離50〔Km〕で、送信点から30〔Km〕離れた地点に高さ150〔m〕のナイフエッジがあるときの受信点における電界強度の値として、最も近いものは【94〔μV/m〕】。
求める電界強度Eは、直接波だけの自由空間の電界強度をE0〔V/m〕、回折係数をSとすれば、次式となる。
E=4E0×S×sin×2πh1h0/λd1 sin×2πh2h0/λd2〔V/m〕・・・①
E0は、放射電力をP〔W〕、絶対利得をG(真数)、距離をd〔m〕とすれば、次式となる。
E0=√30GP/d〔V/m〕
絶対利得10〔㏈〕は、真数で10であるから、題意の数値を代入すれば、
E0=√30×10×100 /50×103 = 2√3×10-3〔V/m〕
A-16 衛星ー地上間通信における電離層の影響について
(1)電波が電離層を通過する際、その振幅、位相などに【短周期】の不規則な変動を生ずる場合があり、これを電離層シンチレーションといい、その発生は受信点の【緯度】と時刻とに依存する。
(2)電波が電離層を通過する際、その偏波面が回転するファラデー回転(効果)により、【直接偏波】を用いる衛星通信に影響を与えることがある。
A-17 無線LANや携帯電話などで用いられるMIMOについて
1 MIMOでは、送信側と受信側の双方に複数のアンテナを用いることによって、空間多重伝送による伝送容量の増大、ダイバーシティによる伝送品質の向上を図ることができる。
2 空間多重された信号は、複数の受信アンテナで受信後、チャネル(伝送路)情報を用い、信号処理により分離することできる。
3 MIMOには、送信側でチャネル(伝送路)情報が既知の方式と未知の方式がある。
4 複数のアンテナを近くに配置するときは、相互結合による影響を考慮する。
5 MIMOでは、水平偏波は用いることが【できる】。
A-18 利得の基準として用いられるマイクロ波標準アンテナの利得の校正法について
ただし、送信電力をPt〔W〕、受信電力をPr〔W〕及び波長をλ〔m〕とし、アンテナ及び給電回路の損失はないものとする。
(1)標準アンテナが1個のみのときは、図に示すように、アンテナから距離d〔m〕離して正対させた反射板を用いて利得を測定することができる。利得G0は、反射板のアンテナのある側と反対側に映像アンテナを考えれば、次式により求められる。
G0=8πd/λ×√Pr/Pt
(2)同じ標準アンテナが2個あるときは、一方を送信アンテナ、他方を受信アンテナとし、それぞれの偏波面を合わせ、最大指向方向を互いに対向させて利得を測定する。
G1=4πd/λ×√Pr/Pt
(3)標準アンテナが3個あるときは、アンテナ2個ずつの3通りの組み合わせで、(2)と同様に利得を測定する。測定距離を一定値d〔m〕とし、アンテナX,Y及びZの利得をそれぞれGx,Gy及びGzとすれば、以下の連立方程式が得られる。この連立方程式を解くことにより、各アンテナの利得が求められる。ただし、アンテナX,Y及びYの送信電力をPtx〔W〕、Pty〔W〕及びPtz〔W〕、受信電力をPrx〔W〕、Pry〔W〕及びPrz〔W〕とする。
アンテナXで送信、アンテナYで受信:GxGy=(4πd/λ)2×Pry/Ptx ・・・①
アンテナYで送信、アンテナZで受信:GyGz=(4πd/λ)2×Prz/Pty ・・・②
アンテナZで送信、アンテナXで受信:GzGx=(4πd/λ)2×Prx/Ptz ・・・③
Gyを式①②③より解くと、次式が得られる。
Gy=4πd/λ√(Ptz/Pty)×(Ptz/Prx)×(Pty/Ptx)
A-19 アンテナ利得が30(真数)のアンテナを無損失の給電線に接続して測定した電圧定在波比(VSWR)の値が3であった。このアンテナの動作利得(真数)の値として、最も近いものは【22.5】
A-20 模型を用いて行う室内でのアンテナの測定について
1 短波(HF)帯のアンテナのような大きいアンテナや航空機、船舶、鉄塔などの大きな建造物に取り付けられるアンテナを縮尺した模型を用いて測定を行う。
2 模型の縮尺率は、アンテナ材料の導電率に依存する。
3 模型の縮尺率は、測定する空間の誘電率及び透磁率に依存しない。
4 実際のアンテナの使用周波数をf〔㎐〕、模型の縮尺率をp(p<1)とすると、測定周波数fm〔㎐〕は、【fm=f/p〔㎐〕】となる。
5 測定は、通常、電波暗室で行われる。
B-1 パラボナアンテナの開口面から放射される電波が平面波となる理由について
(1)アンテナA及びBの入力インピーダンスは等しく、これをZi〔Ω〕、自己インピーダンスと相互インピーダンスも等しく、これらをそれぞれZ11〔Ω〕、Z12〔Ω〕とすれば、Ziは、次式で表される。
Zi=Z11+Z12 ・・・②
(2)アンテナAと同一の半波長ダイポールアンテナを基準アンテナとして、給電点の電流をI〔A〕、Z11の抵抗分をR11〔Ω〕とすれば、M0は、次式で表される。
M0=|E0|2/R11|I| ・・・③
(3)アンテナA及びBにそれぞれIを供給すれば、Mは、次式で表される。ただし、Z12の抵抗分をR12〔Ω〕とする。
M=|2E0|2/2(R11+R12)|I|2 ・・・④
(4)式③と④を式①へ代入すれば、アンテナ系の絶対利得Gは、次式によって求められる。
G=2R11/R11+R12 ・・・⑤
(5)式⑤において、R11は一定値であるから、GはR12のみの関数となる。R12の値はdによって変わるので、dの大きさによりGを変えることができる。
B-2 図に示す方形導波管について
(1)TEmnモードの遮断波長は、【2/√(m/a)2+(n/b)2】〔m〕である。
(2)TE10モードにおける遮断波長は、【2a】〔m〕、管内波長は、【λ/√1-(λ/2a)2】〔m〕である。
導波管内を伝搬する電波の群速度Vg〔m/s〕は、位相速度Vp〔m/s〕より【遅く】、VgとVpの間には【VpVg=c2】の関係がある。
B-3 SHF帯及びEHF帯の電波の伝搬について
ア 晴天時の大気ガスによる電波の共鳴吸収は、主に酸素及び水蒸気分子によるものであり、100〔㎓〕以下では、22〔㎓〕付近に水蒸気分子の共鳴周波数が、60〔㎓〕付近に酸素分子の共鳴周波数がある。
イ 霧や細かい雨などのように波長に比べて十分小さい直径の水滴による減衰は、主に吸収によるものであり、周波数が高くなると【増加】し、単位体積の空気中に含まれる水分の量に【比例】する。
ウ 降雨による減衰は、雨滴による吸収と散乱で生じ、10〔㎓〕以上で顕著になり、200〔㎓〕付近までは周波数が高いほど、また、降雨強度が大きいほど、減衰量が大きくなる。
エ 降雨による交差偏波識別度の劣化は、扁平な雨滴に侵入する電波の減衰及び位相回転の大きさが偏波の方向よって異なること【が原因で生ずる】。
オ 二つの通信回線のアンテナビームが交差している領域に降雨があると、雨滴による散乱のために通信回線に干渉を起こすことがある。
B-4 図に示すスロットアレーアンテナから放射される電波の偏波について
(1)yz面に平行な管壁にはz軸に【平行】な電流が流れており、スロットはこの電流の流れを防げるので、電波を放射する。
(2)管内におけるy軸方向の電界分布は、管内波長の【1/2】の間隔で反転しているので、管壁に流れる電流の方向も同じ間隔で反転している。一定の間隔l〔m〕で、交互に傾斜角の方向が変わるようにあけられた各スロットから放射波の【電界】の方向は、各スロットに垂直な方向となる。
(3)隣り合う二つのスロットから放射された電波の電界をそれぞれy成分とz成分に分解すると、【z成分】は互いに逆向きであるが、もう一方の成分は同じ向きになる。このため、【z成分】が打ち消され、もう一方の成分は加え合わされるので、偏波は【水平偏波となる】。
B-5 図に示すwheeler cap(ウィーラー・キャップ)法による小形アンテナの放射効率の測定について
(1)入力インピーダンスから放射効率を求める方法
地板の上に置いた被測定アンテナに、アンテナ電流の分布を乱さないよう適当な形及び大きさの金属の箱をかぶせて隙間がないように密閉し、被測定アンテナの入力インピーダンスの【実数部】を測定する。このときの値は、アンテナの放射抵抗が無視できるので損失抵抗R1〔Ω〕とみなすことができる。
次に、箱を取り除いて、同様に、入力インピーダンスの【実数部】を測定する。このときの値は、被測定アンテナの放射抵抗をRr〔Ω〕とすると【Rr+R1】〔Ω〕となる。
金属の箱をかぶせないときの入力インピーダンスの【実数部】の測定値をRin〔Ω〕、かぶせたときの入力インピーダンスの【実数部】の測定値をR’in(=R1)〔Ω〕とすると、放射効率ηは、η=【1-(R’in/Rin)】で求められる。
ただし、金属の箱の有無にかかわらず、アンテナ電流を一定とし、被測定アンテナは直列共振形とする。また、給電線の損失はないものとする。
(2)電圧反射係数から放射効率を求める方法
金属の箱をかぶせないときの送信機の出力電力をPo〔W〕、被測定アンテナの入力端子からの反射電力をPref〔W〕、(1)と同じように被測定アンテナに金属の箱をかぶせたときの送信機の出力電力をP’o〔W〕、被測定アンテナの入力端子からの反射電力をP’ref〔W〕とすると、放射効率ηは、次式で表される。ただし、送信機と被測定アンテナ間の給電線の損失はないものとする。
η=Po-Pref-(P’-P’ref)/ Po-Pref ・・・①
Po=P’oのとき、ηは、式①より次式のようになる。
η=(P’ref/P’o)-(Pref/Po)/ 1-(Pref/Po) ・・・②
金属の箱をかぶせないときの電圧反射係数を|Γ|、かぶせたときの電圧反射係数を|Γ’|とすると、ηは、式②より、η=|Γ’|2-|Γ|2/ 1-|Γ|2となり電圧反射係数から求められる。ただし、|Γ’|≧|Γ|が成り立つ範囲で求められる。
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